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第2章

90. 2年間のこと(1)

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あれからカラマス君とは手紙のやり取りだけになり、その代わり定期的にラーチさんに食事に誘われるようになった。

3回に1回は食事に行くようにし、なるべく2人きりにならないようにしている。

「(まぁ…7歳には手を出さないと思うけど、念の為ね…。)」

ラーチさんは「ゆっくりお互いのことを知っていこう。」というセリフ通り、食事に行ったりショッピングする以外は何もしてこない。
カラマス君やタジェット兄様、ディル兄様に慣れていた僕は「(こんな紳士な人もいるんだなぁ…。)」と感心していた。

食事に行く、ショッピングする…デートだったら普通のことかもしれないけど、今の僕の感覚は少しおかしくなっているのかもしれない。






あとラーチさんが紳士的だと思う要因はこれだけではない。

食事に行くとなると送り迎えは当たり前、馬車への乗り降りも手を添えてくれるし椅子なども引いてくれたりする。

「(女子か!!!)」

とツッコミそうになったが、ラーチさんにとっては僕はそういう立場なんだろう。

僕の見た目も女の子だしね。

ちなみにラーチさんは今はもう病気を克服し、お兄さんと一緒にお父さんのお手伝いをしている。
領主の次男だから後継ぎではない分、自由にやらせてもらってるらしい。

病床にいるときは痩せ細っていた身体はそれなりにしっかり肉が付いて、今は筋肉を付けるためにトレーニング中。

治療中は気付かなかったがラーチさん、元気になったらイケメンだった!

腰まである黒髪を緩く結んでモスグリーンの瞳、顔付きはアラブとかの皇子様みたい、肌色も少し褐色だしね。

「(クッ…やっぱりこの世界はイケメンばっかりか…!オットーさんも爽やかイケメンだしな…!)」

ラーチさんの話では身長は178cm、体重63kg、好き嫌いは無いらしい。

僕が「特に好きな食べ物は無いの?」と聞くと

「フェルが作ってくれるなら、なんでも。」

と恥ずかしげもなく言えるほど、スマートな人物だった。

そんなことに言われて僕が赤くならないはずもなく、そんな姿を「可愛い。」と笑うラーチさんを見て僕は「(このイケメンはっ!)」と悶えていた。







学校の方は相変わらずだった。

僕は結局ほとんど友達が出来ず、エリーの娘ランタナ、熊獣人のアニス、兎獣人のローザしか友人と呼べる人がいない。特に困っていることは無いので良しとしているが、やっぱりちょっと少ないのかな…?

あと友人と呼べるかは分からないが、ロック、ミモザ様、セージ様とはたまにお喋りをしていた。
まぁミモザ様には嫌味を言われたりが多かったからお喋りと言えるかはわからないけど…。でもあれはあれでツンデレって感じで可愛かった!






あと、印象的だったのは卒業式。

ロックが僕と離れたくないと号泣したからだ。

僕も在校生としてロックをはじめ、卒業生に拍手を送っていたら副会長の挨拶の時に泣き出してしまった。最初は順調に学校生活について話していたが卒業後の進路について話し出すと泣きながら「卒業したくありません。」と言い出した。周りがザワつき、来賓者や在校生が舞台上を見つめていると不意に「フェンネル様~!」と叫ばれた。

全員の視線が集まり、居たたまれなくなった僕は下を向いて顔を隠していたら、その間に副会長は会長に回収されていった。







さらに卒業式後、教室で待機していると会長と副会長が現れ、僕はそのまま生徒会室に拉致された。

「うぅ~…フェンネル様~離れたくないです~。」

と縋られた僕は「(いや、それ会長に言ってあげてよ!)」と思いながら会長に目線を移した。会長も苦笑いになり、副会長を引き剥がし、代わりに自分に抱き着かせていた。

頭を撫でながら慰めている光景に僕は内心興奮し、脳内に留めると2人の卒業祝いに前から考えていた手作りクッキーを渡した。

ロックはまたしても感動して泣いていたが、僕としては2人の"あーん"が見たいだけなので、早速お願いすることにした。

ロックはそのお願いに最初はキョトンとしていたが「フェンネル様の頼みなら!」と意気込み、会長は嬉しそうにロックにあーんしていた。

僕はその光景を目に焼き付けて2人に改めて「卒業おめでとうございます!」と伝えた。







そして、最近は同じ水魔法の能力者ローザと一緒にいることが増えた。

ローザの身長は僕より少し小さいのでそこは嬉しい。僕の方がお兄ちゃんだぞ!と思えるし、守ってあげなくちゃ!と加護欲もそそる。
いつも兄様達や身体つきの大きいアニスと一緒にいたので僕はかなり小さく思われ、守られていた。
いくら僕が平均的でも自分より低身長+女顔なら守られてしまうみたいだ。

そう言ってもあれから僕は身長は伸び146cmになった。9歳にしてはほどほどじゃない?しかし、顔付きは可愛いまま。

そりゃそうだ。

僕がこれ以上カッコよくなることは無いのだから。
でも、僕は美人になりたいとお願いしたので凄く満足している。生前では見向きもされなかった僕がモテているので、このままビッチにだけはならずにこの生活を楽しもうと思う。

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