異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
224 / 252
第七章 異変

第二十七話 人知を超えた戦い

しおりを挟む
「フェイク久しぶりだね」

 フェイクの腕を切断してエンドの大地に突き刺さっている禍々しい剣、それの柄に降り立って少年が話しかける。

「これはこれはジーニ様、お早いおつきで」

 フェイクは冷や汗をかきながらも無い腕を折り曲げでお辞儀をした。ジーニの光速をもってしてもたどり着くのに時間を要したのを見るとエンドとは遥か遠くなのが伺える。

「早くない早くないよ。こんな美人な人が苦しめられていたんだよ。僕は僕にお怒りだよ」

 僕は首を振り憤慨する。怒りが沸々と湧いてくる。

「ジーニ様...」
「え?僕の事を知っているの?」

 僕は首を傾げる。こんな美人、一度見たら忘れないと思うけど。そういえばどことなく誰かに似ているような...。

「ジーニ様そちらのサラはローズ様のお母様ですよ」
「ええ!ってボルケーノはそんな姿で何で抱きしめているの。サラさんが苦しがってるよ」

 僕は驚きつつもボルケーノをマナで包み炎からサラさんを守った。僕はサラさんを抱きかかえる。サラさんは今にも消え入りそうな笑顔を見せた。

「ジーニ様聞いてください。フェイクはこの世界を滅ぼそうとしています」
「うん、それは聞いたよ。僕には頼もしい神様達がついてるからね」

 僕がニッコリと笑顔を見せると安心したようにサラさんは目を瞑って天を仰いだ。

「ああ、神様これで私は安心して逝けます」
「何言ってるのサラさん」
「え?」
「ローズさんに会わずにまたどこかへ行ってしまうつもりなの?」

 僕はサラさんから漏れ出ている光の粒子をマナでかき集める。サラさんの透明になりかけていた肌は元の実体のようにしっかりとし始めた。

「ああ!」
「その涙はローズさんの為に取っておいてね」
「おお、何とも美しい!。ジーニ様あなたは変わらず凄い方ですね。さらっと凄い事をしてくれます。まさかアストラル粒子をかき集めてしまうなど...まるで神のようだ」

 ジーニの偉業を見てフェイクが涙を拭うそぶりで話した。だがその口調からは喜んでいるようには思えない。いつの間にか腕は治っているしね。

「フェイク、僕は怒っているんだよ。今からそのうるさい口を開けないようにしてあげる」

 マナでフェイクを覆っていく、フェイクを覆う球体はどんどん小さくなっていきフェイクを座らせるまでにいたるがフェイクの顔から余裕がなくならない。

「ふふふ、ジーニ様の心がわかりますよ。何でこんな状態なのに余裕を見せているのかと思っているのでしょう」
「うん、そうなんだけど。ここからの逆転は想像できないから放っておこうと思ったんだけど君の方が我慢できなかったみたいだね」

 フェイクは薄ら笑いを浮かべて口を開いた。だけど大丈夫この状態なら逆転はないさ。

「あなたのその油断とやさしさがいけないのですよ」

 一瞬でフェイクは球体から外へと出た。

「やっぱりマナパックから出れたんだね」
「そうですよ。私はアストラル粒子を人よりも知っていましてね。こんな網、簡単に広げることが可能なのです」

 フェイクは自慢気に話すが外の異常に気が付く。

「な!もう一つ...」

 フェイクの顔から焦りが見える。それは先ほどのマナの球体よりも網目の細かいマナパックなのだ。そしてアストラル粒子を扱う事に長けているフェイクでもびくともしない頑丈さでフェイクはジーニへと睨みを利かせた。

「フェイクのそんな顔を見れるなんてね。でもその方が人間みたいでいいと思うよ」
「ぐっ、謀りましたねジーニ様」

 フェイクは顔の事を言われて慌てて顔を隠した。

「君が動かなくなってだいぶ経っていたし、おかしいと思っていたから研究していたんだよ。それで僕のマナパックの弱点を見つけたんだ。それはとても小さなものだったけど君が静かすぎる事に違和感を感じていてね。だってお喋りな人が急に喋らなくなったらおかしいもんね」

「流石はジーニ様...恐れ入りました」

 フェイクは観念したように俯く。だけど僕はまだ嫌な予感がして辺りを見渡す。

「ボルケーノは何でここに?。たしかアルサレムでレミさんと結婚して子供もいるとか聞いたのに」
「ボルケーノは私に恩がありますからね。手駒として使わせてもらいました。無理やりではないですよ。ボルケーノは了承したのです」

 さらさらとよく喋るフェイク、嫌な予感が更に大きくなる。何だろうこの違和感は。

「ジーニ様あの氷山!!」
 
 サラさんの指さす方向の氷山を見ると光輝いていた。

「完成ですよ、完成ですね。世界の終わりの始まりです!!」

 フェイクは両手を天へ掲げた。天空から槍が光速でフェイクを包むマナを霧散させた。

 僕が驚いている間に胸ポケットにあったフェイクの球が浮き上がり空へと舞っていった。マナパックがしてあるから引き戻そうとするんだけどすぐにフェイクによって割られる。

「無駄ですよ。この森羅万象を切り裂く槍、オルソレイ・レジェンドに切れない物はないのです」
「ふ~ん....、ハーーッ!!」

 僕は先ほどまで堪えていた怒りを放出させる。辺りにあった氷山は割れて辺り一帯の空間が歪む。

「お~怖い怖い、流石は神の領域のお人。ですが私も負けられないのでね!」

 ビー玉ほどのフェイクを飲み込み光り輝く氷山へと身を投げだした。みるみる氷山はフェイクへと吸収されて行き小さくなっていく。

「僕はそんなに優しくないんだよ!。特に君には!![イレイザーストーム]!!」

 [イレイザーストーム] マナの塊を光速で放つイレイザーガンのショットガン版、ショットガンと言っても塊の大きさはガンと変わらずに拳ほどの大きさだ。

 フェイクのいた所はフェイクを残して綺麗に消えていった...しかしそれは違った。氷山がフェイクに吸収されて綺麗になくなったのだ。イレイザーストームがフェイクに効かなかったってことだ。

「これはこれは何とも強大な力なのでしょう...。人の負の感情とは恐ろしいものですね」

 フェイクの体は二回り大きくなり肌の色は黒に近い紫へと変貌した。

「肉体があるんだな。そうなるとお前は死ぬんじゃないのか?」

 僕は怒りを纏う事で強くなって口調が男前になっちゃってる。抑えようと思っても抑えられない男らしさ。

「ふふふ、ご心配ありがとうございます。ですがそれは私をひれ伏させてからいってください、ひょ!!」
「うっ!」

 光速で放たれた素手の一発が僕の顔を捉えた。あまりの速さに反応できなかった。

「へ~、凄いね。ゴブリン達を倒してレベルは少し上がったままだったのに」

 そう、ジーニのレベルは15程になっている。それはエンカと潜った時に得た経験値で上がっていたからだ。レベルを変換する前に来たことでジーニは余裕を持っていたのだがそれも甘えだったのかもしれない。

「レジェンドで攻撃しなかったのは強さを見せたかったからですよ。いつもあなたは私を見下していましたからね」
「そう思われていたとは心外だよ。僕はいつでも優しく接していたつもりだけど」
「いいえ、人間は皆私を見下していました。加護が無いというだけでいつもいつの時代も。だから私は人間を滅ぼすのです」

 極限まで強くなったフェイクは口が軽くなりここに至るまでの自伝を話し始める。それはとても大昔のお話しであった。
しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

異世界での異生活

なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...