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第3章
167. サックルさんへの告白
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「えっ!?どうされたんですか!?」
何故、彼が謝るのか分からない。
「その犬…僕のなんです…。」
「えっ?」
「昨日の深夜、私が目が覚めた時に部屋にいなくて、でもいつものことだったんで放置してたんです。今朝には戻って来てましたし。それでその犬…サフランって言うんですけど、サフランの魔力が上がってて…。どうしたんだって問いただしたら人から魔力を貰ったって言いだして…!」
「(えっ…それじゃあ僕、この人に昨日何があったかバレてるの…?)
あの…じゃあ昨日の…。」
「ああっ!言わなくて結構です!分かっておりますので!昨日、私があげた塗り薬の中に蜂蜜などの甘い成分が入ってまして、それがサフランの大好物なんです…今までもよく瓶から舐め取られたりしてたんですが、まさか他の方のところまで行くとは思いませんでした…。」
彼の顔色はローブで見えなかったが、きっと赤くなっていることだろう。しかし本当に申し訳なく思っているのが伝わってきたので、このことは一生黙っていることにする。
「ああ…もういいです…昨日のことは忘れることにします。それで…先程、問いただしたって言いましたが、その犬は喋れるんですか?」
「ええ、サフランは獣人なんです。普段から獣の姿の方が楽だそうで滅多に獣人にはなりません。発情期以外はずっと獣です。」
「そうですか…。
(発情期じゃなくて良かった…。)」
「あの、本当にすみませんでした!」と謝る彼に「いいえ、大丈夫です。僕は忘れるのであなたも忘れてくださいね。」と念押ししておいた。お詫びに…と昨日の塗り薬を追加で渡され、複雑な気持ちになりながらそれを受け取った。
彼と別れた僕は早速、馬車に乗り込みサックルさんの森を目指した。
3時間ほどすると、見慣れた景色が現れる。
「(やっと帰ってきたー!)」
と嬉しくなり思わず万歳をしながら伸びをする。運転手には森の入り口まで運んで貰い、別れた。
僕はサックルさんのいる洞窟へと歩いて行き、入り口に着くと「サックルさん。」と呼び掛ける。すると「フェルか?」と熊の姿のサックルさんが現れた。
「お久しぶりです…。」
「ああ…そうだな。」
この前、別れた時はアニスに無理矢理引き離してもらったのでキチンとしたお別れは出来ていない。
「この前は軽はずみな行動を取ってすみませんでした。」
僕はあの時のことをずっと後悔していた。
「いや…もう気にしていない。それで…ここに来たということは答えが出たのか?」
サックルさんは僕に目線を合わせるように四つん這いになる。
「はい…サックルさん…沢山待たせてすみませんでした。僕、色々考えて結論を出しました。サックルさん、僕を貴方の番いにしてもらえませんか?」
僕の真面目な告白にサックルさんは目を点にすると「ちょっ…ちょっと待っててくれ。」と洞窟に戻って行ってしまった。
暫く待っていると獣人姿のサックルさんが現れる。
「コッチへ来てくれ。」
と前回と同じような形で僕達は並んで座った。
「先程はすまない…少し驚いてしまった…。次にフェルがここに来るときは断りを入れられるもんだと思い、覚悟していたが…まさか了承してもらえるとは…。」
「えっ…?何故ですか?」
「あの時、フェルは恋人はいないと言ったが何処か迷っているように見えた。きっと好きな人とは言わなくても気になる人はいるんだろうと。」
「…そうですか…。
(サックルさんにはお見通しだったんだ…。)
あの…!それでサックルさんには言っておかなければいけないことがあるんです。」
「…なんだ?」
「…サックルさんの予想通り、僕にはサックルさんの他に2人も好きな人がいて…もしまだサックルさんが僕を番いにしたいと言うのならその人達と重婚することになります…それでも僕をまだ番いにしたいと思いますか…?」
僕は半泣きになりながら伝えた。
サックルさんはまたしても驚いた反応を見せ「…まさか、それをずっと気にしていたのか…?」と聞いてくる。無言で頷くとサックルさんは静かに僕の頭を撫で「私にとっては大したことではない。」とハッキリと言った。
「確かに自分の番いは唯一無二の存在。だから、出来れば自分だけの側にいて欲しい。でも私はそれをフェルには強要しない、それでフェルが離れて行くくらいなら私が我慢しよう。フェルも気にしなくていい…それに…私の発情期が来たら他の旦那を差し置いて私だけのものになってもらう。」と僕にキスをした。
何故、彼が謝るのか分からない。
「その犬…僕のなんです…。」
「えっ?」
「昨日の深夜、私が目が覚めた時に部屋にいなくて、でもいつものことだったんで放置してたんです。今朝には戻って来てましたし。それでその犬…サフランって言うんですけど、サフランの魔力が上がってて…。どうしたんだって問いただしたら人から魔力を貰ったって言いだして…!」
「(えっ…それじゃあ僕、この人に昨日何があったかバレてるの…?)
あの…じゃあ昨日の…。」
「ああっ!言わなくて結構です!分かっておりますので!昨日、私があげた塗り薬の中に蜂蜜などの甘い成分が入ってまして、それがサフランの大好物なんです…今までもよく瓶から舐め取られたりしてたんですが、まさか他の方のところまで行くとは思いませんでした…。」
彼の顔色はローブで見えなかったが、きっと赤くなっていることだろう。しかし本当に申し訳なく思っているのが伝わってきたので、このことは一生黙っていることにする。
「ああ…もういいです…昨日のことは忘れることにします。それで…先程、問いただしたって言いましたが、その犬は喋れるんですか?」
「ええ、サフランは獣人なんです。普段から獣の姿の方が楽だそうで滅多に獣人にはなりません。発情期以外はずっと獣です。」
「そうですか…。
(発情期じゃなくて良かった…。)」
「あの、本当にすみませんでした!」と謝る彼に「いいえ、大丈夫です。僕は忘れるのであなたも忘れてくださいね。」と念押ししておいた。お詫びに…と昨日の塗り薬を追加で渡され、複雑な気持ちになりながらそれを受け取った。
彼と別れた僕は早速、馬車に乗り込みサックルさんの森を目指した。
3時間ほどすると、見慣れた景色が現れる。
「(やっと帰ってきたー!)」
と嬉しくなり思わず万歳をしながら伸びをする。運転手には森の入り口まで運んで貰い、別れた。
僕はサックルさんのいる洞窟へと歩いて行き、入り口に着くと「サックルさん。」と呼び掛ける。すると「フェルか?」と熊の姿のサックルさんが現れた。
「お久しぶりです…。」
「ああ…そうだな。」
この前、別れた時はアニスに無理矢理引き離してもらったのでキチンとしたお別れは出来ていない。
「この前は軽はずみな行動を取ってすみませんでした。」
僕はあの時のことをずっと後悔していた。
「いや…もう気にしていない。それで…ここに来たということは答えが出たのか?」
サックルさんは僕に目線を合わせるように四つん這いになる。
「はい…サックルさん…沢山待たせてすみませんでした。僕、色々考えて結論を出しました。サックルさん、僕を貴方の番いにしてもらえませんか?」
僕の真面目な告白にサックルさんは目を点にすると「ちょっ…ちょっと待っててくれ。」と洞窟に戻って行ってしまった。
暫く待っていると獣人姿のサックルさんが現れる。
「コッチへ来てくれ。」
と前回と同じような形で僕達は並んで座った。
「先程はすまない…少し驚いてしまった…。次にフェルがここに来るときは断りを入れられるもんだと思い、覚悟していたが…まさか了承してもらえるとは…。」
「えっ…?何故ですか?」
「あの時、フェルは恋人はいないと言ったが何処か迷っているように見えた。きっと好きな人とは言わなくても気になる人はいるんだろうと。」
「…そうですか…。
(サックルさんにはお見通しだったんだ…。)
あの…!それでサックルさんには言っておかなければいけないことがあるんです。」
「…なんだ?」
「…サックルさんの予想通り、僕にはサックルさんの他に2人も好きな人がいて…もしまだサックルさんが僕を番いにしたいと言うのならその人達と重婚することになります…それでも僕をまだ番いにしたいと思いますか…?」
僕は半泣きになりながら伝えた。
サックルさんはまたしても驚いた反応を見せ「…まさか、それをずっと気にしていたのか…?」と聞いてくる。無言で頷くとサックルさんは静かに僕の頭を撫で「私にとっては大したことではない。」とハッキリと言った。
「確かに自分の番いは唯一無二の存在。だから、出来れば自分だけの側にいて欲しい。でも私はそれをフェルには強要しない、それでフェルが離れて行くくらいなら私が我慢しよう。フェルも気にしなくていい…それに…私の発情期が来たら他の旦那を差し置いて私だけのものになってもらう。」と僕にキスをした。
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