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番外編
10.《馴れ初め》会長・副会長
しおりを挟む「どうした、改まって?」
ロックの真剣な眼差しに少し驚いた。
「…ねぇ、シア本当のことを言って!好きな人はいる?」
「えっ…ああ、いるが…。
(本当にどうしたんだ、急に。)」
「私にも言えない人…?」
「…そうだな…時期を見て言おうと思って…「私はいるよ。」
そう食い気味に言ってくるロックに驚いた。しかし、ロックは俺から目線を逸らしながらこう続ける。
「でも私の好きな人は私のことを友人としか思ってないみたい…だからその人が振り向いてくれなかったら私は一生独身だよ。それってどう思う?」
「どうって…振り向いてもらえるようにするしかないんじゃないか?」
「…だよね?じゃあシアはいつになったら振り向いてくれるの?」
「えっ…?」
俺のその反応にロックは「はぁ~…。」と溜息を吐く。
「…ねぇ…シア。私はいつまで待てば結婚の申し入れをしてくれるの?私、待ちくたびちゃった…このままシアが貰ってくれないと私、フェンネル様の元でずっと独身なんだけど…。」
と言ってジトッとした目で見つめてくる。
俺はそれに思わず笑ってしまった。
「ハハッ!そうか…ロックは気付いてたのか。」
「そりゃあ…あれだけベタベタされたら誰だって気付くでしょう?」
「でも、何も言わなかったじゃないか?」
「それはシアもでしょう?昔はあんなに一緒に居たのに今じゃ…こんな時にしかお互いに会えない…私は寂しいよ…。」
そう言ってロックは下を向く。
俺はそっとロックに近付くと抱き締めながら「…すまない、ロック。俺が騎士団に所属しているから…。」と謝った。
ロックはバッとこちらを見上げると「だったら!結婚して家から通えばいいじゃない!」と俺を睨みつけながら顔を赤くして言ってくる。
その言葉に俺のニヤニヤが止まらない。俺はそのニヤケ顔を隠すようにロックの首元に顔を寄せ、思い切り抱き締めた。
「ああ…そうだな…。まさかロックの方から言ってくるとは思わなかった。」
「ホントだよ…!私だってシアからの情熱的な告白を待ってたのに。」
ロックはそう言うと俺の背中をポカポカ叩いてくる。俺はそんな可愛いことをするロックの頰に口付けるとロックを抱き締める腕を緩めた。
「では…遅くなったがコレを…。」と今日渡すつもりだった品物を胸ポケットから取り出す。
「…何それ?」
「まぁ開けてみろ。」
ロックは不思議な顔をしながら箱を開ける。
「わぁ…!コレって…騎士団で最優秀者にしか貰えないペンダントじゃ…?」
「ああ、そうだ。学年で1人しか貰えないものだ。コレを誰かに贈る意味は知っているか?」
「ううん?」
「コレを贈った相手を一生護るという意味がある。」
「えっ…じゃあコレって…。」
「ああ…遅くなってすまない…ロック、俺と結婚してくれ。」
俺のその告白にロックは一瞬赤くなったが次の瞬間、プッと噴き出した。
「あ~…急かして良かった!このままじゃ私、一生独身のままだった。」
「えっ…そうなのか?…他に選択肢はなかったのか?」
「…何?私が他の人と結婚してもいいって言いたいの?」
「いや、そうじゃない、ロックの相手は俺だけだからな。」
そう言ってお互いに笑い出す。
ひと笑いした後、ロックが俺に寄り添ってくる。
「ねぇシア、私、子供は3人欲しいんだ。」
と妖艶に微笑む。
「…努力しよう。」
俺は僅かに頰を染め了承した。
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