異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

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第三章 建国

第八話 デシウスの過去

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 僕たちはローズさん達と分かれた。僕はすぐにデシウスを見上げると難しい顔をしていた。いつもなら僕を抱き上げるはずなのだがやっぱり何かがおかしい。

 おかしくなったのはローズさんに耳元で話しかけられてからだ。何を言われたんだろう。

「デシウス?」
「は~」
「デシウス!!」
「キャ!、すいませんジーニ様。ぼ~としてしまって」

 やっぱりおかしいデシウス。だけど問い詰めるのは教会に帰ってからだ。

「ジーニ様どうしたんですか?」

 驚くデシウス。僕はデシウスの手を引っ張りいそいそと教会に入っていく。

「あ~ジーニちゃんがデシウスとおててつないでる~」
「フローラちゃん!?」

 教会に入ってすぐにフローラちゃんに僕がデシウスの手を引っ張っている現場を抑えられてしまった。僕はドギマギしていたんだけどデシウスはそのまま階段を登ってテラスの方へ行ってしまった。

「デシウスさん大丈夫?」
「フェリアさん・・・たぶん大丈夫だと思うんですけど」
「心配だね」

 フェリアさんとフローラちゃんは心配そうにデシウスの去った後を目で追った。さっきまでの怒っていたフローラちゃんだったがやっぱり優しい子なんだな、落ち込んでいるデシウスを心配できるなんて。

「んん~。ジーニちゃん。今日だけ私、我慢する。デシウスを慰めてあげて」
「はは、そうだね。フローラちゃんはいい子だね」
「えへへ」

 僕はフローラちゃんの頭を撫でてあげると頬を赤く染めて笑った。とてもいい子だな。

「ふふ、私の子だもの当たり前よ。デシウスさんをよろしくね」
「はい」

 僕に変わってフローラちゃんの頭を撫でるフェリアさんも綺麗な笑顔でデシウスの心配をしている。僕はすぐにデシウスを追いかけた。



「デ~シ~ウ~ス。どうしたの?」
「ジーニさま....」

 デシウスは椅子に座りテーブルにもたれかかっている。どうもやる気のようなものが抜けてしまったようだ。

「何を言われたの?」
「...実はローズさんに私を、私達エルフの国を滅ぼした人物の話を聞きまして」

 なるほど、デシウスが戦争奴隷になった時の話か・・・。そりゃあ暗くもなるよね。

「それでその裏切り者が近くに来ているらしく。私は考えれば考えるほど怒りがでもジーニ様やベンジャミン達に迷惑がかかるので行くにも行けなくて私はこの怒りをどうしたらいいかわからなくて...」

 デシウスは拳を握る。その手からは血が滲んできてテーブルに落ちた。

「デシウス・・・。そんな顔のデシウスは見たくないな」
「・・ジーニ様」

 僕はデシウスの正面のテーブルに腰かける。デシウスの頬に手を当てて目にたまっていた涙をすくう。

 デシウスは戦争の事を思い出したのだろう、悔し涙を流していた。

「ふふ、しょっぱいね」
「ああ。ジーニさまあん!!」
「あう、やっぱりこっちのデシウスの方が好きだな」

 すくった涙を僕が舐めるとデシウスは元の顔に戻って僕を抱きしめた。ちょっとしたショック療法って奴だね。でも効きすぎたみたい。

「これはもうokという事ですよね」
「ちょちょ、デシウス!」

 デシウスはチューする顔で迫ってきた。僕は間一髪で避けると頬にデシウスが着地する。デシウスは凄く嬉しそうな顔で後ずさりガッツポーズをした。

「シリカを超える日も近いですね。ジーニ様」
「え~~?あ~そうだね」
「ハッ!その反応はまさか!!シリカともチュウをしたのですか!!」

 デシウスは怖い顔で僕に迫った。僕は誤魔化すように笑っていると悔しそうにしてからうつむいた。

「やはりすぐにでもジーニ様の護衛に戻らなくては!ベンジャミン!!すぐに釣りに行くぞ!!」

 デシウスの言う釣りとはベンジャミンの考えを良しとしない人達をおびき出す事のようだ。

 この日を境にアンチベンジャミン派の者達はすぐに寝返ることになったとか...恋って怖いね。






「君がエルフの裏切り者?」
「あ?何だお前は」

 僕はデシウス達エルフの仇を取る為にある男と接触した。その男はエルフで名はギールというらしい。

 僕はどうでもいい人の名前を覚えるつもりはないので適当に覚えた。

「あなた、ギールさんでしょ?」
「あ、なんでガキが俺の名前を知ってんだ?」
「やっぱりギールさんだね。じゃあエルフの国エルフィードを知っているでしょ?」

 僕は間違いないと思っているけど再度確認する。間違っていたら大変だからね。

「知ってるも何も俺の故郷だよ。もうないけどな」
「じゃああなたは裏切ったって聞いたけど間違いないかな?」
「あ?またそれか。俺は裏切ってねえよ。それにしてもうるせえガキだな。俺が裏切っていようがいまいが関係ないだろ」

 ギールはそう言って踵を返して僕から離れていく。僕は浮き上がりギールの前へと降りる。

「な!お前飛べるのか。こんなガキが....こりゃあ高く売れそうだな」

 ギールは指折り金を数えて僕の価値を試算する。僕はため息をついて口を開いた。

「君は反省をしていないみたいだね。でも今はそれでいいかもね。だって僕がお仕置きしやすいから!!」
「おぶ!ばばびぶ.....ガフッ」

 久しぶりの僕のお腹が大活躍!!ギールさんは僕のお腹のプニプニに口と鼻を塞がれて気絶しちゃった。しかしこの人は反省していなさそうだな。どうしよう....あっそうだ、

「ぶは!何だコリャ!ここは肥溜めじゃねえか。何でこんな所に俺は~~」
「あんだ~あんたよっぱらってんのか~?、きったね~から~自分で這い出ろ~」

 ギールさんを肥溜めに投げ放った。田舎のおっちゃんに馬鹿にされてる。

「キャッキャッキャ」

 僕は上空で笑い転げた。でもこれでだいぶ反省するだろう。まあ今度やったら僕の理性は飛んでしまうかもしれないけどね...。デシウスにあんな顔をさせたんだから本当はこの程度じゃすまないんだけどね。でも次はないよ。

 デシウスの知らない所で裏切り者は罰を受けた。この罰が軽いか重いかはみんなに任せる。

「さあ、冒険者ギルドに行かなくちゃね」

 僕はちょっとした用事もすんだのでローズさんの約束を果たしに動き出す。
  
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