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第四章 ルインズガル大陸

第二十五話 アウローラ

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 アドスバーンへと飛び立っていた僕らは途中、魔物のスケルトンに襲われていた馬車を発見した。

 その馬車はとても豪華そうである、たぶん貴族の物だろう。馬車には複数の護衛がいたんだけど苦戦していたようなので加勢にはいった。

「お助けします」
「助かる...。って子供!」

 助けに入ると僕が思った以上の体躯だったので魔物が迫っているのにもかかわらず騎士は僕を見てギョッとしてる。

「よそ見はだめだよ~」
「ん、騎士失格」

 騎士を襲ってきていたスケルトンはララさんとフローラちゃんに捕まる。ララさんの捕縛術は相当の物だ。なんせ僕を捕縛してしまうほどなのだから。

 でもまだ安心できない、スケルトンは徒党を組んでおそってきている。そして貴族の馬車を取り囲んでいる複数のスケルトンはカタカタと顎を鳴らし始めた。

「く、仲間を呼んでいるのか!」

 どうやらスケルトン達は仲間を更に増やそうとしているみたい。だけど少し遅かったね。

「[エリアヒール]!」
「「「「「おお!!!」」」」」

 僕が回復魔法を広範囲にかけると騎士達の驚きの声とスケルトンたちの断末魔が周囲に響いて行く。やっぱりゲームと同じようにスケルトンみたいな魔物には回復魔法が効くみたいだね。実験もかねてやってみたけどよかったよかった。あのオークレのお姉さんが死霊術を使っていたから試したかったんだよね~。

 あらかた片付いたのか辺りは静まる。僕らはアドスバーンへと飛び立とうとすると騎士達に止められる。

「助けてもらった事には感謝をするがお前達は何者だ」

 騎士のリーダーなのか兜に盾のエンブレムがついている人が代表して問いかけてきた。

「僕らはアステリアの者です。善意で助けたんですがダメでしたか?」
「そんな不貞腐れた顔をしないでくれお礼は言っているだろ..。アステリアという事はジーニ王子か?」

 あう、やっぱり僕は結構有名人みたい。僕は仕方なく騎士の言葉に頷く。

「おお、そうか!。噂通りの強者のようだ。ガハハハ」
「ちょっとムガイン。早く私を紹介しなさい!」

 騎士の男ムガインが高笑いをしていると豪華な馬車から声があがる。ムガインはすぐに馬車の扉に手を掛けると開いた。

「こちらに追わせられるお方はアドスバーンの姫。アウローラ様でおわせられる。頭が高~いひかえおろ~」

 わ~何だか聞いたことあるようなセリフ~。そして馬車からは後光のような光がさして煌びやかなドレスを着ている女の子が馬車から出てきた。後光はたぶん[フラッシュ]の魔法だと思う、魔法って便利だね。

「勇敢な戦士達よ。助けてくれてありがとう。....子供ですわね」

 フローラちゃん、ララさん、僕と順番に見ていったアウローラちゃんは僕を最後に見てトーンが下がった。何を期待していたのかな?。

「お父様が結婚を薦めてきたのは本当にこの子なの?。私よりも10歳は小さいじゃない!」

 何故がキレているアウローラちゃん。

「ん、あなたちょっと失礼。ジーニ様もう行きましょう」
「そうだね」

 僕らはアドスバーンへと飛び立つ。

「ちょっと!未来の妻を置いて行くの?」

 なんかアウローラちゃんが言ってる。何で顔も知らなかった相手と結婚話になってるの?。これはアドスバーンに聞かなくちゃいけない事案が生まれたね。

「もう!。本当に置いて行った....」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!

「何よこの揺れは....ムガイン何とかしなさい」 
「私に言われましても...」

 急に地揺れが発生して騎士とアウローラ達はオドオドと落ち着かない様子だ。

 次の瞬間地面から馬車の三倍はあろう黒いスケルトン、ブラックスケルトンが這い出てきた。スケルトンたちが呼んでいたのはこいつだったようだ。

 ブラックスケルトンは自分の鎖骨を引き抜き武器にしてアウローラ達へと振り上げた。

「キャア!」
「アウローラ様!!」
「「「わ~」」」」

 アウローラ達はもう終わりだと目を瞑り衝撃を待った。だがそれはこない。

「全く。骨は骨らしく犬に食われてなよ」

 ブラックスケルトンが振り上げた骨を僕はギールからもらったアイテムバックから天雷の剣を取り出して切り刻み粉々にした。

 カカカカカカ!

 ブラックスケルトンが僕に気付き顎を鳴らす。威嚇しているようだけどうるさいので僕はブラックスケルトンの上空に上昇して天雷の剣をブラックスケルトンの頭へと投げ落とした。

 ズガシャ~~ン!

 まるで雷が落ちたような音と共に一瞬辺りは明るくなりブラックスケルトンだった物は粉々に砕け散っていった。

「もう大丈夫でしょ。ではでは道中お気をつけて」

 僕は最後にそう言ってアドスバーンへと飛んでいった。

「ジーニ...様......」
「アウローラ様、大丈夫ですか?」

 アウローラはボーっとジーニが飛んでいった方向を見ている。どうやらジーニの強さにほれてしまったようだ。またここにジーニは罪を作ってしまうのだった。


 そしてアウローラを狙った死霊術士が一人呟く。

「チィ、やられたか。しかしムガイン程度ではやられるブラックスケルトンではないはず。Sクラスの冒険者でも通っていたというのか....」

 死霊術士は森に潜み死霊術を使っていたのだがあちらの様子は見れていなかった男は推測で語る。だがその考えは無駄に終わる。

「死霊術か。悪趣味な」
「誰だ!....」

「そんなに動くと首が落ちるぞ」

 そこに居合せたのはギールであった。そして敵意のあった死霊術士の首を一瞬で斬る。死霊術士は気付かずに立ち上がり振り向いた衝撃で首が地面に落ちてしまう、男は初めて自分の背中をまともに見て意識をなくしていくのだった。

「ふむ、死霊術士でも死んだら終わりか」

 ギールは男の持っていた物を物色してアドスバーンへと歩き出すのだった。

「しかしこんな青空で雷とは奇怪な」

 ギールはジーニには気づいていなかったのだが知らぬ間に善行をしていくギールであった。

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