異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 信仰と差別

第十八話 激闘の代償

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「ここは・・・そうだ!!フローラ!!」

 フローラとジーニが激闘を繰り広げている時ベンジャミンは目を覚ました。

 ベンジャミンはフローラを探すがもちろんこの場にはいなかった。

「フローラァァ。私はまた愛しい人を守れなかった。....もう死ぬしかない」

 ベンジャミンは絶望の元地下から出ようとする。だがその時、

「クスッ、勝手に周りを振り回しておいて自分は死んでいくの?本当に人間って自分勝手で弱いわね。そのくせばんばん増えちゃって本当にゴブリンよね」

 いつの間にか地下にいた女が笑ってから悪態をついてきた。泣きじゃくっていたベンジャミンはそれに驚き振り向く、ベンジャミンの顔は涙でクチャクチャになっている。

「ふふ、きったない顔。でも涙は綺麗ね。やっぱり最愛の人達を思って流す涙はまるで夜星の川のよう」

 女はベンジャミンに近づいて涙をすくう。

「君は...ジェイラとか言ったか?、アドスバーンで見た事がある」
「ふふ、これはこれはまさかシュミットの賢人に知ってもらっているとは思ってもいなかったわ」

 アドスバーンの右腕と名高い女ジェイラ。なぜこの女がここにいるのか、ベンジャミンは困惑するのだった。

「驚くのも無理はないわ。私の事はフェイクも知らないはずだからね。半分は私のおせっかいだけど、ここであなたが自害してしまったらフェリアとフローラそれにソーアとソフィアが悲しむわよ。子だくさんのお父さん...」
「4人共無事なのか?」

 ベンジャミンの疑問にジェイラは頷いて答えた。ベンジャミンはニクライに依頼を出したが結果を知らせなくていいという内容で出していたのだった。

 その為依頼が完遂されたか否かは知らないでいた。そしてフェイクの殺したというワードでそれが真実だと思ってしまっていたのだ。そして最後の砦だったフローラがジーニに奪われた事ですべてを失ったと感じたベンジャミンは自害をしようとしたのだった。

 改めてベンジャミンはジェイラにソフィアとソーアの無事を聞き肯定されると笑みが浮かび生きる希望を目に宿すのだった。

「じゃあ私は帰るけど家族の為にも死んじゃだめよ。あとあの赤ん坊は最強のお人よしだから甘えなさい」
「お人よし・・・・わかった家族の為になるのならば」
「あ~そうそう。これはアドスバーン様からの伝言よ。コホンッ!『お元気かな?賢人殿。私は君達が漁夫の利を狙っていたのは知っていた。それにフローラの事もな。アドスバーンの諜報部を舐めるなよ。最後に一つ、ジーニは私の物になる予定だ。娘をめとらせるなどは考えぬことだ』最後はどうでもいいけれど確かにあの赤ん坊は欲しい人材だわ」

 ジェイラはアドスバーンからの伝言を告げ、更に自分の意見を伝えて地下から出ていった。

「あの赤ん坊は確かに天使だったという事か...私が死神になる所を止めてくれたのか。どちらにしろよかった。だがソフィアとソーアには謝らなくてはいけないな。許してくれればいいが」

 ベンジャミンはベッドへと腰を落とす。安心して足に力が抜けてしまったようだ。そして両手で顔を抑えて今日三回目の号泣をするのだった。

 ベンジャミンは泣き虫お父さんの称号を得るのだった。






 

 僕は馬車についた。本来ならベンジャミンを連れてくる予定だったのだが僕がボン!キュ!ボン!の成長したフローラちゃんを連れて来た事でデシウスが不機嫌に腕をくみ鼻息荒く出迎えた。

「おかえりなさい!ジーニ様、早速ですがその女は何ですか!。見たところ魔族に見えますが!!」

 デシウスは僕に肉迫する。その声に気付いてフェリアさん達が馬車から出てくる。

「デシウシュ、この子はね」
「フローラ?フローラ!!」

 え!?なんでわかったの?僕は首を傾げた。顔は確かに美人なフローラちゃんの物だったけど体躯は明らかに違うのにフェリアさんは遠目で気付いてしまった。これも母親のなせる業なのかもしれない。

 フェリアさんは横たわるフローラちゃんを膝枕して顔を覗く。

「フローラ!」
「....お母・・様?」
「フローラ!」

 フェリアさんの声にフローラちゃんが目を覚ました。そしてフローラちゃんの手がフェリアさんの顔に伸びてさする。

「お母様、お母様だ!」
「そうよ、私のフローラちゃん」

 二人は涙を流して抱き合った。なんて綺麗な光景なんだ。僕は昨日のメリアお母様の暖かさを思い出して目を潤ませる。すると後ろからデシウスが抱き着きこちらは号泣してしまっていた。デシウスの涙もとても綺麗だった。

 しばらく抱き合っていた二人を僕は馬車の中へと促した。積もる話もあるだろうと思ったからだ。そして馬車はシュミットへと歩いて行く。

「でね、でね。お母様」
「あら、フフフ。そうなの?凄いわね」

 フローラちゃんは相変わらず妖艶な容姿だったがフェリアさんに今まであったことを話している。5年の間会わなかったその隙間を埋めようと二人は最高の笑顔で語り合っている。

「いいな~...お母さんか。私の本当のお母さんは死んじゃったしな」
「え?そうなの?」

 御者をしているデシウスの横でソフィアが二人を見て呟いた。その呟きを聞いたデシウスはすぐに視線をソーアに移したがソーアはそっぽを向いた。

「...まったく・・・。ソーアこっちに来なさい!」
「え!?」

 デシウスはソーアの自主性に任せて放置していた案件を力ずくで片付ける事にした。そうソフィアのお母さん問題だ。ソーアはデシウスに呼ばれたが無視をしてその場にとどまる。

「無視か?いい度胸じゃないか」

 御者席から馬車へ入ったデシウスは戸惑うソーアを引きずりソフィアの前に叩きだす。ソーアは叩かれた背中をさすっていた。その出来事にソフィアは目をまん丸くして驚いている。

「デシウスさん?ソーアがどうしたの?」

 ソフィアは何もわかっていないようでキョトンとしながら疑問符を投げかける。デシウスはやれやれと首をふり口を開いた。

「ソーアはソフィアのお母さんなんだぞ」
「え!?嘘!?だってソーアは違うって」

 ソフィアはソーアがお母さんだと感じとっていたようで何度かその質問はしたようだった。だがソーアはいつも否定していた。

 ソーアはフェリアに遠慮していた。先にソフィアを身籠っただけでもソーアはフェリアに遠慮してしまっていたのだ。フェリアは子供がずっとできなかった事で悩んでいた。そこへソーアが身籠ってしまった事でソーアはフェリアに嫌われてしまうと思ったのだ。だがフェリアはソーアの頭をなでて褒めた、『ありがとう。ベンジャミン様のお子を授かってくれて』とフェリアは伝えた。だがその言葉は残念な事にソーアを縛る物になってしまった。フェリア姉さんよりも幸せになってはいけないという呪縛をソーアは背負い続けた、その呪縛はフローラが生まれても消えなかった。それはフローラが加護なしだった事もあったがそれが無くてもソーアの呪縛は解けなかっただろう。それだけソーアはフェリアを慕っていたのだった。

「ソーア、私と一緒に幸せになりましょ」
「フェリア姉さん・・・」

 フェリアはソーアの肩に手を当てて諭した。ソーアの眼には涙があふれ涙が頬を伝って流れた。

「やっぱり、お母さんなの?」
「..ええ、そうよ・・・。ごめんなさい..ソフィア」
「ううん、許さない」

 ソフィアは怒った顔でソーアを睨む。その言葉を聞いてソーアは俯いていると。不意に体に衝撃が走った。

「強く抱きしめて・・・それで許してあげる」
「ソフィア・・・」

 ソーアはソフィアを強く抱きしめた。二人はこれで本当の親子になれたようでよかったよかった。


 
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