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第1章

85. 侵入者

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父様達と合流した僕は屋敷へと帰宅する馬車に乗車する。

馬車内ではディル兄様に「ロザリーナ姉様に何言われたの~?」と聞かれたが「内緒。」と言って最後まで内容は言わなかった。






その後、帰宅した僕はすぐに着替えてベッドに横になる。

「(今日は移動にも時間かかったし、着慣れない服も着て疲れちゃったなぁ…ふぁ~早く寝よっと…。)」

と僕は欠伸をしながら目を瞑った。






暫くするとカチャ…とドアの開く音が聞こえ、寝かけだった僕はパッと目を覚ました。

「(えっ…!?誰か入ってきた…!どっ…どうしよう…寝てるフリした方がいいの…?いや、ナイフでお腹刺されたら終わりじゃん…!そしたら、やっぱりコッチから攻撃しないとダメ…?よし!ここは相手が近付いてきたらとりあえず光魔法で壁を作って水魔法で攻撃だ…!)」

僕はマンガでもこういうシーンあったな…!と思いつつ、ドキドキしながら寝たフリをする。

そして相手の足音がベッドサイドに近付いてきた瞬間、僕はシーツをめくり相手に水魔法を放った。



バシャ!!!



「(よし!成功!)」

僕は急いで次の攻撃の体勢に入り、侵入者に向かって構えた。

しかし、そこにいたのは尻餅をつき、ビショ濡れになったタジェット兄様だった。

僕は「兄様!?」と叫び慌てて駆け寄ると「ごめんね!侵入者かと思って攻撃しちゃった!」とシーツを兄様に被せる。

僕は「ごめんね、ごめんね。」と言いながら一生懸命拭いていると「フェル…。」と急にお姫様抱っこをされた。

「エェッ!?どうしたの!?兄様!怒っちゃった!?ごめんなさい~!」

と必死に謝ったが、兄様は無言で僕を浴室へと連れて行った。






無言の兄様は何かを考え込みながら僕と共に浴槽に浸かり僕はその様子をジッと見つめていた。

するとそれまで無言だった兄様がやっと口を開く。

「フェル…急にこんなことしてゴメンね…あのままだったら風邪を引きそうだったから思わず一緒に連れてきちゃったよ…。あと、濡らされたことは怒ってないから安心してね。」

と頭を撫でられた。

僕はいつもと違う兄様の様子に戸惑いながら「兄様…どうしたの…?」と尋ねる。

すると兄様はフフッと笑って、

「こんな風にフェルと2人でお風呂に入るのもあの時以来だね。」

僕はそう言われて、前のお風呂での情事を思い出し赤くなってしまった。

兄様はそんな僕を見て、

「フェル…そんな可愛い顔してたらまた襲っちゃうよ…?」

と言い、僕に口付けてきた。

「(えっ…ちょっと待って…!ディル兄様との約束は…!?)」と僕が焦っているとキスはドンドン深いものに変わっていく。

「あっ…ん…待っ…。」

と僕が言いかけていると兄様は僕の寝間着に手をかけ、ボタンを外していく。

「…お風呂なのに服を着たままって気持ち悪いよね…?一緒に脱ごうか…?」

そう言いながらもキスは止めない。

「(いや、兄様がやったんでしょ!たしかに服が身体に纏わり付いて気持ち悪いけど、今、脱がされたら色々とマズイから!)」

なんと僕のモノは兄様のキスで少し反応していた。

兄様が僕のシャツを全て脱がしたところで、

「あっ…兄様…待って…どうして…?」

と僕は兄様の手を掴む。

「…どうして…?それをフェルが言うの…?」

兄様は悲しそうな顔になり、僕を抱き締めた。

「私はこの1ヶ月、フェルに言われた通り兄らしく振舞ってきたよ、頑張って自分の欲望も我慢して。でも、フェルは私以外の人間に触れさせたりしたよね?それも自分から手を握ったり…。そんなのフェルのことを愛してる私が許せると思う?許せないよ、本当はそんな相手を殺したいくらい嫌なのに。
それに今日はあんな他の人を誘うような服を着て…!あれを見た瞬間、フェルを閉じ込めたい衝動を我慢するのに必死だった…。…フェルはそんな私の気持ち、わからないでしょう…?」

兄様は震える声でそう言うとまた暫く黙ってしまった。

「(兄様がそんなに思い詰めていたなんて悪いことしちゃったな…。この機会だから他の人を見ようとしていたのがバレただけでこんなに嫉妬するなんて…こんなに僕のことが好きなのに手を出せないって可哀想だよね…なら、少しくらい手を出されてもいいかな…?)」

僕はそう思い「…兄様、ごめんなさい…。そんなに悩んでたなんて知らなかった…。」と謝る。

「いや…私こそゴメン…。こんなことを言ってフェルを困らせたいわけじゃないんだ。フェルに時間が欲しいと言われて自分を納得させようとしたけど出来なかっただけなんだ…。フェルの年齢を考えれば時間が欲しいなんて当たり前のことなのに自分で自分を抑えられない私が悪いんだよ…フェル、本当にゴメン。」

「ううん!兄様は悪くないよ…!僕が軽率だったから…。」

僕はごめんなさい、という意味を込めて兄様の頰にチュッと軽いキスをした。

「フェル…君はホントに優しいんだね。こんなに心の狭い兄を許してくれるなんて…益々、好きになってしまいそうだよ…。」

兄様はそう言うとゆっくりと口付けてきた。

しかし、途端に唇を離し「ゴメン…これ以上はダメだよね…。」と言って離れようとしたので、僕は思い切って自分からキスをして「兄様、もっとしていいよ…?」と僕から誘う。
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