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第一章 ジーニアスベル
第11話 決意
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「そうですか。この間でレベルが60に。ブレインが負けるわけですね」
ローズさんと共に難民キャンプに帰ってきた。お父さんのレベルを聞いて納得してる彼女はどのくらいのレベル何だろう?
「因みに私はレベル45です。ブレインが50で一番でした」
「だから第一騎士団長なのね」
ローズさんは普通に教えてくれてブレインのレベルまで教えてくれた。それを聞いてお母さんが感心してる。実力主義って感じだな。
「皆さんはいつ頃オーベンに帰られますか?」
「そうだな。みんなの様子も確認しないといけないから明後日くらいになると思う」
「そうですか。では第二騎士団も準備しておきます。それと一つだけ伝えたいことがございます」
ローズさんは予定を聞いてきてお父さんが答えると跪いた。お父さんもお母さんも驚いて目をパチクリさせる。
「難民を盾にしたこと。本当に申し訳ありませんでした」
頭を地面に叩きつけて声をあげるローズさん。地面に彼女の血が滴る。血がでるほど打ち付けるなんて、急にどうしたんだろう?
「ローズさん。あなたは謝ってくれたじゃないですか」
「ジーク様の怒りがあれほどとは思い至らず、軽く謝ってしまいました。本当に申し訳ありません」
お父さんが彼女の肩に手を当てて諭すけれど、頭をあげてくれない。思わずお母さんが彼女の手を取った。
「そんなに畏まらないで、王様にあんなことを言ったうちの人が悪いんだから」
「はは、今考えると足がガクガクしちまうよ」
ローズさんの手を取ったお母さんが彼女を立たせると笑いながらお父さんを見る。お父さんは青い顔で呟くと足を震わせた。
あの時のお父さんはカッコよかったな。
「ありがとうございます。では、明後日」
「バブ!」
「あっ。ジーニアス様。またね」
お辞儀をしてお礼を言ってくれたローズさんに僕が声をあげて手をあげる。彼女は優しく僕の手に触れてくれた。僕らに背を向けて離れていく彼女に僕は回復魔法を唱える。
「ダブダブ……【バ~ブ】!」
「ジーニ?」
離れていくローズさんがうっすらと輝く。彼女は気が付いて僕らに手を振った。
「ジーニアス。あまり不用意に魔法を使うんじゃない」
「ジーク、ジーニは優しさで魔法を使ったのよ。ここは褒めるところ。いい子ね~。魔法は私が使ったことにすればいいからね~」
「バブ!」
お父さんが注意してきたけど、お母さんが褒めてくれる。
「お帰りなさい」
「ただいまシリカ」
「バブ!」
シリカちゃんがテントから出てきて迎えてくれた。お昼寝してたのかな? テントの中が少し見えたけど、エリカちゃんと彼女のお母さんも寝ていたから。
「シリカ、みんなに知らせてくれ。オーベンの村に帰るって」
「帰れるんですね。よかった。グッツさんが心配していたんです。ジークさん達は王都で暮らすかもって」
お父さんの話を聞いてホッと胸を撫でおろすシリカちゃん。グッツさんも心配してたんだな。あれだけの魔物を退けた英雄だもんな。いなくなっちゃうって心配しても仕方ない。
「ああ、安心していい。ガツンと言ってやった。あのブレインとかいう騎士もやっつけてやった」
「え? やっつけたって?」
「切りかかってきたから片腕を切り落としてやった」
「え!? 大丈夫なんですか? 騎士様ってことは貴族様じゃ?」
お父さんが気持ちよく自慢話をするとシリカちゃんは顔を青ざめさせていく。平民の僕らが貴族に手を出したって言う話だもんな。怖くなるのは分かる。
「だ、大丈夫。……たぶん」
「ジークお帰り」
「お、おう。ただいま」
お父さんが自信なさげに話しているとグッツさんが別のテントから出てきて声をあげる。顔を歪めているお父さんを見て首を傾げていた。
そんなお父さんに代わってお母さんが王城であったことを話すとグッツさんは満面の笑みになって行く。
「本当かよジーク! よくやってくれた!」
グッツさんはお父さんを抱きしめて褒める。ブレインに関してはみんな嫌な思いしてたんだよな。僕らを壁にしようとしてたんだからね。そりゃ憎しみが湧くよな。
「とにかく、明後日には出る。グッツ達も準備してくれ」
「はは、すぐにでも俺達はいけるよ。荷物なんかほとんどないんだからな」
お父さんが声をあげるとグッツさんはニカっと笑って答えた。
着の身着のまま逃げてきたからみんなもそんな感じだ。食べ物も碌になかったから僕らで取って食べてたんだからね。まさか、町に入れないなんて思わなかったもんな。
「あっ! そうだ。ララさんにこれを買ってきてもらったの」
「ダブ?」
シリカちゃんがお母さんが持っているような杖を僕に手渡してくれる。ララさんって冒険者の少女だったよな。
「相変わらず町には入れなかったから頼んだの」
「……そういえば、私達も買い物できなかったわね」
シリカちゃんの話にお母さんが残念そうに呟く。
「……王都が羨むような村にするっきゃないな! オーベンを!」
「!? バブ!」
お父さんが決意を口にする。思わず僕も手をあげて叫ぶとお父さんが僕を抱き上げた。
「よっしゃ! オーベンを城壁のある街にするぞ~~」
「バブ~! 【ダブア】」
お父さんの叫びと共に僕も声をあげた。シリカちゃんからもらった杖を早速使って僕らの狼煙をあげる。王都もうらやむ街を作ってやる!
ローズさんと共に難民キャンプに帰ってきた。お父さんのレベルを聞いて納得してる彼女はどのくらいのレベル何だろう?
「因みに私はレベル45です。ブレインが50で一番でした」
「だから第一騎士団長なのね」
ローズさんは普通に教えてくれてブレインのレベルまで教えてくれた。それを聞いてお母さんが感心してる。実力主義って感じだな。
「皆さんはいつ頃オーベンに帰られますか?」
「そうだな。みんなの様子も確認しないといけないから明後日くらいになると思う」
「そうですか。では第二騎士団も準備しておきます。それと一つだけ伝えたいことがございます」
ローズさんは予定を聞いてきてお父さんが答えると跪いた。お父さんもお母さんも驚いて目をパチクリさせる。
「難民を盾にしたこと。本当に申し訳ありませんでした」
頭を地面に叩きつけて声をあげるローズさん。地面に彼女の血が滴る。血がでるほど打ち付けるなんて、急にどうしたんだろう?
「ローズさん。あなたは謝ってくれたじゃないですか」
「ジーク様の怒りがあれほどとは思い至らず、軽く謝ってしまいました。本当に申し訳ありません」
お父さんが彼女の肩に手を当てて諭すけれど、頭をあげてくれない。思わずお母さんが彼女の手を取った。
「そんなに畏まらないで、王様にあんなことを言ったうちの人が悪いんだから」
「はは、今考えると足がガクガクしちまうよ」
ローズさんの手を取ったお母さんが彼女を立たせると笑いながらお父さんを見る。お父さんは青い顔で呟くと足を震わせた。
あの時のお父さんはカッコよかったな。
「ありがとうございます。では、明後日」
「バブ!」
「あっ。ジーニアス様。またね」
お辞儀をしてお礼を言ってくれたローズさんに僕が声をあげて手をあげる。彼女は優しく僕の手に触れてくれた。僕らに背を向けて離れていく彼女に僕は回復魔法を唱える。
「ダブダブ……【バ~ブ】!」
「ジーニ?」
離れていくローズさんがうっすらと輝く。彼女は気が付いて僕らに手を振った。
「ジーニアス。あまり不用意に魔法を使うんじゃない」
「ジーク、ジーニは優しさで魔法を使ったのよ。ここは褒めるところ。いい子ね~。魔法は私が使ったことにすればいいからね~」
「バブ!」
お父さんが注意してきたけど、お母さんが褒めてくれる。
「お帰りなさい」
「ただいまシリカ」
「バブ!」
シリカちゃんがテントから出てきて迎えてくれた。お昼寝してたのかな? テントの中が少し見えたけど、エリカちゃんと彼女のお母さんも寝ていたから。
「シリカ、みんなに知らせてくれ。オーベンの村に帰るって」
「帰れるんですね。よかった。グッツさんが心配していたんです。ジークさん達は王都で暮らすかもって」
お父さんの話を聞いてホッと胸を撫でおろすシリカちゃん。グッツさんも心配してたんだな。あれだけの魔物を退けた英雄だもんな。いなくなっちゃうって心配しても仕方ない。
「ああ、安心していい。ガツンと言ってやった。あのブレインとかいう騎士もやっつけてやった」
「え? やっつけたって?」
「切りかかってきたから片腕を切り落としてやった」
「え!? 大丈夫なんですか? 騎士様ってことは貴族様じゃ?」
お父さんが気持ちよく自慢話をするとシリカちゃんは顔を青ざめさせていく。平民の僕らが貴族に手を出したって言う話だもんな。怖くなるのは分かる。
「だ、大丈夫。……たぶん」
「ジークお帰り」
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そんなお父さんに代わってお母さんが王城であったことを話すとグッツさんは満面の笑みになって行く。
「本当かよジーク! よくやってくれた!」
グッツさんはお父さんを抱きしめて褒める。ブレインに関してはみんな嫌な思いしてたんだよな。僕らを壁にしようとしてたんだからね。そりゃ憎しみが湧くよな。
「とにかく、明後日には出る。グッツ達も準備してくれ」
「はは、すぐにでも俺達はいけるよ。荷物なんかほとんどないんだからな」
お父さんが声をあげるとグッツさんはニカっと笑って答えた。
着の身着のまま逃げてきたからみんなもそんな感じだ。食べ物も碌になかったから僕らで取って食べてたんだからね。まさか、町に入れないなんて思わなかったもんな。
「あっ! そうだ。ララさんにこれを買ってきてもらったの」
「ダブ?」
シリカちゃんがお母さんが持っているような杖を僕に手渡してくれる。ララさんって冒険者の少女だったよな。
「相変わらず町には入れなかったから頼んだの」
「……そういえば、私達も買い物できなかったわね」
シリカちゃんの話にお母さんが残念そうに呟く。
「……王都が羨むような村にするっきゃないな! オーベンを!」
「!? バブ!」
お父さんが決意を口にする。思わず僕も手をあげて叫ぶとお父さんが僕を抱き上げた。
「よっしゃ! オーベンを城壁のある街にするぞ~~」
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