異世界転生したら【スキル】が【グミ】でした 【魔王】の友達もできたので世界を平和にしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
3 / 50
第一章 新たな地で

第3話 グミ

しおりを挟む
「確かに受け取りました」

 薬草を採取して冒険者ギルドに戻ってきた。ヴィラさんに薬草を渡すと応対してくれて報酬の銅貨を20枚手渡してくれる。

「ゴブリンがいたでしょ? どうだった? 剣は汚れていないけど?」

「あ、はい。ゴブリンも二体倒しました。これが魔石です」

 一応魔石も回収してきたんだよな。大きいから見つけられないなんてことはない。

「剣を使わずに倒したってこと?」

「はい。魔法です。【シーク】の魔法を使えるので」

 属性魔法はシークや等級で訳して話すことが多い。属性を知られると不利な魔法使いあるあるだ。

「シークが使えたのね。じゃあ荷物持ちなんてしなくてもよかったんじゃ?」

「ヴィラさんも言ってたじゃないですか。下積みは大切だって。だから、荷物持ちで冒険者の仕事を見学しようと思って」

 冒険者といっても色んな仕事がある。魔物だけじゃなくて商人の護衛なんかもあるんだ。出来ればそう言ったことを知ってから働きたかった。
 前世の記憶があるから予習が大事なのは知ってるしね。

「そうだったのね。なら仕方ないわ。ロジールさんのパーティーだったらそれがあったとしても意味なかったと思うしね」

 僕はそんなことを言われるようなパーティーに雇われそうだったのか。早めにクビになって良かったな。
 そうだ、グミを見せてみるか。売れるかもしれない。

「ヴィラさん。こんなものを拾ったんですけど、何か分かりますか?」

 自分で作ったというと色々とまずいと思って拾ったと嘘をつく。彼女は眼鏡を取り出してグミを見ていく。

「初めて見るアイテムね。HPが500回復するみたい。欠損も治るかも知れないわね」

「え? 欠損も?」

 欠損が治る魔法は【グレイトヒール】と言われる上級の回復魔法だ。回復魔法が使える人は【僧侶】と言われるスキルを持っている人、だいたい教会が独占している。
 冒険者で回復魔法を使える人は独学で学んだ人、スキルがないと初級魔法が関の山と言われているから、欠損の治る回復アイテムは重宝される。

「金貨が動くわねこれは。ギルドに常備しておきたいから買うわ。正式な買い取り額がでるまで時間がかかると思うけど、預かっておいて大丈夫?」

「金貨……。はい分かりました」

 やった! これで孤児院にもお金をおろせて両親を探すことが出来るぞ。

「近くの森に落ちていたってことは木の蜜かしら?」

「た、たぶん」

 墓穴を掘らないようにするから口数が減る。ヴィラさんは気にせずにグミを見回す。

「回復するってことは口に入れるのよね。食べれるものか~。食べてみたいけど、金貨は痛いわね~」

 ヴィラさんがグミを眺めながら呟く。

「まあ、とりあえず調べてみるわ。期待して待っていてね」

「はい!」

 ヴィラさんの言葉に元気に答える。薬草の褒賞金をもって冒険者ギルドを後にして孤児院へと駆ける。
 シスターエリナにいい知らせが出来そうだぞ。

「ただいま~」

「あら、お帰りなさいシン」

 思ったよりも早く帰ってきた僕に安心した表情になるシスターエリナ。僕の好きなホットミルクを出してくれて椅子に座るように促す。
 席に座ってホットミルクを口に運ぶとシスターエリナが話しだした。

「そろそろシンも旅立ちをするころね」

「え?」

 悲しい表情になって行くシスターエリナ。

「実はね。この孤児院がなくなるかもしれないの。今いる子達も別の町に行く予定でね」

「そ、そんな……」

 そんな話初めて聞いた。僕が冒険者の仕事に行っている間に何があったんだ?

「この孤児院は借金をしていたの。何とかシンが大人になるまでって思っていてね。良かったわ」

「エリナさん……」

 ニッコリと力なく微笑むエリナさん。思わず彼女を抱きしめる。

「シン?」

「僕がどうにかします。孤児院はやめないでください」

 泣きそうになりながら言葉を絞りだす。育ててもらった恩は絶対に返す。エリナさんがいなかったら僕は確実に死んでいたんだ。絶対に孤児院を潰させない。

「エリナさん。実は金貨が手に入る予定があるんだ」

「金貨?」

「うん!」

 僕の話を聞いて首を傾げるエリナさん。突拍子もないことだから信じられないのも無理はない。

「近くの森でHPの回復するアイテムを見つけたんだ。それが新しいアイテムでね。金貨が動くって言われたんだ」

 僕は嬉しくて饒舌になる。エリナさんは信じられない様子で唖然としてる。

「借金はどのくらいなの?」

「金貨10枚程よ。だけどシン。そのお金はあなたのものでしょ? こんな孤児院に使わなくても」

 エリナさんは悲しい表情で僕の心配をしてくれる。いつもそうだ、自分のことはあとで僕ら、子供達のことばかり考えてる。
 僕は首を大きく横に振って答える。

「僕はこの孤児院のおかげで、エリナさんのおかげでこんなに大きくなれたんだ。金貨10枚なんて言わずにもっともっと受け取ってほしい」

「シン……。でも……ありがと、これでみんなと離れずに暮らせるわ」

 エリナさんは僕を抱きしめて泣いてくれる。本当は彼女もみんなと別れたくなかったんだ。守れてよかった。

「借金の返済はいつまで?」

「明後日よ。でも、本当にいいの?」

「うん。エリナさんは何も心配しなくていいよ」

 明後日までなら明日にでもヴィラさんに話せば大丈夫だろう。とりあえず、金貨10枚をもらって返済してグミを生成して販売していけば安定してお金が得られる。
 グミの生成にはMPしか使わないから実質元手は0だ。レアリティレッドは伊達じゃない。

「そうと決まれば暇な時間にグミを作りまくろう」

 エリナさんを安心させて、孤児院の僕の部屋に入って呟く。
 5分で回復するMP10。一時間もあれば60個出来上がる。1個金貨1枚になるとしたら金貨60枚、おつりがくるな。
 でも、商標登録みたいなものもあるから僕が生成者だって言わないといけないんだよな。
 レアリティレッドって言うのはバレないかもしれないけど、少し騒ぎになるかもな。孤児院を守るためだから仕方ないか。とにかく、金貨10枚は確保しないと。
 僕は眠るまでの時間にグミを生成していった。革袋いっぱいのグミを作って眠りにつく。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...