ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第70話 理由

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「ではそろそろ帰ろうか」

「ビード、私達も」

 ブルース様とシャーリーがそういうとみんなが頷いて宿屋を出ていく。ラッセルはみんなと違ってネネさんに出してもらったお酒に手を出す。

「さて、ケビンの話だが」

 ラッセルは木のコップに入ったエールを一口飲んで呟く。ケビンについて何かわかったみたい。私はラッド達に部屋に戻っていてもらうことにした。あまり聞いていていい話じゃなさそうだったから。

「【ムゼルグ村】の生き残りだということが分かった」

「生き残りって!? 妹さんだけじゃなくて村の人みんな犠牲になってるの!?」

「ん? 人がなくなったことは知ってるのか?」

 ラッセルの報告を聞いて驚愕する。妹さんだけが兵士の手によって犠牲になったわけじゃなかった。兵士は村の人すべてに手をかけていたのか。兵士を嫌うわけが分かった。
 それと、ラッセルがみんながいる時に言わなかった理由もわかった。人の死についての話を子供に聞かせるのもあんまりいいことじゃないから。

「その話がきな臭くてな。オルブス王国の鎧を着ていた兵士だったという話なんだが。その時にムゼルグ村にいたという者はいないんだ」

「いない? 隠してるだけじゃないの?」

「いや、兵士が遠征する際には記録が残るものなんだ。外へと遠征に向かった兵士は別のところにいたと記録されてる」

 ラッセルが言っていることが本当なら、オルブス王国の兵士と偽って国境の村を襲った人たちがいるってこと? それって……。

「まあ、考えている通り。レイドレッド帝国の兵士だろうな」

 ラッセルは私の考えていることを察して呟く。

「ケビンは恨む相手を間違ってるのかな?」

「これはあくまでも憶測だ。ちゃんと調べておく」

 私の疑問にラッセルはエールを一気に飲み干して答えた。

「じゃあ私達も帰るわ」

「ダンジョンの素材は均等に分けてくれよ。頼んだぞ」

 リドナさんが席を立つとラッセルも席を立って声を上げる。
 イーターのダンジョンの話をするとみんな素材を欲しがった。特に食料はとても貴重みたい。
 オルブス王国のダンジョンはイーターの物しかなかったみたい。グラトニーという名前だったイーターのダンジョン。それからも察することができるけど、七つの大罪の一つだよね。
 ということはあと六つのダンジョンが存在するはず。それが別の国にも存在してるわけだよね。取り合いをしていたりとかするのかな?

「お~い、ラッセルは帰ったのか?」

「うん。終わったよ。みんなは?」

「遊んでたら眠くなったみたいで寝ちゃったよ」

 ラッドが部屋から出てきて声を上げる。それぞれの部屋を見るとほんとに寝ちゃってる。
 色んな人が来たから疲れちゃったのかな? メリナとレイナちゃんと遊んでいたしね。

「さて、ケビンについての話はどうなった?」

「気になる」

 ラッドの問いかけにレイブンが彼の背後から現れて目を輝かせる。あまりいい話じゃないから伝えたくないけど。二人には伝えておこうかな。

「そんなことがあったのか」

「ん……」

 ラッドとレイブンが俯く。こんな理不尽な話、伝えるのも憚られる。

「同情してクランに入れるのか?」

「それは別。恨みがあるのに帰ってきたのには何かありそうだしね」

 ラッドの疑問に答える。ケビンの本当の目的が分からない。本当に私を守りたいだけなの? 疑問に思っちゃう。

「……ファムは俺が守るからな」

「え?」

 ラッドが顔を赤くさせてそう言ってくれる。ほんと兄弟思いのいい子だな。私を本当の妹だと思ってくれてるのかな。嬉しい。

「ケビンはラッドよりも強いよ」

「な!? そんなのやってみないとわからないじゃねえか!」

「ううん。やらなくてもわかる。強いよ。ファム様よりは全然弱いけど、私よりも強い」

 レイブンが冷静にケビンを分析する。確かにあの矢の扱いに関しては私も舌を巻く強さ。私の認識の外から攻撃される。それでも私はステータスのおかげで怪我することはないと思う。
 でも、普通の人は違う。いきなり頭に矢を射られたら死は免れられない。敵対したくない相手だっていうのはハッキリしてる。みんなのことを守れる自信がない。

「とにかく、ケビンは完全な悪人じゃない。話せばわかってくれるかも」

 彼の村を襲ったのは別の国の兵士だった。そう伝えれば彼もわかってくれる。

「よし! それじゃダンジョンでレベル上げだ!」

「え? 今から?」

 話が終わるとラッドがそう言ってダンジョンのある中庭に向かう。小さくため息をついて彼の後に続いてダンジョンに入る。

「あれ? 家がある?」

 ダンジョンに入ると草原に薬草と毒消し草の畑が見える。その横に家が新しくできてる。

「おかえりなさいマスター。要望通りの家を作ってみたよ」

「流石イーター。仕事が早い」

 私の要望を叶えてくれるイーター。これからいろいろと頼ることになるからどんどん彼女のレベルを上げないとな~。

「これからメリナ達も入ってもらってダンジョンポイントを貯めていくからね」

「うん! 楽しみ。前のダンジョンは99階まで行ったからもっともっとダンジョンのレベルをあげちゃうぞ~。目指せ1000階!」

 ブルース様達もダンジョンを使った素材が欲しいといっていて、自分達でも魔物を狩りたいといってきた。王族の人達もレベルは必要だからね。
 入る人が増えれば必然的にダンジョンポイントも増える。イーターのダンジョンは更にレベルが上がっていく。

 私が地獄を見たあのダンジョンは99階だったのか。前人未到のダンジョンを私は制覇してしまったわけだね。
 でも、あれが最高のダンジョンじゃなかったんだ。なんだか怖いな。あれ以上の地獄があるなんて、想像もしたくない。
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