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第二章 不思議な洞窟
第38話 不安
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「おはようシン君」
「あっ、おはようございますダークスさん」
海から帰ってきてシーグリアで盛大な祝いの席を設けてもらった僕らは豪華な宿屋で次の日を迎えた。
割り当てられた部屋から出ると食堂にダークスさんが優雅にお茶を飲んでいた。匂いからして紅茶かな?
「シャドウさんとマールちゃん、それとお父さんは?」
「シャドウとマールちゃんは研究所に帰ってしまったよ。ケビンは君の後ろだ」
「え?」
ダークスさんの声で後ろを振り返るとお父さんが立っていた。僕の頭に手をポンと置くとダークスさんの向かいの席に座った。
「改めて帝国人として謝罪する」
お父さんはそう言って机に頭をこすり付ける。その謝罪を受けてダークスさんは紅茶を飲んで頷いた。
「こちらに損害はありません。船着き場もシン君の従魔達がやってくれたからね。謝罪なんていらないよ」
「……ありがとう」
「いえいえ、感謝するには早いですよ。ぜひあなたには私の元で働いてもらいたいのでね。本当はシン君の方が欲しいのですが、それはシャドウが許さないと思うので」
ダークスさんには祝いの席でも言われたんだよな。シャドウさんが断ってくれたけどね。
「あなたがそう言っていただけるなら……だが少し待ってほしい。帝国にはシュンの、シンの母がまだいるんだ。手紙をギルドから送った、すぐにシーグリアを目指してきてくれるはずだ」
お父さんはそう言って僕に微笑む。そうか、お母さんとも会えるんだな。
「分かりました。それまではこの宿を使ってください」
「ありがとう。敵だった俺にそこまでしてくれるなんて、あんたは帝王と違うんだな」
ダークスさんの握手を求める手に答えるお父さん。当分はシーグリアにお父さんはいるってことか。一時はどうなることかと思ったけど、無事でよかったな。
「じゃあ、僕もシャドウさんの元に行きますね」
「ああ、わかった。シャドウに伝えておいてくれ。”お前の大事なシンには手を出さない”とな」
「は、はい……」
からかう様に言ってくるダークスさん。お父さんも一緒に笑ってる。シャドウさんは一生言われそうだな。
「シャドウさん、マールちゃん。帰るなら起こしてくれれば良かったのに」
研究所に帰ってきて声をあげる。シャドウさんはいつも通り瓶とにらめっこしてる。マールちゃんはベッドに横になってる。
「私は起こしましょうか? って聞いたんですが……」
「親子の再会に私達がいたら邪魔だろう?」
マールちゃんが困った様子で話すとシャドウさんが答えた。気を使ってくれたってことかな?
「本当はダークスさんにからかわれて怒って出てきたんです」
「あっ、なるほどね」
マールちゃんが小声で本当のことを教えてくれる。ダークスさんは僕だけじゃなくてちゃんとシャドウさんをからかっていたみたいだ。
「マール。余計なことを言うんじゃない。まったく……」
耳を赤くさせるシャドウさん。思わず僕とマールちゃんは笑ってしまう。
「コホンッ! そんなことよりもこれを見ろ」
咳ばらいをして瓶の中の物を見せてくる。黒い塊、これは闇の精霊?
「ケビンから出てきた物だ。闇の精霊そのものだと思ったんだがどうやら違うようでな」
「それって?」
「我々でいうところの足や手と言ったところだな」
「!?」
体の一部であんなに強かったってこと? 紫炎の刃が欠けるほどの硬度だったんだよ? 本体はどれだけ強いんだ?
「融合とは単なる足し引きといったものではないのかもしれん……。おっと融合で思い出した。シン、ステータスを見て見ろ」
「え? わかりました」
シュン 12歳
レベル 15
HP 2010
MP 1093
STR 680
VIT 680
DEX 581
AGI 585
INT 560
MND 560
スキル 【グミ】
レッド
レベル 1
HP 10
MP 7
STR 10
VIT 10
DEX 8
AGI 9
INT 5
MND 5
「わ!?」
シャドウさんに言われてステータスを覗くと二つのステータスが浮かび上がった。懸念していたけど、融合してしまったってことか。
「やはりステータスが二つになっているか……」
「は、はい」
シャドウさんも察していたみたいだ。ティアラさんはステータスが二つになることが危険だと言っていた。僕もその特異点になってしまったのだろうか?
「ティアラ様に聞きに行きましょうシン様」
「そうだねマールちゃん」
マールちゃんに促されてティアラさんと話せる通路に入る。あれ? シャドウさんが来てくれない?
「……もうティアラと話すのはやめるぞ」
「え? どうしたんですかシャドウさん?」
なぜか椅子に座ったままのシャドウさん。どうしたんだろう。
「あっ……。と、とりあえずシーレイクラインの町に帰りましょシン様。エリナ様とおばあちゃんに無事を知らせないと」
何か分かった様子のマールちゃんはそう言って僕の手を引っ張る。僕は分からずに首をかしげて、マールちゃんにされるがままに洞窟を出る。
「……シン様。シャドウさんは怖いんですよ」
「え? 怖い?」
洞窟を出て森に入るとマールちゃんが声をあげる。
「はい……。シン様が特異点になったらどうなるのかが。ティアラ様はそれを防ごうと話しかけてきてましたから、何をしてくるかわからないと思いませんか?」
マールちゃんはシャドウさんの考えを話す。
またシャドウさんが僕を守ってくれたってことか。でも、本当に危ないのかな? ステータスが二個になっても僕の体に異常はないけどな。
「あっ、おはようございますダークスさん」
海から帰ってきてシーグリアで盛大な祝いの席を設けてもらった僕らは豪華な宿屋で次の日を迎えた。
割り当てられた部屋から出ると食堂にダークスさんが優雅にお茶を飲んでいた。匂いからして紅茶かな?
「シャドウさんとマールちゃん、それとお父さんは?」
「シャドウとマールちゃんは研究所に帰ってしまったよ。ケビンは君の後ろだ」
「え?」
ダークスさんの声で後ろを振り返るとお父さんが立っていた。僕の頭に手をポンと置くとダークスさんの向かいの席に座った。
「改めて帝国人として謝罪する」
お父さんはそう言って机に頭をこすり付ける。その謝罪を受けてダークスさんは紅茶を飲んで頷いた。
「こちらに損害はありません。船着き場もシン君の従魔達がやってくれたからね。謝罪なんていらないよ」
「……ありがとう」
「いえいえ、感謝するには早いですよ。ぜひあなたには私の元で働いてもらいたいのでね。本当はシン君の方が欲しいのですが、それはシャドウが許さないと思うので」
ダークスさんには祝いの席でも言われたんだよな。シャドウさんが断ってくれたけどね。
「あなたがそう言っていただけるなら……だが少し待ってほしい。帝国にはシュンの、シンの母がまだいるんだ。手紙をギルドから送った、すぐにシーグリアを目指してきてくれるはずだ」
お父さんはそう言って僕に微笑む。そうか、お母さんとも会えるんだな。
「分かりました。それまではこの宿を使ってください」
「ありがとう。敵だった俺にそこまでしてくれるなんて、あんたは帝王と違うんだな」
ダークスさんの握手を求める手に答えるお父さん。当分はシーグリアにお父さんはいるってことか。一時はどうなることかと思ったけど、無事でよかったな。
「じゃあ、僕もシャドウさんの元に行きますね」
「ああ、わかった。シャドウに伝えておいてくれ。”お前の大事なシンには手を出さない”とな」
「は、はい……」
からかう様に言ってくるダークスさん。お父さんも一緒に笑ってる。シャドウさんは一生言われそうだな。
「シャドウさん、マールちゃん。帰るなら起こしてくれれば良かったのに」
研究所に帰ってきて声をあげる。シャドウさんはいつも通り瓶とにらめっこしてる。マールちゃんはベッドに横になってる。
「私は起こしましょうか? って聞いたんですが……」
「親子の再会に私達がいたら邪魔だろう?」
マールちゃんが困った様子で話すとシャドウさんが答えた。気を使ってくれたってことかな?
「本当はダークスさんにからかわれて怒って出てきたんです」
「あっ、なるほどね」
マールちゃんが小声で本当のことを教えてくれる。ダークスさんは僕だけじゃなくてちゃんとシャドウさんをからかっていたみたいだ。
「マール。余計なことを言うんじゃない。まったく……」
耳を赤くさせるシャドウさん。思わず僕とマールちゃんは笑ってしまう。
「コホンッ! そんなことよりもこれを見ろ」
咳ばらいをして瓶の中の物を見せてくる。黒い塊、これは闇の精霊?
「ケビンから出てきた物だ。闇の精霊そのものだと思ったんだがどうやら違うようでな」
「それって?」
「我々でいうところの足や手と言ったところだな」
「!?」
体の一部であんなに強かったってこと? 紫炎の刃が欠けるほどの硬度だったんだよ? 本体はどれだけ強いんだ?
「融合とは単なる足し引きといったものではないのかもしれん……。おっと融合で思い出した。シン、ステータスを見て見ろ」
「え? わかりました」
シュン 12歳
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レッド
レベル 1
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MND 5
「わ!?」
シャドウさんに言われてステータスを覗くと二つのステータスが浮かび上がった。懸念していたけど、融合してしまったってことか。
「やはりステータスが二つになっているか……」
「は、はい」
シャドウさんも察していたみたいだ。ティアラさんはステータスが二つになることが危険だと言っていた。僕もその特異点になってしまったのだろうか?
「ティアラ様に聞きに行きましょうシン様」
「そうだねマールちゃん」
マールちゃんに促されてティアラさんと話せる通路に入る。あれ? シャドウさんが来てくれない?
「……もうティアラと話すのはやめるぞ」
「え? どうしたんですかシャドウさん?」
なぜか椅子に座ったままのシャドウさん。どうしたんだろう。
「あっ……。と、とりあえずシーレイクラインの町に帰りましょシン様。エリナ様とおばあちゃんに無事を知らせないと」
何か分かった様子のマールちゃんはそう言って僕の手を引っ張る。僕は分からずに首をかしげて、マールちゃんにされるがままに洞窟を出る。
「……シン様。シャドウさんは怖いんですよ」
「え? 怖い?」
洞窟を出て森に入るとマールちゃんが声をあげる。
「はい……。シン様が特異点になったらどうなるのかが。ティアラ様はそれを防ごうと話しかけてきてましたから、何をしてくるかわからないと思いませんか?」
マールちゃんはシャドウさんの考えを話す。
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