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第1章
68. 騎士団見学
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「(…兄様…それ、ほとんど私情だよね?僕を抱っこしたいのと僕の姿を他の人に見せたくないからだよね…?でも僕、さっき色んな人に顔見られてるからもう遅いんだけど…。)」
と思いながらも「うん、わかった。」と頷く。
結局、僕は兄様に抱きかかえながら騎士団見学となった。
「フェル、何処か行きたいところはある?」と聞かれたが「ううん、兄様に任せるよ。」と言うと兄様は満足気に騎士団内を回りだした。
「(すごく…視線を感じる…。)」
きっと兄様のせいだろう…あれだけやつれていた人がニコニコしながらフードを被った人物を抱きかかえて闊歩しているんだから。
すれ違う人にはギョッとされながら挨拶、敬礼されるわ、物珍しそうに凝視されるわで、とても居心地が悪い。
そして複数でいる場合には僕達とすれ違った後、
「おい、副隊長様が元気になられているぞ。」
「恋人とヨリが戻ったんだな。」
「きっとあの抱きかかえられている人が恋人だろう。」
と言う声が聞こえ居た堪れない。
そして庭園に差し掛かったところで前から歩いて来た人に呼び止められた。
「タジェット、元気になったみたいだな。」
声をかけて来た人を見ると皆と同じ制服だが色が違い、更に胸元と肩の所に勲章のような物が垂れ下がっている。
僕はその人を見ながら「偉い人なのかなぁ?」と思っていた。
兄様も親し気に、
「ああ、心配かけてすまないな。私はこの通りだ。」
「そうか。それでこのフードの子は?」
「この子は私の末の弟でフェンネルと言う。フェル、この人はワート・セントジョーンズだ。私の所属している第1部隊の隊長だ。」
「(やっぱり…偉い人だった!挨拶しなくちゃ!あっ!フードどうしよう…。)
兄様、ご挨拶したいんだけどフード取っていい?」
「ああ、そうだな。…いや、でもワートにフェルの姿を見せるのは惜しいな…。」と言いだしたので「もう!兄様!」と僕が怒ると「おいおい…イチャつくのは後にして早く姿を見せてくれ…。」と言われ慌ててフードを取る。
「あの…こんな場所からのご挨拶になってしまい申し訳ありません。僕はフェンネル・ローランドと言います。いつも兄がお世話になってます。どうぞよろしくお願い致します。」
とお辞儀をした。
「こちらこそ宜しく。ワートと呼んでくれ。驚くくらいタジェットと似てないな。この容姿じゃタジェットが過保護になるのも無理はない。」
と言い、僕の髪をスッと撫でた。
僕がその行為にドキッとしていると「ワート!フェルに触るんじゃない!」と兄様はグイッと僕を引き寄せる。
「アハハッ!タジェットがここまでとはな…!安心しろ、俺にはもう決めたヤツがいる。」
とワートさんはそう言うと笑いながら兄様の肩をポンポンと叩いた。
しかし兄様はワートさんを睨むと「いくらお前でもフェルに手を出したら本気で消す。」と兄様の雰囲気が怪しくなってきたので僕は慌てて兄様の顔をグイッと自分の方を向けると「兄様、僕、アッチが気になるなぁ!早く行こう!」と指をさして話を替えることに必死になる。
すると兄様はニコッと笑い「わかった、アッチね。」と僕を抱え直すとワートさんとは反対方向に歩き出した。僕はワートさんに首だけ向けて会釈する。ワートさんはその様子に笑いながら手を挙げてくれた。
それから僕達は競技場内に入って行った。中の人達は突然の兄様の登場に驚き、整列を始める。
兄様は「構わん、続けろ。」と指示すると僕を膝に乗せ観客席に座った。
「兄様、皆強そうだね。」
と僕が言うと、
「ここにいる隊員は皆強いよ。私にとっても自慢の隊員達なんだ。こうやって皆、日々努力している。私も負けてられないな。それに今はフェルの隣に立つという目標も出来たし今以上に頑張らないと。」
と笑っていた。
僕はここで兄様に1つお願いをしてみる。
「兄様、僕、兄様が戦っている姿を見たことがないんだ。だから兄様がもし良かったら戦ってる姿を見たいんだけどダメかな…?」
「フェルの可愛いお願いだ。聞かないはずないだろう?」と言って抱き締めてくる。
「じゃあ私はあそこにいる誰かと戦ってくるからフェルはここで見ててね。」
兄様はそう言うと颯爽と競技場の中に入って行った。
兄様は隊員の何人かと話をし、その中の1人と戦うことになった。僕がどんな人と戦うのかと思い、その姿を確かめると、なんと僕が初めてここに潜入した時ライム君と共に話題に出たあの人だった。
来年の王族騎士団入隊の第1候補
"バルサ・シンス様"
と思いながらも「うん、わかった。」と頷く。
結局、僕は兄様に抱きかかえながら騎士団見学となった。
「フェル、何処か行きたいところはある?」と聞かれたが「ううん、兄様に任せるよ。」と言うと兄様は満足気に騎士団内を回りだした。
「(すごく…視線を感じる…。)」
きっと兄様のせいだろう…あれだけやつれていた人がニコニコしながらフードを被った人物を抱きかかえて闊歩しているんだから。
すれ違う人にはギョッとされながら挨拶、敬礼されるわ、物珍しそうに凝視されるわで、とても居心地が悪い。
そして複数でいる場合には僕達とすれ違った後、
「おい、副隊長様が元気になられているぞ。」
「恋人とヨリが戻ったんだな。」
「きっとあの抱きかかえられている人が恋人だろう。」
と言う声が聞こえ居た堪れない。
そして庭園に差し掛かったところで前から歩いて来た人に呼び止められた。
「タジェット、元気になったみたいだな。」
声をかけて来た人を見ると皆と同じ制服だが色が違い、更に胸元と肩の所に勲章のような物が垂れ下がっている。
僕はその人を見ながら「偉い人なのかなぁ?」と思っていた。
兄様も親し気に、
「ああ、心配かけてすまないな。私はこの通りだ。」
「そうか。それでこのフードの子は?」
「この子は私の末の弟でフェンネルと言う。フェル、この人はワート・セントジョーンズだ。私の所属している第1部隊の隊長だ。」
「(やっぱり…偉い人だった!挨拶しなくちゃ!あっ!フードどうしよう…。)
兄様、ご挨拶したいんだけどフード取っていい?」
「ああ、そうだな。…いや、でもワートにフェルの姿を見せるのは惜しいな…。」と言いだしたので「もう!兄様!」と僕が怒ると「おいおい…イチャつくのは後にして早く姿を見せてくれ…。」と言われ慌ててフードを取る。
「あの…こんな場所からのご挨拶になってしまい申し訳ありません。僕はフェンネル・ローランドと言います。いつも兄がお世話になってます。どうぞよろしくお願い致します。」
とお辞儀をした。
「こちらこそ宜しく。ワートと呼んでくれ。驚くくらいタジェットと似てないな。この容姿じゃタジェットが過保護になるのも無理はない。」
と言い、僕の髪をスッと撫でた。
僕がその行為にドキッとしていると「ワート!フェルに触るんじゃない!」と兄様はグイッと僕を引き寄せる。
「アハハッ!タジェットがここまでとはな…!安心しろ、俺にはもう決めたヤツがいる。」
とワートさんはそう言うと笑いながら兄様の肩をポンポンと叩いた。
しかし兄様はワートさんを睨むと「いくらお前でもフェルに手を出したら本気で消す。」と兄様の雰囲気が怪しくなってきたので僕は慌てて兄様の顔をグイッと自分の方を向けると「兄様、僕、アッチが気になるなぁ!早く行こう!」と指をさして話を替えることに必死になる。
すると兄様はニコッと笑い「わかった、アッチね。」と僕を抱え直すとワートさんとは反対方向に歩き出した。僕はワートさんに首だけ向けて会釈する。ワートさんはその様子に笑いながら手を挙げてくれた。
それから僕達は競技場内に入って行った。中の人達は突然の兄様の登場に驚き、整列を始める。
兄様は「構わん、続けろ。」と指示すると僕を膝に乗せ観客席に座った。
「兄様、皆強そうだね。」
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兄様はそう言うと颯爽と競技場の中に入って行った。
兄様は隊員の何人かと話をし、その中の1人と戦うことになった。僕がどんな人と戦うのかと思い、その姿を確かめると、なんと僕が初めてここに潜入した時ライム君と共に話題に出たあの人だった。
来年の王族騎士団入隊の第1候補
"バルサ・シンス様"
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