まるで無意味な召喚者~女神特典ってどこに申請すればもらえるんですか?~

廉志

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第五章 まるで祟りな夏祭り

CASE29 水着コンテスト パプカ ジュリアス

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ステージで行われるメインイベント。ディーヴァが行方不明となって第一幕は終了。
続いてのリール村名物、オタクトリオのバンド演奏に移ったが…………正直論評のしようが無いので割愛。
まとめて言うなら、下手では無いが上手くもない。そこらの素人バンドが、素人の集まったコンサートで演奏しているようなものだった。
特に騒動も起こさなかったし、彼らにしてはおとなしいイベントである。ならば俺が言うことは何もない。
その後幾つかの村人の出し物を惰性で見つつ、ようやく最後のイベントが行われる。

『皆様……と言うより男性の方々。大変長らくおまたせ致しました! 本日ラストにしてメインイベントの中のメインイベント! 夏を彩る美女たちの! 水着コンテスト開催だぁー!!』

「「「おおおおおおおおおおおおぉっ!!」」」

と喜びの声を上げるのは男性諸君だけだった。内陸部である東部において、水着が見られるというのだから、その興奮は推して知るべし。
加えて、その大半が独身の冒険者たちだ。普段から女に飢えた獣共。ここぞと言わんばかりに盛り上がりを見せている。
絶対数としては少ない女性客も、物珍しさから席を立たず、このイベントを楽しみにしているようだ。流石に男たちほどの興奮はないが。
俺だって、美女たちの水着が見れるというのは嬉しい。しかも、審査員としてステージ上の特等席に座ることができたのだから、ここはパプカに感謝だろう。
審査員は俺を除いて二人。
パプカがコンテストに参加するため氷を作ることができず、暇になった男、ゴルフリートのおっさん。
そして、司会と審査員を掛け持ちする職権を乱用した男、アグニス。
計三人で審査が行われ、その他観客からの投票を集計して順位とするらしい。

そう言った説明がアグニスから為されるが、早く水着美女を見たい男たちから野次と共に、屋台のゴミや小石、果てはナイフなどが投げ込まれた。流石に意図的に外してはいるが、冒険者とは加減の知らない荒くれ者たちである。

『で、では早速、最初のお一人を紹介いたしましょう! エントリーナンバーワン! 可愛らしい容姿とは裏腹に、プラチナランクの冒険者! 稀代の魔法使いであり、冒険者たちのムードメーカー! 我らが頼れる幼女! パプカ・マグダウェルさんです!』
「「「おおおおおおおおおおおおぉ………おぉ?」」」

拍手と歓声とともに現れたパプカ。しかしその歓声は途中から尻すぼみ。
なぜならば、彼女の水着が素っ頓狂なものだったからである。

「…………なんでスク水?」

ふふんと胸を張るパプカが着込むのは、紺色のワンピースタイプ。ぺったんこな胸には、白いゼッケンがつけられて、そこには大きく『パプカ』とカタカナで書かれていた。
ハッキリ言ってしまえば、ボインを期待していた男たちは見るからに落胆していた。一部の人間は鼻息荒く、興奮しているロリコンも居るようだが、まあかなりの少数であった。

「えーっと……パプカ? その水着……何処で手に入れた?」
「おや、早速質問タイムですか? 良いでしょう、お答えします。この水着は、普段から愛用している魔導通販で購入しました!」

魔導通販。
この世界における電話。念話機と呼ばれる道具を用いて連絡し、全国どこでも商品を発送してくれるという、大変便利なシステムである。
そしてパプカはそのシステムの愛用者。怪しげな薬やら似合いもしない下着やら。そう言った無駄遣いをするのが、彼女にとっての一種の趣味なのである。
通販会社はたくさんあって、信用のおける会社から、明らかに詐欺と思しき会社までいろいろだ。
そんな中でも、召喚者と転生者が集まって興した会社がひときわ目立って存在する。
恐らく、パプカが今着ているスク水も、その通販会社から取り寄せたものなのだろう。日本語がゼッケンに刻まれているから間違いない。

「……ちなみに、なぜその水着を選んだんだ?」
「私の身体のサイズを送って、「一番似合う水着をください」と言ったらコレが届きました」

…………まあ、確かに似合っているよ。水着コンテストの趣旨が伝わっているかはともかく。

「うおぉー! 可愛いぞパプカー!!」
「ありがとうございますお父さん! コレは優勝間違いないでしょう!」

一体その自信はどこからくるんだろうか。

『あー……では質問も終わったようですので、お次の方に移りたいと思います。パプカさん、ありがとうございました!』

まばらな拍手を前に、パプカはステージの端へと移動した。
彼女には悪いが、あまり良い結果が出るとは思えない。一定の需要があることは認めるし、実際見た目は可愛かったものの、大多数が求めているのはセクシーさであり、ロリではないのだ。

『エントリーナンバーツー! ようやく盗賊にジョブチェンジ! 愛読書はミナス・ハルバンの大冒険! 愛すべきポンコツ冒険者!』
「こらぁ! もうちょっとマシな紹介をしろぉ!」

舞台裏から、抗議の声が上がった。

『…………えっと、誰もが望んだプロポーション! 残念美人のジュリアス・フロイラインさんです!』
「アグニス、ちょっと後で舞台裏に来い。話し合う必要がありそうだ」

アグニスの紹介に、ややキレ気味のジュリアスが姿を表した。
そして大歓声が巻き起こり……再び尻すぼむ。パプカに続いて二回目であった。
抜群のプロポーションを誇るジュリアスが、このようなイベントで躓くとは思えない。むしろ、彼女のためにあるようなイベントだと言っていいだろう。
しかし、登場したジュリアスは、上着として薄手のパーカーを着込んでいたのだ。せっかくの水着が、コレでは何の意味もない。



一方の男客たちはブーイングの嵐。
間違いなく、水着コンテストの目玉である、ジュリアスの水着姿。それが見れないと言う事実が、彼らを激高させているのである。

「そ、そんなこと言われても! そもそも私は参加するつもりはなかったんだ!」
「なんだよジュリアス、男らしくないぞ!」
「私は女だ!」

おっさんの野次に続いて、観客からも不満の声が次々と漏れる。様相としては、今にも暴動が怒ってしまいそうだ。
そんな男たちの気持ちを汲んでか、パプカがジュリアスの背後に現れた。

「ええい! 往生際が悪いですよジュリアス! さっさとそのボインをあらわしなさい!」
「ひきゃぁっ!?」

不意打ちにてパーカーを剥ぎ取ると、やはりジュリアス。抜群のプロポーションの水着姿がお目見えした。
シンプルな赤色のビキニ。上も下もかなり際どく、こういった状況でなければ、目をそらすほど艶めかしい。
まあ、水着コンテストの審査員というのは、見るのが仕事である。だから思う存分、この目に彼女の身体を焼き付けてくれる。

「さ、サトー! 目が血走ってるぞ、怖い!」

水着コンテストエントリーナンバーツー。二人目でこのクオリティとは、このコンテスト、なんとも侮れないイベントだ。
ジュリアスの水着が露見したことにより、会場は最高潮の盛り上がりを見せている。
今にも男たちがステージ上に上がってくるのではないかと思うほどの迫力だ。
ゴルフリートのおっさんが目線で彼らを押さえているようだ。なるほど、おっさんを審査員にしたのは、こういった理由もあったのか。
ひとまずジュリアスの審査も終了。俺が知っている参加者はこの二人だけであり、次に誰が出てくるかは知らない。
快諾した仕事内容ではなかったが、中々楽しくなってきた。



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