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番外編
13. 《子育て2》カラマス編
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カラマス君との息子"ホップ"が生まれて早半年。
タジェット兄様との息子、タンジェリンもカラマス君もホップにメロメロだ。
ホップの容姿は僕に似て銀髪で童顔。瞳の色はカラマス君と同じ碧目である。
タンジェは僕との約束を守っているのかそれとも自発的なのか暇さえあればホップの元へ訪れる。それにはエリーも頭を悩ませていた。
「タンジェリン様…やはりココにいましたか…。」
エリーは「はぁ~。」と溜息を吐きながら僕の部屋に入ってくる。
「お疲れ様、エリー。ごめんね、タンジェが振り回して。」
「いいのですよ、フェンネル様。タンジェリン様がいなくなったと思えば必ずココにいるのは分かっていますので…。」
エリーはそう言いながらも疲れているようだった。
「タンジェ、エリーに心配かけたらダメだよ。きちんとお勉強する時は自分の部屋に戻りなさい。」
「え~…母様、お願い!僕の勉強するお部屋をここにして!そしたら一生懸命、勉強するから!」
とタンジェは僕に縋り付く。
しかし、僕は敢えて厳しくこう伝えた。
「…それはダメ。ホップが泣いたらすぐにタンジェはココに来るでしょう?そしたらお勉強が途中で止まっちゃう。それは教えてくれる先生にも失礼だし、ホップもきっと悲しいよ。お勉強はお勉強としてしっかりやってホップと遊ぶのはお勉強が終わってからね。もし母様との約束が守れないなら、しばらくホップとは遊べなくするよ!」
と伝えた途端「それは嫌~!」と泣き出すタンジェ。
その時、部屋にカラマス君が入ってきた。
「タンジェ、どうした?」
タンジェはカラマス君が入ってきたのに気付くと「カラマス父様~!」と叫びながら抱き着く。カラマス君はそれをしゃがんで受け止めると、よいしょと抱き上げる。
「なんで、泣いてるんだ?父様に教えてくれ。」
「うっ…ぐず…母様が約束守れないならホップと遊んじゃダメだって…。」
「…そうか。それは悲しいなぁ…きっとホップもタンジェがカッコイイ兄様でいて欲しいって思ってるぞ。だから母様との約束を守ってホップと沢山遊んであげなくっちゃ。タンジェは出来るだろ?」
「んっ…うん!出来る!ホップにカッコいい兄様って思ってもらいたい!」
「そうか、なら母様との約束、守れるな?」
「うん!わかった!ちゃんとお勉強する!」
「そうか、えらいぞ、タンジェ。」
とカラマス君はタンジェの頭を撫でる。それからタンジェを降ろすと「ほら、エリーと勉強しておいで。」と背中を押した。
「カラマス様、ありがとうございました。」とエリーは頭を下げるとタンジェと共に部屋を出て行った。
「カイ…ありがとう。ホップのこととなるとタンジェは言うこと聞かなくて…。」
「いや、気持ちはわかるさ。こんなに可愛い弟が出来たんだ、離れたくなくなるだろ?」
とカラマス君はホップの頰をプニプニと突きながら微笑ましげに寝顔を見つめる。
「俺だって仕事が終われば一目散に戻って子供達を愛でたいよ。タンジェもお兄ちゃんらしくなって可愛いしホップもフェルに似て美人だ。」
そう褒めるカラマス君はニヒヒッと笑う。
「…もう!カイったら…褒めたって何もないからね。」
と僕が笑うと「まぁやっぱり1番はフェルだけどな。」と顔を寄せチュッと軽く口付ける。
「フフッ、ありがとう。僕もカイを愛してるよ。」
と返すと
「俺だって負けないさ。」
と2人で笑い合った。
それから暫く談笑しているとホップが話し声で起き、ぐずりだした。
「ファァァ…ファァァ…!」
「あぁ…起きちゃった…ごめんねぇ…おっぱいかな?はぁーい、あげますからねー。」
とホップを抱き起こす。
僕がおっぱいをあげている様子にカラマス君は「フェルも母親なんだなぁ…。」と感慨深く呟いた。
「ん?どうしたの?」と聞くと「だって俺達が出会ってもう13年だぜ?色々あったけど、俺は初恋が実った幸せ者なんだなぁ…って思ってさ。」
「…フフッ、そんなの今更じゃない。あれだけ熱烈に告白してきたのに。」
「まぁな。あの時はホント必死だった。お祖父様に認めてもらえなくて悔しい想いもしたしな。」
「そうだねぇ…あの時は正直、カラマス君と結婚なんて考えられなかったかな…勘違いとはいえ、姉様を馬鹿にされたし…。」
「うっ…!悪かったよ。お祖父様も謝ったんだし許してくれ!」
とカイは僕に手を合わせる。
「うん…今はもう気にしてないよ。今だから言えるけど、あれは全部ジェイの仕業らしいから。」
「えぇ!?タジェット様、そんなことしたのか!?」
「うん…まぁ…ライバルを減らしたい一心でやったらしいけど…。」
「…そうか…タジェット様ならやりかねないかもな…。俺もフェルのことは好きだけどタジェット様には勝てる自信がない…。」
「フフッ…ジェイは嫉妬深いからね…僕は生まれたときから狙われてたよ。」
「えっ…それは初耳だ…。」
「大丈夫だって。ジェイの愛情の重さは昔からよく知ってるし、カイの気持ちも十分僕に伝わってるから。だから僕はすごーく幸せだよ。ありがとね、カイ。」
「いや、俺こそ選んでくれてありがとう。これからも沢山愛して行くから宜しくな。」
「うん、こちらこそ。」
と僕達は改めてお互いの愛情を確かめ合い、抱き合った。
タジェット兄様との息子、タンジェリンもカラマス君もホップにメロメロだ。
ホップの容姿は僕に似て銀髪で童顔。瞳の色はカラマス君と同じ碧目である。
タンジェは僕との約束を守っているのかそれとも自発的なのか暇さえあればホップの元へ訪れる。それにはエリーも頭を悩ませていた。
「タンジェリン様…やはりココにいましたか…。」
エリーは「はぁ~。」と溜息を吐きながら僕の部屋に入ってくる。
「お疲れ様、エリー。ごめんね、タンジェが振り回して。」
「いいのですよ、フェンネル様。タンジェリン様がいなくなったと思えば必ずココにいるのは分かっていますので…。」
エリーはそう言いながらも疲れているようだった。
「タンジェ、エリーに心配かけたらダメだよ。きちんとお勉強する時は自分の部屋に戻りなさい。」
「え~…母様、お願い!僕の勉強するお部屋をここにして!そしたら一生懸命、勉強するから!」
とタンジェは僕に縋り付く。
しかし、僕は敢えて厳しくこう伝えた。
「…それはダメ。ホップが泣いたらすぐにタンジェはココに来るでしょう?そしたらお勉強が途中で止まっちゃう。それは教えてくれる先生にも失礼だし、ホップもきっと悲しいよ。お勉強はお勉強としてしっかりやってホップと遊ぶのはお勉強が終わってからね。もし母様との約束が守れないなら、しばらくホップとは遊べなくするよ!」
と伝えた途端「それは嫌~!」と泣き出すタンジェ。
その時、部屋にカラマス君が入ってきた。
「タンジェ、どうした?」
タンジェはカラマス君が入ってきたのに気付くと「カラマス父様~!」と叫びながら抱き着く。カラマス君はそれをしゃがんで受け止めると、よいしょと抱き上げる。
「なんで、泣いてるんだ?父様に教えてくれ。」
「うっ…ぐず…母様が約束守れないならホップと遊んじゃダメだって…。」
「…そうか。それは悲しいなぁ…きっとホップもタンジェがカッコイイ兄様でいて欲しいって思ってるぞ。だから母様との約束を守ってホップと沢山遊んであげなくっちゃ。タンジェは出来るだろ?」
「んっ…うん!出来る!ホップにカッコいい兄様って思ってもらいたい!」
「そうか、なら母様との約束、守れるな?」
「うん!わかった!ちゃんとお勉強する!」
「そうか、えらいぞ、タンジェ。」
とカラマス君はタンジェの頭を撫でる。それからタンジェを降ろすと「ほら、エリーと勉強しておいで。」と背中を押した。
「カラマス様、ありがとうございました。」とエリーは頭を下げるとタンジェと共に部屋を出て行った。
「カイ…ありがとう。ホップのこととなるとタンジェは言うこと聞かなくて…。」
「いや、気持ちはわかるさ。こんなに可愛い弟が出来たんだ、離れたくなくなるだろ?」
とカラマス君はホップの頰をプニプニと突きながら微笑ましげに寝顔を見つめる。
「俺だって仕事が終われば一目散に戻って子供達を愛でたいよ。タンジェもお兄ちゃんらしくなって可愛いしホップもフェルに似て美人だ。」
そう褒めるカラマス君はニヒヒッと笑う。
「…もう!カイったら…褒めたって何もないからね。」
と僕が笑うと「まぁやっぱり1番はフェルだけどな。」と顔を寄せチュッと軽く口付ける。
「フフッ、ありがとう。僕もカイを愛してるよ。」
と返すと
「俺だって負けないさ。」
と2人で笑い合った。
それから暫く談笑しているとホップが話し声で起き、ぐずりだした。
「ファァァ…ファァァ…!」
「あぁ…起きちゃった…ごめんねぇ…おっぱいかな?はぁーい、あげますからねー。」
とホップを抱き起こす。
僕がおっぱいをあげている様子にカラマス君は「フェルも母親なんだなぁ…。」と感慨深く呟いた。
「ん?どうしたの?」と聞くと「だって俺達が出会ってもう13年だぜ?色々あったけど、俺は初恋が実った幸せ者なんだなぁ…って思ってさ。」
「…フフッ、そんなの今更じゃない。あれだけ熱烈に告白してきたのに。」
「まぁな。あの時はホント必死だった。お祖父様に認めてもらえなくて悔しい想いもしたしな。」
「そうだねぇ…あの時は正直、カラマス君と結婚なんて考えられなかったかな…勘違いとはいえ、姉様を馬鹿にされたし…。」
「うっ…!悪かったよ。お祖父様も謝ったんだし許してくれ!」
とカイは僕に手を合わせる。
「うん…今はもう気にしてないよ。今だから言えるけど、あれは全部ジェイの仕業らしいから。」
「えぇ!?タジェット様、そんなことしたのか!?」
「うん…まぁ…ライバルを減らしたい一心でやったらしいけど…。」
「…そうか…タジェット様ならやりかねないかもな…。俺もフェルのことは好きだけどタジェット様には勝てる自信がない…。」
「フフッ…ジェイは嫉妬深いからね…僕は生まれたときから狙われてたよ。」
「えっ…それは初耳だ…。」
「大丈夫だって。ジェイの愛情の重さは昔からよく知ってるし、カイの気持ちも十分僕に伝わってるから。だから僕はすごーく幸せだよ。ありがとね、カイ。」
「いや、俺こそ選んでくれてありがとう。これからも沢山愛して行くから宜しくな。」
「うん、こちらこそ。」
と僕達は改めてお互いの愛情を確かめ合い、抱き合った。
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