ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第69話 楽しい報告会

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「おいおいおい、どうなってんだこりゃ……」

「あ! ラッセル。待ってたよ。リドナさんも来てくれたんですね」

 ケビンに魔物をしまってもらって冒険者ギルドで換金を済ませるとすぐに宿屋に帰ってきた。
 ケビンにはちゃんと断って帰ってきて食堂でゆっくり過ごしていた。
 
 ラッセルがリドナさんとやってきて驚愕して声を上げてる。
 それもそのはず、今食堂にいるのはこの国の王様と王妃様、それとお姫様が二人。そこに更に聖女様のシャーリーがいる。
 実質この食堂にこの国のトップが勢ぞろいしてる。ラッセルは町の王といっても差し支えないのでこれで全員集まったと言った感じかな?

「妖精さん! この人たちは妖精さんのお友達?」

「ふふ、そうよ」

 レイナちゃんがそう言って聞いてくる。私が楽しそうに答えるとラッセルが舌打ちをする。

「どうなってんだお前は。聖女だけでも驚いたっていうのに。お前の体からは何か偉いもんがついてくるようになるような気でも出てるのか?」

 ラッセルはそう言って私の頭をガシガシと撫でてくる。

「ちょっとラッセル! 女の子の扱いが雑なんだから!」

「なんだリドナ。お前も懐柔されちまったのか?」

「そうじゃないでしょ。ホント奴隷の扱いもまだまだ荒いし。あなたはいつも」

 夫婦喧嘩を始めるラッセル夫婦。なんだか賑やか。最後に来た人たちなのにみんなの視線を集めちゃってる。なんだか微笑ましい。

「ファムちゃん。本当にありがとう。面と向かってやっと言えたわ」

 二人を羨ましく見ているとカテジナさんがお辞儀をしてお礼を言ってくる。レイナちゃんも真似してお辞儀をするとニッコリと微笑んだ。

「私はいつの間にかレイナだけを子供と認識してた。まるで腹違いの子供だとでも認識していたかのようだったわ」

「お母様は悪くありません」

「メリナ……」

 カテジナが話し出すとラッセル達が静かに席に座る。
 メリナが否定するけれど、カテジナは首を横に振った。

「私が弱いからまやかしにかかってしまったのよ。あの影は【シャドウ】という魔物。強ければ簡単に防げる、まやかしを施してくる」

 レイドレッド帝国はそんな魔物を放ってきていた。ホント嫌になっちゃう。

「コホンッ! そのレイドレッド帝国には既に抗議を伝えた。今後、あの国から接触があったらこちらも黙っていないとな」

 ブルース様が咳ばらいをして話し出す。その言葉にシャーリーが立ち上がる。

「既に教会は動いています。【エーリア】という女性司祭をレイドレッド帝国に向かわせたのですぐにでも教会が撤収を始めるでしょう」

 ブルース様よりも動きが早いことを強調して誇らしげに報告してくれるシャーリー。なぜかブルース様をライバル視してる?
 
「はは、なんだよ。二人して甘ちゃんだな。俺は既にレイドレッド帝国からくる物資を全部止めたぜ。碌でもねえ、国の物なんかいらねえからな」

 そこへラッセルも参戦。誇らしげに報告して私にウインクしてくる。リドナさんが恥ずかしそうに顔を両手で覆ってる。子供の喧嘩かな?

「ふむ、確かにそうだな。別の国からの行商のみを許可するのも面白い。なかなかの手腕のようだな、ラッセル男爵」

「いえいえ、王様程ではありませんよ。因みに冒険者の多くもこの町に来させるようにしました。あちらの国にも少し顔が利きますので」

「なに!? 労働力も奪うということか。それは面白い。儂には出来んことじゃな……」

 感心した様子のブルース様を更に感心させていくラッセル。その様子を見てリドナさんが嬉しそうにしてる。
 自分の旦那さんが王様の上を行くところを見て嬉しいんだろうな。

「それなら私も! 信者をこの町に住まわせるつもりです。町に家が足りないなら城壁の外に住居を建てる予定です」

「む! それは。普通に困るのう。城壁の外では守ることが出来んぞ」

「そこは安心してください。シャイン様が結界を作りますので。小さな精霊を集めて結界の魔法を維持し続けます」

 負けじとシャーリーが声を上げる。ブルース様が困った様子だったけど、すぐに嬉しそうな顔に変わっていく。
 どうやら、レイドレッド帝国から人が流れてくるみたい。そうなると物資がたりなくなりそうだけど。

「人が増えると物がたりなくなるな」

「冒険者や商人の腕の見せ所かな?」

 ラッドとレイブンがそう言って私を見つめてくる。ということはイーターのダンジョンが役に立ってくる。

「ふむ、ダンジョン産の食料がとれなくなってしまったからな。普通の食料では少々心もとないところじゃ」

「ふふふ、そこで私の出番ってことね!」

 ブルース様が顎に手を当てて呟くとイーターが姿を現す。まだ見たことのなかったラッセルが立ち上がって指を刺した。

「よ、よ!? 妖精!?」

「ただの妖精じゃないわよ! ダンジョンの妖精!」

「だ、ダンジョン!?」

 ラッセルが驚いていると、知っていたシャーリーとブルース様はネネさんの入れてくれたお茶を余裕をもって飲み干す。

「はっはっは。知らなかったのかねラッセル君」

「私共は知っていましたよ。どうやら、情報には疎いようで」

 ブルース様とシャーリーがドヤ顔でそう言うとラッセルは悔しそうに腕を組んで席に座りなおす。

「そのダンジョンの妖精様がなんでここにいるんだ? ファムの妖精なのか?」

「そうだよ~!」

「ファムお姉ちゃん凄いんだ~!」

 ラッセルの疑問にムムちゃんとナナちゃんが答える。楽しそうに言うものだからラッセルは頭を抱えてる。

「ほんとどうなってるんだ。ファムは。王族だけじゃなくて妖精まで。妖精なんて伝説上の生き物じゃねえかよ」

 ラッセルは最後まで頭を抱えたまま。ブルース様とシャーリーは楽しそうにその様子を眺めていた。
 
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