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五冊目 恋愛相談には危険がいっぱい!? ~えっちな先生いかがですか
……⑤ ♡
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今日も彼は分厚い参考書を片手に、淹れてあげたコーヒーを啜っている。
おやすみ、と小さく呟くと、こちらを振り向き優しい笑顔を零す。
「おやすみ。今日も早めに就寝できて偉いね」
「……こ……子ども扱いすんな」
風呂上がりの火照った身体を捩りながら、光は今日もいつも通りのキスを強請った。はいはい、と小馬鹿にしたような溜息をついて椅子から立ち上がり、勝行は頬に口づける。それじゃない、と拗ねた顔を見せたら、きちんと唇も愛撫してくれる。うっとりするほどの甘い時間を堪能していたら、早い段階でそれは離れてしまった。
「さっきまでコーヒー飲んでたから、苦いでしょ」
「……」
黙って首を横に振ると、ならよかった、と甘い声で微笑む。
「怖い夢を見ないですみますように。また明日ね」
寝る前のキスは突然一人きりになるのが怖い光にとって、子どもの頃からずっと依存してきた癖だった。また明日、の言葉を信じて眠りにつく。明日になればきっとまた、大好きな家族が傍にいる。一人じゃない。
一度家族も友人も何もかも失った光は、言葉より確かな温もりが欲しくて、同居人の勝行に何度も無茶な我儘を押し付けてきた。
「あ……あのさ、勝行……」
「何? もしかしてキスだけじゃ眠れないのかな。寝付くまで傍にいてあげようか」
「……う……いや……そうじゃなくて……」
キスだけで反応してしまった自分の股間をシャツで必死に隠しながら、光は何度も口ごもった。だがその目に映るのは、コーヒーの横に積み上げられた大学受験対策の分厚い問題集。それからWINGSのスコア表。スケジュールがたっぷり詰まった手帳には、仕事先で交換したと思われる名刺が束で無造作に詰め込まれている。女性らしき名前もそこにはあった。
「……やっぱ……いい……今日は、大丈夫」
「そう?」
「お前……受験勉強すんだろ。お前こそ、無理して根詰めしすぎるなよ」
「わかってるよ、ありがとう」
光が懸命に気を遣っていることに気づいているであろう勝行は、その柔らかい金髪を犬のようにくしゃりと撫でてもう一度おやすみと囁いた。
「大丈夫だよ、何かあったらすぐ傍にいくから」
ピアスの傍に近づくその息遣いが首元にかかり、光の身体は意に反してびくりと反応してしまう。
こんな何気ない仕草ひとつで頬が赤くなったのを見られたくなくて、光はそっぽを向いた。
「また……明日……」
自室に戻り、ひとりベッドに寝転がる。
こんな風に毎日毎晩優しく甘やかしてくれるけれど、夏休みの旅行以来勝行とはキス以外なにもしたことがない。元々二人暮らしを始めた時から、こんな関係だったから当たり前と言えば当たり前なのだが。
「……っは……はあ……」
無駄に火照った下半身の疼きをどうにか治めたくて、光は自分の乳首に恐る恐る指を這わせた。惰性ながらもピリピリ感じる甘い刺激に吐息を漏らし、もう片方の手を完勃ちした男の象徴に添える。
強く、弱く。また強く握りしめて、擦りあげる。こんなことをしないと耐えられない身体の疼きに涙を零しながら。乳首に飽き足らず、自分の唾液で濡らした指を後ろに這わせては悩ましい声を零す。
(だめだ……足りない……全然……こんなんじゃ……)
あの日みた勝行の余裕ない表情と、喉奥まで押し付けられた雄の象徴を思い出すだけでどくり心臓が跳ね上がる。
あのでっかいの、重ねて押し付けられたら気持ちよかったなとか。
指が中をぐりぐりしてくるの、もっとやってほしかったとか。
もう一度、もう一回……
(……えっちなことしてくれなんて、言えるかよ畜生!)
見ず知らずの男に毎日輪姦されていた過去の自分は、死ぬほどセックスが嫌いだったくせに。父親に何度も犯され、否応なしに性行為漬けの日々を送っていた黒歴史を、今度こそ捨てることができたはずなのに。
あれから一体自分の身体はどうなってしまったのだろうか。本当は淫乱で、どうしようもないダメクズ人間なのは――自分なのでは?
この際バリタチだと笑って公言していたあの男でもいい。とにかく今すぐこの火照りを沈ませてほしい。夏休み以来、消化しきれない淫らな性欲が復活してしまったことに悔し涙を浮かべながら、光はひとりベッドでの自慰に明け暮れた。
今日も彼は分厚い参考書を片手に、淹れてあげたコーヒーを啜っている。
おやすみ、と小さく呟くと、こちらを振り向き優しい笑顔を零す。
「おやすみ。今日も早めに就寝できて偉いね」
「……こ……子ども扱いすんな」
風呂上がりの火照った身体を捩りながら、光は今日もいつも通りのキスを強請った。はいはい、と小馬鹿にしたような溜息をついて椅子から立ち上がり、勝行は頬に口づける。それじゃない、と拗ねた顔を見せたら、きちんと唇も愛撫してくれる。うっとりするほどの甘い時間を堪能していたら、早い段階でそれは離れてしまった。
「さっきまでコーヒー飲んでたから、苦いでしょ」
「……」
黙って首を横に振ると、ならよかった、と甘い声で微笑む。
「怖い夢を見ないですみますように。また明日ね」
寝る前のキスは突然一人きりになるのが怖い光にとって、子どもの頃からずっと依存してきた癖だった。また明日、の言葉を信じて眠りにつく。明日になればきっとまた、大好きな家族が傍にいる。一人じゃない。
一度家族も友人も何もかも失った光は、言葉より確かな温もりが欲しくて、同居人の勝行に何度も無茶な我儘を押し付けてきた。
「あ……あのさ、勝行……」
「何? もしかしてキスだけじゃ眠れないのかな。寝付くまで傍にいてあげようか」
「……う……いや……そうじゃなくて……」
キスだけで反応してしまった自分の股間をシャツで必死に隠しながら、光は何度も口ごもった。だがその目に映るのは、コーヒーの横に積み上げられた大学受験対策の分厚い問題集。それからWINGSのスコア表。スケジュールがたっぷり詰まった手帳には、仕事先で交換したと思われる名刺が束で無造作に詰め込まれている。女性らしき名前もそこにはあった。
「……やっぱ……いい……今日は、大丈夫」
「そう?」
「お前……受験勉強すんだろ。お前こそ、無理して根詰めしすぎるなよ」
「わかってるよ、ありがとう」
光が懸命に気を遣っていることに気づいているであろう勝行は、その柔らかい金髪を犬のようにくしゃりと撫でてもう一度おやすみと囁いた。
「大丈夫だよ、何かあったらすぐ傍にいくから」
ピアスの傍に近づくその息遣いが首元にかかり、光の身体は意に反してびくりと反応してしまう。
こんな何気ない仕草ひとつで頬が赤くなったのを見られたくなくて、光はそっぽを向いた。
「また……明日……」
自室に戻り、ひとりベッドに寝転がる。
こんな風に毎日毎晩優しく甘やかしてくれるけれど、夏休みの旅行以来勝行とはキス以外なにもしたことがない。元々二人暮らしを始めた時から、こんな関係だったから当たり前と言えば当たり前なのだが。
「……っは……はあ……」
無駄に火照った下半身の疼きをどうにか治めたくて、光は自分の乳首に恐る恐る指を這わせた。惰性ながらもピリピリ感じる甘い刺激に吐息を漏らし、もう片方の手を完勃ちした男の象徴に添える。
強く、弱く。また強く握りしめて、擦りあげる。こんなことをしないと耐えられない身体の疼きに涙を零しながら。乳首に飽き足らず、自分の唾液で濡らした指を後ろに這わせては悩ましい声を零す。
(だめだ……足りない……全然……こんなんじゃ……)
あの日みた勝行の余裕ない表情と、喉奥まで押し付けられた雄の象徴を思い出すだけでどくり心臓が跳ね上がる。
あのでっかいの、重ねて押し付けられたら気持ちよかったなとか。
指が中をぐりぐりしてくるの、もっとやってほしかったとか。
もう一度、もう一回……
(……えっちなことしてくれなんて、言えるかよ畜生!)
見ず知らずの男に毎日輪姦されていた過去の自分は、死ぬほどセックスが嫌いだったくせに。父親に何度も犯され、否応なしに性行為漬けの日々を送っていた黒歴史を、今度こそ捨てることができたはずなのに。
あれから一体自分の身体はどうなってしまったのだろうか。本当は淫乱で、どうしようもないダメクズ人間なのは――自分なのでは?
この際バリタチだと笑って公言していたあの男でもいい。とにかく今すぐこの火照りを沈ませてほしい。夏休み以来、消化しきれない淫らな性欲が復活してしまったことに悔し涙を浮かべながら、光はひとりベッドでの自慰に明け暮れた。
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