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四冊目 りんごあめと白雪王子 ~絶対恋愛関係にならない二人の最後の夏休み
プロローグ……② 勝行side
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その頃、鳴り響く授業開始のチャイムに慌てて通話を切った勝行は、持っていたスマホをさっとズボンのポケットにしまい込んで教室に戻った。五時間目の授業は内容も教師も厳しく、サボリが許されない数Ⅲだ。
俺だって帰れるのなら帰りたいけど、と思いながらもう一度スマホに手を伸ばす。けれどすぐに教師がやってきたので、その手は空を掴んだまま机上に出すしかなかった。やむなく切ってしまった通話の続きをメールでフォローしたかったのだが、今は無理そうだ。とりあえずは護衛SPにピアノ配達を頼まねば。
(なんだよ……。大体、朝までずっとあいつの傍にいてやったのに……起きた途端、ピアノとか。……あの、バカ)
どれだけ周りに心配をかけたかなんて、あのわがまま男はきっと何もわかっちゃいない。挙げ句毎日見舞いに行って、付き添いの限界時間まで一緒に過ごしているのに、ピアノには負けるのか、と思うとなんだか無性に腹が立っていた。ちょっとぐらいは苛めてもいいか、と一旦連絡を諦め、勝行は記号だらけのノートを広げた。
窓から漏れる蝉の鳴き声が、ジイジイと耳について離れない。
うだるような暑さの中、高校生活最後の夏休みが間もなく始まろうとしている日のことだった。
俺だって帰れるのなら帰りたいけど、と思いながらもう一度スマホに手を伸ばす。けれどすぐに教師がやってきたので、その手は空を掴んだまま机上に出すしかなかった。やむなく切ってしまった通話の続きをメールでフォローしたかったのだが、今は無理そうだ。とりあえずは護衛SPにピアノ配達を頼まねば。
(なんだよ……。大体、朝までずっとあいつの傍にいてやったのに……起きた途端、ピアノとか。……あの、バカ)
どれだけ周りに心配をかけたかなんて、あのわがまま男はきっと何もわかっちゃいない。挙げ句毎日見舞いに行って、付き添いの限界時間まで一緒に過ごしているのに、ピアノには負けるのか、と思うとなんだか無性に腹が立っていた。ちょっとぐらいは苛めてもいいか、と一旦連絡を諦め、勝行は記号だらけのノートを広げた。
窓から漏れる蝉の鳴き声が、ジイジイと耳について離れない。
うだるような暑さの中、高校生活最後の夏休みが間もなく始まろうとしている日のことだった。
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