異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

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第四章 ルインズガル大陸

第二十四話 シリカのため息

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 僕はだいぶ体が本調子に戻ってきた。アドスバーンとの約束どおりガイアさんを治しにアドスバーンへと向かうことにした。

 同行してくれるのはララさんとフローラちゃん。デシウスはシュミットを勝手に出てきた罰と街中で抜剣した罪でお留守番です。

 僕が復活したからフローラちゃんもだいぶ良くなったけどやっぱり心配だから僕と離れないようにしてる。

 ララさんは告白してきてから僕へと意見を話すようになって出来るだけ近くにいたいんだって...何だか嬉しい。だけどシリカさんが心配していないのを見ると少しションボリしちゃうな。嫉妬してくれれば僕もホクホクなんだけどな~。

 ではではララさんとフローラちゃんと一緒に空の散歩がてらアドスバーンへとしゅっぱーつ。






「ハァ~」
「どうしたのシリカ?」

「メリア様、すみません.....ハァ~」
「本当にどうしたの?」

 シリカはジーニがアドスバーンへと旅立つまで気丈にふるまっていた。しかし弱くて同行できない自分にため息を吐くのだった。

「ジーニ様はどうして私を連れて行ってくれないのかな~、なんて」
「.....ふふふ」

 メリアはシリカの不満を聞いて笑う。
 
 ジーニはシリカが大切だから少しでも危険な所へは一緒に行かないようにしているのだ。それはジーニを知っている人ならば容易に想像できる。メリアに笑われてシリカは頬を膨らませて不満顔である。

「もう!笑わないでくださいよ。本当に悩んでいるんですから」
「ふふふ、ごめんなさい。だってシリカが悩まなくていい事に悩んでいるんですもの。ジーニはあなたを大切に思っているのよ。だから危険な所には連れて行こうとしないの」

「...それならそうと言ってくれてもいいじゃないですか...私だって自分に自信があるわけじゃないんですよ」
「それはジーニに落ち度があるわね。ツヴァイ様もそうだけれど自分が愛していれば分かってくれるなんて勝手よね」

「そうですよ。確かに私も愛していますけど言葉にしなくちゃわからない事もあるんですよね」
「そうなのよ。ツヴァイ様もこの間......」

 メリアとシリカの不満が爆発している。リビングで話されているこの会話はツヴァイとセバスにも聞こえる声で語られている。これは意図しているかは本人たちにしかわからないがツヴァイは戦々恐々であった。

「セバスはこういう事はないのか?」
「恐れながらこういった経験はございません」

 セバスだが実は妻子持ちである。前まではアルサレムに妻子がいたのだが今はアステリアに引っ越してきている。とても美人な妻と可愛らしい娘はこのアステリアでセバスと毎日一緒に暮らしている。

「そうか....俺ってそんなにニブチンか?」
「いえ、ツヴァイ様はとても一途でメリア様を大事にしていらっしゃいます....」

「質問に答えていないように思えるが....」
「・・・・」

 セバスは口ごもる。確かにツヴァイはニブチンである。しかし恩もあり執事であるセバスはツヴァイの悪口を言う事はない。なので無言で察しろと言うセバスの合図である。

 ツヴァイはため息をついてメリアが何をしてほしいのかに聞き耳を立てる。

「ア~イ?」
「ジャンヌ様。お帰りなさいませ。お昼寝にいたしますか?」

「アイ!」

 ジャンヌは元気よく手を上げる。セバスは助かったとばかりにジャンヌを抱き上げると二階のベビーベッドのある部屋へと歩いて行く。その時ツヴァイは「チィ、逃げたな」と呟くがセバスは聞こえないふりをして去る。

 その間もメリアとシリカの会話が漏れ聞こえるがセバスはジャンヌに聞こえないように体で壁を作る。

「ジャンヌ様はいつまでも清らかでいてくださいませ」
「アウ?」

 セバスはジャンヌへと笑顔を作りそう言った。メリアとシリカが清らかではないような言葉だが決してセバスはそう思っているわけではない。普段の二人はとてもしおらしく清らかである。

 セバスはまた一句読むのだった。

「清らかな、激流ながるる、アステリア。byセバス」

 ツヴァイ邸にセバスの詩が誰にも聞こえることなく響くのだった。 







「ローズは行かなくていいの?」
「...私が行かなくてもジーニは大丈夫だ」

「そうじゃなくて。あなたの方よ」

 ここはシリカとローズの故郷のグリンベイルンの孤児院。ローズはジーニが寝込んでしまったのを聞いていてもたってもいられなかったが孤児院の事もあるのでアステリアへ戻れずにいた。

「私は....大丈夫とは言えないな」

 ローズはそう言って俯く。ローズはジーニが寝込んでしまった事をきいて孤児院の教会の外へ足を踏む出したのだがそこで踏みとどまった。まだカシマーネの事もあるのでここを離れるわけにはいかなかったのだ。しかしシスターの言葉にローズは心動かされている、今にもローズはジーニの元へと走り出してしまいそうになるのだった。だがその時、

「ローズお姉ちゃん、お手紙きたよ~」
「何!!」

 ローズは子供のそんな言葉に反応して残像を残して手紙を受け取る。ローズが子供の持ってきた手紙を取るとブアッと風が子供の髪をなでる。子供は涙目になったがすぐにシスターに宥められて事なきを得た。

「...よかった。ジーニは大丈夫だったようだ。こっちの心配をしてくれている。ジーニは何て優しい子なんだ」
「まったく、恋は盲目と言うけれどローズを見ていると本当にそうなのね。羨ましいわね」

 シスターは孤児院育ちであった。なので若い頃に同じ孤児院育ちの少年と恋に落ちたのだが少年は若くして死んでしまう。それからというものシスターは恋をする事に臆病になってしまったのだった。ローズを見る目は親のそれだが少しだけ恋する乙女のような潤いを帯びている。

「シスターも誰か気になる人はいないのか?」
「え?私?....い、いないわよ」

 年甲斐もなくシスターは頬を赤く染めて否定している。ローズはその動揺に気付かないほど鈍感ではない。なのでローズはシスターにもう一押し、

「シスター、恋って言うのはだれがしてもいいんだぞ。今は私がここにいるんだ。シスターも恋愛をしてほしいな」
「ローズ....」

 シスターはもじもじとし始めた。シスターが勇気を出してその相手の名前を言おうとしたその時、

「まいど~。シスター?薪と野菜もってきましたよ~」
「ひゃ、は~い」

 シスターは急な声に驚いたがすぐに髪を直してその場へと向かう。シスターの頬は赤く、その姿は恋している少女そのものだった。

「ふむ、ドラさんか....」

 ローズが言うドラさんとは虎の獣人の野菜売りである。ドラさんは昔から孤児院に売れない野菜や薪などを持ってきてくれていた。ローズやシリカもお世話になっている人である。

 ローズは二人を見てほっこりとするのだった。

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