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第1章
10. 入学式の朝
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昨日は色々と考えてしまったけど、今日は準備万端!いつもはエリーが起こしに来てくれるけど、嬉しくて目が冴えてしまった。
「エリーです。フェンネル様、失礼致します。」
そう言ってエリーがドアから入って来た。いつもはまだベッドの中の僕が制服に着替えてエリーを出迎えると「おはようございます、フェンネル様。今日は起きられてたのですね。」と少し驚き顔だ。
「おはよう、エリー。だって今日は入学式だよ。遅刻したらダメだからね。」と僕は得意げに答える。
「そうですね。さすがフェンネル様です。旦那様も奥様もタジェット様、ロザリーナ様、ディル様も広間でお待ちですよ。」
「うん、わかった!ありがとう。行ってくるね!」
僕は颯爽と部屋を後にした。
僕が広間に着くと一番最初はやはりタジェット兄様が出迎えてくれる。
「おはよう、フェル。今日はいよいよ入学式だね。私も父様と母様と一緒にフェルのカッコいい姿を見に行くからね。」と手を握り締めながら見つめてくる。
僕は少し笑って「おはよう、タジェット兄様。僕も今日がとても楽しみだったんだ。楽しい学院生活を送れるように見守っててね。」と返事をした。
内心は「(…タジェット兄様、部隊の仕事は…?)」と思っていたが。
それから両親、ロザリーナ姉様やディル兄様からも挨拶を貰い朝食の後、学院に向けて出発した。
一方、ロザリーナ姉様とディル兄様は二人共、魔術学校に進学した。ロザリーナ姉様は火魔法の上級者になれる能力を持っていた為10歳になる年、魔術学校に勧誘され、そのまま入学した。ディル兄様は最後まで騎士団に入るか悩んでたようだが、タジェット兄様と比べられるのが嫌だと言い、魔術学校への進学を決めた。ロザリーナ姉様は火魔法を、ディル兄様は風魔法を、今はそれぞれの能力を高める為に日々勤しんでいる。今日の入学式に一緒に行きたかったそうだが、魔法学院で入学式があるということは魔術学校でも入学式がある。なので、そちらを手伝わなければいけないらしく不参加となった。
僕は入学式の為、久しぶりに馬車に乗っている。
僕の家は王都から離れた田舎に屋敷を構えている為、父様や兄姉様達も仕事や学校以外ではあまり出掛けたりはしなかった。食料などの必要なものは定期的に家に届くようになっており、もし他に必要なものがあれば使用人が街へ買い物に出掛けているからだ。よって、僕は殆ど敷地内からは出たことがなく、馬車に乗るのも数える程しかない。なので、馬車に揺られながら景色が変わるのが物珍しく、窓から顔を出しては周りをキョロキョロと見回していた。
すると父様、母様に
「そんな最初から興奮してたら後が疲れてしまうよ。入学式中に寝てしまったらどうするんだい?」
「これから毎日見るんですから、後のお楽しみにとっておきなさい。」
と笑われてしまった。
タジェット兄様には「フェルは相変わらず可愛いなぁ。でも、あんまり窓から顔出すと危ないから程々にしておくんだよ。」と言われる。
僕は恥ずかしくなり、タジェット兄様の隣に座り直した。
「(そうだよね。これから嫌と言うほどこの景色を見るんだから、そこまでジロジロ見なくてもよかったかも…。でも、入学式楽しみだなぁ…どんな人がいるんだろ。)」
そう僕は考えながら馬車に揺られるのだった。
それから1時間弱程して馬車が止まり、「旦那様、学院にお着きになりました。ドアをお開け致します。」と声が掛かった。ドアが開き、父様から順に降りていく。僕は案の定、兄様に抱っこされながら降ろされた。初めて屋敷の広間を見た時と同様に開いた口が塞がらない。
「(うわぁ~!すご~い!大っきな建物~!キレイな洋館だな~。)」と立ちつくす。
流石にしばらく眺めている時間はなかったので「フェル、行くよ。」と父様に背中を押された。
入学式が行われる会場まで歩いていると当たり前だが、僕と同じ年代の子供達が両親と共に歩いている。一人の親しかいないところもあればウチみたいに家族で来ているところもある。
「(改めて見てみるとやっぱり女の子少ないな~、男女比8:2ってホントだったんだ。あっ!獣人の子供がいる!ウサ耳~!可愛い~!)」
僕がその子をガン見していたので、その子と目が合った。その子はコッチをチラッと見た後、バッと目線を外して前を見てしまう。
「(あぁ~…嫌われたかも…。)」と僕は入学式前から早々に落ち込んだ。
「エリーです。フェンネル様、失礼致します。」
そう言ってエリーがドアから入って来た。いつもはまだベッドの中の僕が制服に着替えてエリーを出迎えると「おはようございます、フェンネル様。今日は起きられてたのですね。」と少し驚き顔だ。
「おはよう、エリー。だって今日は入学式だよ。遅刻したらダメだからね。」と僕は得意げに答える。
「そうですね。さすがフェンネル様です。旦那様も奥様もタジェット様、ロザリーナ様、ディル様も広間でお待ちですよ。」
「うん、わかった!ありがとう。行ってくるね!」
僕は颯爽と部屋を後にした。
僕が広間に着くと一番最初はやはりタジェット兄様が出迎えてくれる。
「おはよう、フェル。今日はいよいよ入学式だね。私も父様と母様と一緒にフェルのカッコいい姿を見に行くからね。」と手を握り締めながら見つめてくる。
僕は少し笑って「おはよう、タジェット兄様。僕も今日がとても楽しみだったんだ。楽しい学院生活を送れるように見守っててね。」と返事をした。
内心は「(…タジェット兄様、部隊の仕事は…?)」と思っていたが。
それから両親、ロザリーナ姉様やディル兄様からも挨拶を貰い朝食の後、学院に向けて出発した。
一方、ロザリーナ姉様とディル兄様は二人共、魔術学校に進学した。ロザリーナ姉様は火魔法の上級者になれる能力を持っていた為10歳になる年、魔術学校に勧誘され、そのまま入学した。ディル兄様は最後まで騎士団に入るか悩んでたようだが、タジェット兄様と比べられるのが嫌だと言い、魔術学校への進学を決めた。ロザリーナ姉様は火魔法を、ディル兄様は風魔法を、今はそれぞれの能力を高める為に日々勤しんでいる。今日の入学式に一緒に行きたかったそうだが、魔法学院で入学式があるということは魔術学校でも入学式がある。なので、そちらを手伝わなければいけないらしく不参加となった。
僕は入学式の為、久しぶりに馬車に乗っている。
僕の家は王都から離れた田舎に屋敷を構えている為、父様や兄姉様達も仕事や学校以外ではあまり出掛けたりはしなかった。食料などの必要なものは定期的に家に届くようになっており、もし他に必要なものがあれば使用人が街へ買い物に出掛けているからだ。よって、僕は殆ど敷地内からは出たことがなく、馬車に乗るのも数える程しかない。なので、馬車に揺られながら景色が変わるのが物珍しく、窓から顔を出しては周りをキョロキョロと見回していた。
すると父様、母様に
「そんな最初から興奮してたら後が疲れてしまうよ。入学式中に寝てしまったらどうするんだい?」
「これから毎日見るんですから、後のお楽しみにとっておきなさい。」
と笑われてしまった。
タジェット兄様には「フェルは相変わらず可愛いなぁ。でも、あんまり窓から顔出すと危ないから程々にしておくんだよ。」と言われる。
僕は恥ずかしくなり、タジェット兄様の隣に座り直した。
「(そうだよね。これから嫌と言うほどこの景色を見るんだから、そこまでジロジロ見なくてもよかったかも…。でも、入学式楽しみだなぁ…どんな人がいるんだろ。)」
そう僕は考えながら馬車に揺られるのだった。
それから1時間弱程して馬車が止まり、「旦那様、学院にお着きになりました。ドアをお開け致します。」と声が掛かった。ドアが開き、父様から順に降りていく。僕は案の定、兄様に抱っこされながら降ろされた。初めて屋敷の広間を見た時と同様に開いた口が塞がらない。
「(うわぁ~!すご~い!大っきな建物~!キレイな洋館だな~。)」と立ちつくす。
流石にしばらく眺めている時間はなかったので「フェル、行くよ。」と父様に背中を押された。
入学式が行われる会場まで歩いていると当たり前だが、僕と同じ年代の子供達が両親と共に歩いている。一人の親しかいないところもあればウチみたいに家族で来ているところもある。
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僕がその子をガン見していたので、その子と目が合った。その子はコッチをチラッと見た後、バッと目線を外して前を見てしまう。
「(あぁ~…嫌われたかも…。)」と僕は入学式前から早々に落ち込んだ。
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