異世界転生したら【スキル】が【グミ】でした 【魔王】の友達もできたので世界を平和にしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 新たな地で

第9話 陰謀

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「うっ、うう……。ここは?」

 大きな炎の柱に焼かれて気が付くとまったく別の所にいることに気が付いた。大きく吹き飛ばされたのかな。
 【ファイアドゥーク】は上級の魔法だ。威力が段違いなのは、本物の魔法使いのスキルを持つ人が使う魔法だからだろう。
 僕もスキルを持っていたらシークやディークの威力が変わるんだろうな。一撃必殺になって、あの黒い魔物を簡単に倒していたかも。

「と、とにかくグミを食べよう。よかった革袋は無事だ。……腕」

 腰につけていたグミの入った革袋は無事だった。だけど、革袋を掴もうと思った腕がなくなっているのが分かった。痛みがないのは焼け焦げてしばらくたっていたからか。

「と、とにかく食べよう」

 焼け焦げているけど、無事な腕でグミを口に運ぶ。自分の体をよく見ると服も燃えてる、ギリギリ大事なところは無事だけど靴もなくなっていて、焼けて零れ落ちそうな指が見える。

「うぅ。な、なんでこんなことに」

 涙が勝手に流れてくる。周りを見回しても今の状況がよくわからない。グミを一つ食べて回復しきらない体。もう一つ、また一つと食べて全快すると立ち上がって周りを見回す。

「山の上? あそこがシーレイクラインの町だよね。ってことは僕がいたのはあそこ」

 高いところまでふき飛ばされたみたいだ。治った腕と指で周りを指さす。グミは本当に優秀だ。あんなにボロボロだった体が全快してる。

「とにかく、帰るか……」

 あの魔法を魔物が使ったとしたらそれはかなり危険な状況だ。でも、魔物ならまだいい方。
 盗賊とか人が使ったとなると被害が魔物の比じゃない。安全な街道を襲うかもしれない。すぐに冒険者ギルドとか町の衛兵さんに知らせないと。

「おいおい。まだ生きてるのかよ。丈夫だと思ったがこれほどとはな」

「え?」

 ツカツカツカと山を登ってくる冒険者達。僕は唖然としながら彼らを見ていることしかできない。

「【ファイアドゥーク】を不意打ちで受けて無事とか。人間じゃねえな。魔物は退治しないとな」

「グスコー!?」

 冒険者の中に知った顔の男がいて話しかけてくる、グスコーだ。剣を抜いて近づいてくる。

「魔物退治だ!」

 振り下ろされるグスコーの剣。僕は紫炎を握る手に力を込めてやつの剣を切り落とした。

「な!?」

 剣を切り落とされて驚愕に声をもらすグスコー。後ろに下がって行くやつを見ていると冒険者達が武器を構えた。

「やっちまえ!」

 グスコーの声と共に襲い掛かってくる4人の冒険者。大きなハンマーや斧を振り下ろしてくる。それをことごとく切り伏せる。ゴトゴトッと地面に切った武器が落ちると声が聞こえてくる。

「ファイアドゥー」

「【ファイアシーク】!」

「!?」

 魔法使いがまたドゥークを唱えようとして来ていた。僕はすかさずシークを放つ。魔法使いのお腹に突き刺さるシークの炎、痛みに慣れていない魔法使いにはこれだけで十分だ。

「つ、強い……」

「グスコー様。俺達じゃ勝てません」

 武器のなくなった冒険者達がグスコーに視線を向ける。僕には勝てないと悟ってくれたみたいだ。あんまり強くない? 魔法使いの人だけが上級の人達みたいだ。ステータスをあげておいてよかった。
 ランクで言うとゴールドかプラチナだな。魔法使いの人はプラチナだろう。

「ちぃ、使えねえ冒険者達だな。まあいい、今回は挨拶ってことにしておいてやろう。じゃあなシン」

 帰ろうとしてるグスコー達。身勝手なやつだな。でも、そうは行かない!

「終わりにできると思ってるの?」

 紫炎を構えながらグスコーに近づく。やつは冷や汗をかきながら後ずさっていく。

「逃げるのか! え!?」

「逃げるんじゃない。俺は仕事が。な、なんだこいつ。え!?」

 グスコーを問い詰めるとやつの後ろに黒い魔物が現れた。後ずさるグスコーはそのまま黒い魔物に近づいていってしまった。すると黒い魔物がグスコーの首に食らいつく。
 さっきまで戦っていた魔物達よりも一回り大きな魔物。簡単にグスコーを絶命させていく。

「グスコーさん!」

「こ、この魔物オーガか?」

「いや、ゴブリンに容姿が似てるし黒い。ゴブリンの上位種、しいて言えばブラックゴブリンか」

 冒険者達がそう言って僕を見つめてくる。グスコーも死んでしまっているし、ここからは共闘っていいたいんだろうな。

「魔法を使う。MPを貯めるまでやつを引きつけてくれ」

「わ、わかった。だが、俺達は武器がない」

 冒険者達はそう言って僕を見てくる。僕にやってほしいって言うんだろうな。

「……分かってるよ。でも、分かってるよね? 僕ごとやろうとしたら今度こそ、僕は怒るよ?」

「わ、分かってる」

「……信用ならない。あなた達は逃げてください。僕が一人でやる」

 こんな人たち信用できない。魔法を止めるように言って、紫炎を地面に滑らせながらグスコーに牙を食い込ませる黒い魔物に駆け寄る。

「グル?」

 黒い魔物は僕の動きに気が付いてグスコーを手放して後ろに下がる。

「逃がさない!」

 僕は更に加速して魔物に近づく。そして、紫炎を切り上げる。黒い魔物は腕で紫炎をガードしてきた。だけど、紫炎の切れ味に負けて腕が飛ぶ。

「グル……」

「逃げる」

「【ファイアドゥーク】」

「え!?」

 黒い魔物が逃げようときびすを返す。僕が追いかけようと思ったら炎の柱が魔物の足元から燃え上がった。

「仕留めたぞ」

「やったぜ!」

 冒険者達は逃げずに応戦してくれたみたいだ。思ったよりもいい人達なのか?

「依頼とは言えすまなかった。シン君」

「……」

 僕に握手を求めてくる魔法使いのおじさん。信用しきれていない僕は握手に応えられずにいる。すると、冒険者達は片膝をついてくる。

「信用できないのは分かる。だが、俺達も冒険者だ。指名依頼をされたら答えなくてはならない。その相手が貴族ならば尚更だ」

「そうそう、その依頼って言うのも痛めつけて引き渡すってだけのものだった。俺達は命を取ろうとは思っていなかったってわけだ」

 魔法使いのおじさんと戦士のおじさんが話す。依頼なのはわかるけど、あんな横暴な人の依頼を受けるのはどうかと思う。ってグスコーって貴族だったの? 驚きだ。

「しかし、困ったな。魔物にグスコーがやられちまうとはな」

「貴族が死ぬと色々と面倒だからな。ってシン君は気にしなくていいぞ。俺達が証言しておくからな。迷惑料と思ってくれればいい」

 おじさん達がそう言って話し合っている。どうやら、僕は何もしなくていいようだ。じゃあ、帰ろうかな。

「じゃあ、僕は帰ります」

「ああ、分かった。おっと、その前に。俺の名はエッジだ。この【魔剣】のリーダーをしてる魔法使いだ」

 帰ろうと思ったら自己紹介をしてきた。命を狙ってきた人に自己紹介をされてもな~。

「そうですか。明日には忘れてると思いますので」

「ははは、そうだな。忘れてくれ。ブラックゴブリンの魔石は銀貨になる。持って帰るんだぞ」

 冷たく返事をするとエッジさんが笑って教えてくれる。でも、あの洞窟に近づきたくないな。4体も出てきたから更にいそうだしね。
 お金はグミがあるからいいや、今日は疲れた。早く帰ろう。
 僕は疲れて肩を落としながら町に歩き出す。
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