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章の5

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ある日目が覚めたら魚になっていた。
気がかりである自分のからだの様子を探すため情報を探す。
どう探したものか。
とりあえず近くにいる魚に聞いてみるとでもするかな。
近くの岩影に潜む魚に声をかけてみることした。
岩影に潜んでいたのはブリだ。
「やあ、君はブリだよね、陸の方へ行きたいのだがどうしたらいいかな」
ジト目で私を観察している。
「君はスズキか、陸の方へ行きたいのかい」
声色から警戒してるのがわかる。
躊躇しながらではあるが教えてくれるようだ。
「陸の方へ行くのは危ないからやめた方がいいよ、君の目を見る限りじゃ聞かないだろうね」
私は真剣なまなざしでブリを見つめていたのだろう。
「陸の方へ行くにはここから約二日ほど泳ぐ必要がある、ここをまっすぐ進むといい」
そう言って、道を教えてくれた。
二日か……、時間はかかるが気長に行くか。
「もういいかい?、眠いんだ、寝させてくれ」
ブリは眠そうにあくびをしている。
「ありがとうございます、また会える時があれば、その時にお礼をさせてください」
また会うことなどないだろうけど、礼儀として言っておく。
「それはありがたい、楽しみにしてるよ、それじゃあね」
言葉を残し岩影の奥に行ってしまった。
さぁ、陸へ向かうとするか。
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