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第2章
109. 女装選手権
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代わりの人物と言っても僕にはローザしか思い浮かばなかった。
「(少し身長は伸びたけど、可愛いのには変わりないもんね!よし、ローザを探しに行こう!)」
僕はそう思い、ローレルにローザを探そう!と提案した。
「えっ?兄様が出るんですか?」
とローレルが驚いている。
「そうだよ!ローザみたいに可愛い子が出たらきっと優勝できるはず!さぁ行こう!」
僕はローレルの手を掴むと人々の間をすり抜けてローザを探しに行った。
暫く歩いていると、1軒の露店の前でローザとアニス、その他の兄弟達を見つけることが出来た。
「ローザ~!ちょっとお願いがあるんだけど…。」
と僕はローザに先程の女装選手権のことを説明した。
するとローザは興奮して
「えっ!?1年分!?それはダメ元でも出ないと!フェル様、教えてくれてありがとう!ほら!皆、登録だけでもしに行くよ!サラとスミティは舞台の前で待機ね!」
と僕達の背中を押して足早に行こうとした。
「おっ…おい、俺も出るのか?絶対似合わないぞ?」とアニスが動揺している。
「当ったり前でしょ!?登録はタダなんだから嫌でも行かなくっちゃ!もしかしたらもしかしてでしょ!?」とローザは乗り気満々だ。
「ローザ…僕は嫌だよ?だって兄様に見つかったら怒られるだけじゃ済まないし…。」
と僕が言うと、
「何言ってるの!?僕はフェル様が出ないと出ないからね!それにタジェット様にもし見つかっても秘策があるから大丈夫!」
とゴリ押しされてしまった。
「えっ…あっ…そうなんだ。じゃあ登録だけしとくね…。」
僕はローザを指名したバチが当たったんだと思った。
先程の本部に戻って来ると、僕達は名前を登録をし、大会の主催者数名に顔をジロジロと見られた。
結果的に言うと決勝にはローザと僕が残ってしまった。
ガッカリしている僕の反面、ローザはガッツポーズで「よっしゃー!」と喜んでいる。
その姿に「ローザ、そんなに嬉しいの?」と聞くと「嬉しいよ!だって優勝したら無料券1年分だよ!?1人分で上限はあるとしてもかなりお得だし!それに僕は優勝出来なくてもいいんだ。きっと優勝者は決まってるから…!」と言い出した。
「えっ?どういうこと?」
と聞いたが「フェル様は立ってるだけでいいよ!始まればわかるから!」とはぐらかされてしまった。
そしてダンスの発表会と大食い大会が終わり、いよいよ女装選手権が始まった。
決勝に残った10名は女性に衣装と化粧をしてもらい綺麗に着飾られている。
僕は淡い黄緑色のドレスを着せられ、ローザはピンク色だ。
実は僕はローザの母親から日焼け防止の為に底が深めでツバも大きめの麦わら帽子を被せられていた。
他の子はしてないのに…。
何故かわからないが、どうしてもと言われ断ることが出来なかった。
そのまま選手権の為に裏に設置してあるテントに来たのだが帽子を取った瞬間、お手伝いの女性は目を丸くして頰を染めていた。
「(さっき、主催者のおじさんもなってたな…。)」
と思いながら女性に着せ替えられ、気付いた時にはかなりの完成度の高さだった。
「(なんか頭に凄い小さい帽子が付いてるんですけど!それにこの顔にかかる網みたいの何!?これがオシャレなの?)」
と疑問に思ったが、自分でも少し見惚れてしまったのはここだけの話だ。
お手伝いの女性のやりきった感が凄かったが、ニコニコしながら送り出してくれたので精一杯愛想を振りまこうと決意した。
僕はNO.9でローザはNO.3。
順番にステージに並び、番号で投票される仕組みだ。
僕達はステージ裏に待機し、番号を呼ばれるのを待つ。
NO.3が呼ばれ、ローザが「いってきまーす!」と意気揚々に出て行った。
ステージ上に出て行ったローザへの歓声は裏に居ても聞こえる。
「(凄いなぁ…ローザ。でも優勝者は決まってるってどういうことだろう…?出来レースとか…?じゃあなんでこんなことするんだろ?)」
と思っていると僕の番号が呼ばれた。
思い切って笑顔で飛び出してみると会場がシーンとなる。
「(えっ…?変だった…?僕、結構似合ってると思ってたんだけど…。)」
と恥ずかしくなり俯いた。
するとスミティが大声で「可愛いー!」と叫び、その声を皮切りに会場内がドッと盛り上がった。
その反応にとりあえず一安心し、僕もステージ上に並んだ。
チラッとアニスやローレルを見ると小さく手を振ってくれている。僕も控え目に振り返した。
それからNO.10の人まで呼ばれ、簡単にNO.1から自己紹介することとなった。
予定通り、名前と年齢と一言、言うだけだ。
僕は最後に「宜しくお願い致します。」と言えばいいや、と思っていたが、なんとNO.1の人が一言以外に特技を披露してしまった。するとNO.2の人も負けじとやり始め、ステージ上は特技自慢の場となってしまった。
「(少し身長は伸びたけど、可愛いのには変わりないもんね!よし、ローザを探しに行こう!)」
僕はそう思い、ローレルにローザを探そう!と提案した。
「えっ?兄様が出るんですか?」
とローレルが驚いている。
「そうだよ!ローザみたいに可愛い子が出たらきっと優勝できるはず!さぁ行こう!」
僕はローレルの手を掴むと人々の間をすり抜けてローザを探しに行った。
暫く歩いていると、1軒の露店の前でローザとアニス、その他の兄弟達を見つけることが出来た。
「ローザ~!ちょっとお願いがあるんだけど…。」
と僕はローザに先程の女装選手権のことを説明した。
するとローザは興奮して
「えっ!?1年分!?それはダメ元でも出ないと!フェル様、教えてくれてありがとう!ほら!皆、登録だけでもしに行くよ!サラとスミティは舞台の前で待機ね!」
と僕達の背中を押して足早に行こうとした。
「おっ…おい、俺も出るのか?絶対似合わないぞ?」とアニスが動揺している。
「当ったり前でしょ!?登録はタダなんだから嫌でも行かなくっちゃ!もしかしたらもしかしてでしょ!?」とローザは乗り気満々だ。
「ローザ…僕は嫌だよ?だって兄様に見つかったら怒られるだけじゃ済まないし…。」
と僕が言うと、
「何言ってるの!?僕はフェル様が出ないと出ないからね!それにタジェット様にもし見つかっても秘策があるから大丈夫!」
とゴリ押しされてしまった。
「えっ…あっ…そうなんだ。じゃあ登録だけしとくね…。」
僕はローザを指名したバチが当たったんだと思った。
先程の本部に戻って来ると、僕達は名前を登録をし、大会の主催者数名に顔をジロジロと見られた。
結果的に言うと決勝にはローザと僕が残ってしまった。
ガッカリしている僕の反面、ローザはガッツポーズで「よっしゃー!」と喜んでいる。
その姿に「ローザ、そんなに嬉しいの?」と聞くと「嬉しいよ!だって優勝したら無料券1年分だよ!?1人分で上限はあるとしてもかなりお得だし!それに僕は優勝出来なくてもいいんだ。きっと優勝者は決まってるから…!」と言い出した。
「えっ?どういうこと?」
と聞いたが「フェル様は立ってるだけでいいよ!始まればわかるから!」とはぐらかされてしまった。
そしてダンスの発表会と大食い大会が終わり、いよいよ女装選手権が始まった。
決勝に残った10名は女性に衣装と化粧をしてもらい綺麗に着飾られている。
僕は淡い黄緑色のドレスを着せられ、ローザはピンク色だ。
実は僕はローザの母親から日焼け防止の為に底が深めでツバも大きめの麦わら帽子を被せられていた。
他の子はしてないのに…。
何故かわからないが、どうしてもと言われ断ることが出来なかった。
そのまま選手権の為に裏に設置してあるテントに来たのだが帽子を取った瞬間、お手伝いの女性は目を丸くして頰を染めていた。
「(さっき、主催者のおじさんもなってたな…。)」
と思いながら女性に着せ替えられ、気付いた時にはかなりの完成度の高さだった。
「(なんか頭に凄い小さい帽子が付いてるんですけど!それにこの顔にかかる網みたいの何!?これがオシャレなの?)」
と疑問に思ったが、自分でも少し見惚れてしまったのはここだけの話だ。
お手伝いの女性のやりきった感が凄かったが、ニコニコしながら送り出してくれたので精一杯愛想を振りまこうと決意した。
僕はNO.9でローザはNO.3。
順番にステージに並び、番号で投票される仕組みだ。
僕達はステージ裏に待機し、番号を呼ばれるのを待つ。
NO.3が呼ばれ、ローザが「いってきまーす!」と意気揚々に出て行った。
ステージ上に出て行ったローザへの歓声は裏に居ても聞こえる。
「(凄いなぁ…ローザ。でも優勝者は決まってるってどういうことだろう…?出来レースとか…?じゃあなんでこんなことするんだろ?)」
と思っていると僕の番号が呼ばれた。
思い切って笑顔で飛び出してみると会場がシーンとなる。
「(えっ…?変だった…?僕、結構似合ってると思ってたんだけど…。)」
と恥ずかしくなり俯いた。
するとスミティが大声で「可愛いー!」と叫び、その声を皮切りに会場内がドッと盛り上がった。
その反応にとりあえず一安心し、僕もステージ上に並んだ。
チラッとアニスやローレルを見ると小さく手を振ってくれている。僕も控え目に振り返した。
それからNO.10の人まで呼ばれ、簡単にNO.1から自己紹介することとなった。
予定通り、名前と年齢と一言、言うだけだ。
僕は最後に「宜しくお願い致します。」と言えばいいや、と思っていたが、なんとNO.1の人が一言以外に特技を披露してしまった。するとNO.2の人も負けじとやり始め、ステージ上は特技自慢の場となってしまった。
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