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Lv.2 濃厚接触ゲーム
14 フィルターのない世界へ
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「お待たせしました。モバイルオーダーの……ってまたサエか。あれ、太一も一緒?」
「あ、滝沢だーお疲れぃ」
熱々のチキンナゲットを二つ、トレイにのせてやってきたのは店員ユニフォームの滝沢だった。放課後デート成功かと言わんばかりにニヤニヤする滝沢の顔がまともに見れず、圭太はそっぽを向いた。代わりに太一が「今日大変だったんだぞぉ」とまゆを吊り下げて語り出す。
「お前のファンの子たちに、ケイタがいじめられててさ」
「はあ? 何それ。誰がやった、名前言え。ぶん殴ってやる」
ふざけたノリでトレイを置いた滝沢だが、話を聞くや否や怖い顔で物騒なことを言い出した。圭太は慌てて「もう解決したから、いいって」と否定する。
マスク越しでもわかる、滝沢は自分のために本気で怒ってくれている。それだけでもう十分だと感じた。むしろ滝沢を悪者扱いした自分が恥ずかしすぎるので、とっとと記憶から抹消したい。
「さっきラインにスタ爆しちまったけど、その話はもう終わったから。気にすんなよ」
「やっぱ滝沢に助け求めてたんだ? えー妬けるな」
「いやいや……あの時太一いるかどうかわからなかったから。色々言ってくれて助かったし、嬉しかったよ」
「……なんだなんだこの茶番劇。そこまで言っといて俺だけ仲間外れかよー?」
人前でいちゃつきやがって、と滝沢は盛大なため息をついた。
「寂しいじゃん、俺のせいだったらなお更、秘密はナシだろ。もうすぐバイト終わるから待っててくれよ。話しながら一緒に帰ろうぜ」
「え、何時になるんだよそれ」
「代わりにコーラおごってやるから」
滝沢らしいとはいえ、なんとも強引な展開に圭太は戸惑うしかなかった。
だが太一は本気で「やったあ」と喜んでいるし、滝沢はそのまますぐバックヤードに戻ってしまい、反論する隙もない。しかも間髪入れずにMサイズコーラがテーブルに二つ届き、返すわけにもいかず途方に暮れた。
「圭太、このあと用事あんの?」
「い、いや……ないけど」
「じゃあ遅くなってもいいじゃん」
太一はスマホを取り出し「FCOやりながら待とうぜ」と嬉しそうに提案した。
それからは世界がとっぷり闇に暮れるまで、二人はゲームに夢中になった。
バイトあがりの滝沢と合流後は、大声で壮大な夢を語らいながら自転車のペダルを漕ぎ、駅に向かう。
「なあ太一、いつかコスプレしてよ。そんで一緒にコミケ行こうぜ!」
「いいなそれ! でも身長が映えねえよぅ」
「ええ、太一はケモ耳つけたら絶対似合うだろ……」
「そっちかよ! 女装はやだぞ! やるんなら俺はカッコいい二刀流剣士がいいー。あ、じゃあケイタが代わりに俺の推しやってよー。それか滝沢!」
「俺が? いいけど、俺がコスやったらシャレにならんくらい似合って美少女たちがわんさか寄ってくるだろ。それは非常に困るのだ。美少女は二次元がいい」
「なんかウザいな、この変態イケメンロリコン」
「本当のことだからって言い方ひどくねえ? なあ、サエよ! この毒舌魔王!」
暗闇の田舎道なんてもう誰も通らない。
あいつらオタクだ、なんて会話してんだ……などと噂するクラスメイトもいない。
リアル友人から解放された太一も、目標を達成できた圭太も、憑き物が落ちたような笑顔でたくさん声をあげて笑った。一緒に走る滝沢も楽しそうだ。
通りすがりの車にクラクションを鳴らされて「うるせえ!」「お前の方がうるせえわ!」と叫び笑い、夜の通学路を駆け抜ける。
その間、マスクは一度も装着しなかった。
「あ、滝沢だーお疲れぃ」
熱々のチキンナゲットを二つ、トレイにのせてやってきたのは店員ユニフォームの滝沢だった。放課後デート成功かと言わんばかりにニヤニヤする滝沢の顔がまともに見れず、圭太はそっぽを向いた。代わりに太一が「今日大変だったんだぞぉ」とまゆを吊り下げて語り出す。
「お前のファンの子たちに、ケイタがいじめられててさ」
「はあ? 何それ。誰がやった、名前言え。ぶん殴ってやる」
ふざけたノリでトレイを置いた滝沢だが、話を聞くや否や怖い顔で物騒なことを言い出した。圭太は慌てて「もう解決したから、いいって」と否定する。
マスク越しでもわかる、滝沢は自分のために本気で怒ってくれている。それだけでもう十分だと感じた。むしろ滝沢を悪者扱いした自分が恥ずかしすぎるので、とっとと記憶から抹消したい。
「さっきラインにスタ爆しちまったけど、その話はもう終わったから。気にすんなよ」
「やっぱ滝沢に助け求めてたんだ? えー妬けるな」
「いやいや……あの時太一いるかどうかわからなかったから。色々言ってくれて助かったし、嬉しかったよ」
「……なんだなんだこの茶番劇。そこまで言っといて俺だけ仲間外れかよー?」
人前でいちゃつきやがって、と滝沢は盛大なため息をついた。
「寂しいじゃん、俺のせいだったらなお更、秘密はナシだろ。もうすぐバイト終わるから待っててくれよ。話しながら一緒に帰ろうぜ」
「え、何時になるんだよそれ」
「代わりにコーラおごってやるから」
滝沢らしいとはいえ、なんとも強引な展開に圭太は戸惑うしかなかった。
だが太一は本気で「やったあ」と喜んでいるし、滝沢はそのまますぐバックヤードに戻ってしまい、反論する隙もない。しかも間髪入れずにMサイズコーラがテーブルに二つ届き、返すわけにもいかず途方に暮れた。
「圭太、このあと用事あんの?」
「い、いや……ないけど」
「じゃあ遅くなってもいいじゃん」
太一はスマホを取り出し「FCOやりながら待とうぜ」と嬉しそうに提案した。
それからは世界がとっぷり闇に暮れるまで、二人はゲームに夢中になった。
バイトあがりの滝沢と合流後は、大声で壮大な夢を語らいながら自転車のペダルを漕ぎ、駅に向かう。
「なあ太一、いつかコスプレしてよ。そんで一緒にコミケ行こうぜ!」
「いいなそれ! でも身長が映えねえよぅ」
「ええ、太一はケモ耳つけたら絶対似合うだろ……」
「そっちかよ! 女装はやだぞ! やるんなら俺はカッコいい二刀流剣士がいいー。あ、じゃあケイタが代わりに俺の推しやってよー。それか滝沢!」
「俺が? いいけど、俺がコスやったらシャレにならんくらい似合って美少女たちがわんさか寄ってくるだろ。それは非常に困るのだ。美少女は二次元がいい」
「なんかウザいな、この変態イケメンロリコン」
「本当のことだからって言い方ひどくねえ? なあ、サエよ! この毒舌魔王!」
暗闇の田舎道なんてもう誰も通らない。
あいつらオタクだ、なんて会話してんだ……などと噂するクラスメイトもいない。
リアル友人から解放された太一も、目標を達成できた圭太も、憑き物が落ちたような笑顔でたくさん声をあげて笑った。一緒に走る滝沢も楽しそうだ。
通りすがりの車にクラクションを鳴らされて「うるせえ!」「お前の方がうるせえわ!」と叫び笑い、夜の通学路を駆け抜ける。
その間、マスクは一度も装着しなかった。
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