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第二章 不思議な洞窟
第47話 ブロンドという男
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「俺は帝国軍人のケビンだ。この塔の責任者のライナに実験体を連れてきた」
「なんだと! ケビン?」
お父さんは正直に名乗った。すると偉そうなおじさんは驚き戸惑ってお父さんの顔を覗き見てくる。
「ライナの主人の名がケビンだったな」
「ああ、そのケビンだ」
「……」
睨みつけてくるおじさん。お父さんの答えを聞くと顎に手を当てて考え込む。
「急いでる。行くぞ」
「お~っと待て待て。儂はブロンド。この塔の副責任者だ」
僕らが歩き出そうと思ったら呼び止めてくるブロンド。
「ライナ様のところまで案内しよう。下の階だ」
「は? 上の階にいると聞いたが?」
下の人と違うことを言ってくる。お父さんが思わず声をあげるとニッコリ微笑んできた。
「上は誰もいませんよ。下の階です」
「……いや、上だな。お前の顔に嘘って書いてある。俺は騙せない」
ブロンドの言葉を信じないお父さんに連れられて階段を登り始める。ブロンドは歯を食いしばって睨みつけてきた。
「儂の言うことが聞けんと見える! 甘く見おって! 【アイスドゥーク】!」
「な!?」
特大のつららを作り出して放つ魔法アイスドゥーク。それを唱えてお父さんに放ってきたブロンド。
瞬時につららを切り捨てるお父さん。ブロンドを睨みつけると薄気味悪く笑った。
「剣を抜いたな」
「なに?」
ブロンドの声と共に警報が鳴る。
「ここは魔塔! 剣を許可なく抜くと敵とみなされる! さあ、ゴーレムども! 侵入者を排除してしまえ!」
全ての扉がしまり壁からゴーレムが生み出されていく。
「仕方ない。奴隷のふりはおしまいだ」
「そうですね」
シャドウさんの声に応じて紫炎と水龍を構える。大きな螺旋階段にゴーレムが何体も生まれ僕らに目を光らせる。
「まったく、魔法使いってやつは」
「簡単には行きませんね!」
お父さんがゴーレムへと大剣を打ちおろし。マールちゃんが獣神へと変化していく。怒りをゴーレムに向けることで制御できてるみたいだな。
「なんだこやつら! 奴隷じゃないのか!」
「残念でした!」
「ひぃ! 敵襲だ。全ゴーレムを投入しろ!」
次々とゴーレムをただの土くれに変えていく僕ら。ブロンドが悲鳴をあげて増援の声をあげるとゴーレムが追加されていく。
「ブロンド、どうしたのです。この騒ぎは?」
「ら、ライナ!」
「え!? ケビン?」
上階からお母さんが降りてくる。お父さんを見つけるとブロンドを睨みつける。
「なぜケビンがここにいるのです?」
「……さ、さあ。儂には分かりかねる」
お母さんが追及するとブロンドがそっぽを向いて答えた。誤魔化すように階段を下って行ってる。
「ゴーレム達、止まりなさい。ケビン、暴れるのはやめて」
お母さんの声と共にゴーレム達が止まる。
「本当にライナが責任者なんだな」
「ええ、魔塔主ともいうけれどね。それで? なんでケビンがここに?」
抱き合う二人。お母さんの声を聞いてお父さんが僕へと視線を移す。
「俺達の息子が生きていたんだよ。手紙は届いていないのか?」
「え!? ま、まさか……手紙なんて一通も届いていないわ」
二人は僕に近づいてくる。幻なんじゃないかと確認するように僕の頬に触れるお母さん。目には涙が溜まっていく。
「ほ、本当なのね。生きていてくれた」
「はい。何とか」
何度も何度も確認するように頬を摩ってくれるお母さん。抱きしめてくれると声をもらして涙していく。
「お母さん!」
「ルリ? どうしたの?」
階段の上の方から声が聞こえてくる。ルリってことは妹?
「すぐに逃げて!」
「え? な、なにこの揺れは?」
ルリちゃんが叫ぶと地震が起こる。ギシギシと塔が悲鳴をあげる。
「はははは。ではごきげんようライナ」
「ブロンド? 何を言っているの?」
ブロンドの声が塔の中に響く。さっきまでこの場にいたはずのブロンドだったけど、いつの間にかいなくなってた。
「ライナ。お前の研究結果はいただいた。これからは儂が引き継ぐ。気兼ねなく死んでくれ」
「ど、どういうこと?」
「はははは、お花畑の女よ。お前のこれまでの不運は儂の策略だったのだよ」
ブロンドは高笑いをして説明していく。僕らが逃げられないと思っているみたいだ。
「お前の才能は魔法研究だった。息子が生まれたことで研究を捨てたお前を儂は許せなかったぞ。儂は間違っていなかった。あれだけ研究してなしえなかったことを簡単になしてくれた。子供を攫って本当に良かった」
「な!? 子供を攫った! まさか、それはシュンのこと?」
「そうだ! 儂が人攫いに情報を流しやるように促した。ここまでうまくいくとは思わなかったがな。がははは」
ブロンドが僕を家族から奪った黒幕ってこと?
「お母さん! 上に行かないと! 危ない!」
「分かったわルリ! ケビン!」
「おうよ! みんな、一気に登って行くぞ!」
ルリの声でみんな我に返る。ブロンドの声で唖然としてしまったな。お母さんの声でお父さんが僕らに号令をかける。
お母さんを抱えて走るとルリも抱えて階段を登って行くお父さん。僕らもついていくとすぐに頂上にたどり着いた。
「なんだと! ケビン?」
お父さんは正直に名乗った。すると偉そうなおじさんは驚き戸惑ってお父さんの顔を覗き見てくる。
「ライナの主人の名がケビンだったな」
「ああ、そのケビンだ」
「……」
睨みつけてくるおじさん。お父さんの答えを聞くと顎に手を当てて考え込む。
「急いでる。行くぞ」
「お~っと待て待て。儂はブロンド。この塔の副責任者だ」
僕らが歩き出そうと思ったら呼び止めてくるブロンド。
「ライナ様のところまで案内しよう。下の階だ」
「は? 上の階にいると聞いたが?」
下の人と違うことを言ってくる。お父さんが思わず声をあげるとニッコリ微笑んできた。
「上は誰もいませんよ。下の階です」
「……いや、上だな。お前の顔に嘘って書いてある。俺は騙せない」
ブロンドの言葉を信じないお父さんに連れられて階段を登り始める。ブロンドは歯を食いしばって睨みつけてきた。
「儂の言うことが聞けんと見える! 甘く見おって! 【アイスドゥーク】!」
「な!?」
特大のつららを作り出して放つ魔法アイスドゥーク。それを唱えてお父さんに放ってきたブロンド。
瞬時につららを切り捨てるお父さん。ブロンドを睨みつけると薄気味悪く笑った。
「剣を抜いたな」
「なに?」
ブロンドの声と共に警報が鳴る。
「ここは魔塔! 剣を許可なく抜くと敵とみなされる! さあ、ゴーレムども! 侵入者を排除してしまえ!」
全ての扉がしまり壁からゴーレムが生み出されていく。
「仕方ない。奴隷のふりはおしまいだ」
「そうですね」
シャドウさんの声に応じて紫炎と水龍を構える。大きな螺旋階段にゴーレムが何体も生まれ僕らに目を光らせる。
「まったく、魔法使いってやつは」
「簡単には行きませんね!」
お父さんがゴーレムへと大剣を打ちおろし。マールちゃんが獣神へと変化していく。怒りをゴーレムに向けることで制御できてるみたいだな。
「なんだこやつら! 奴隷じゃないのか!」
「残念でした!」
「ひぃ! 敵襲だ。全ゴーレムを投入しろ!」
次々とゴーレムをただの土くれに変えていく僕ら。ブロンドが悲鳴をあげて増援の声をあげるとゴーレムが追加されていく。
「ブロンド、どうしたのです。この騒ぎは?」
「ら、ライナ!」
「え!? ケビン?」
上階からお母さんが降りてくる。お父さんを見つけるとブロンドを睨みつける。
「なぜケビンがここにいるのです?」
「……さ、さあ。儂には分かりかねる」
お母さんが追及するとブロンドがそっぽを向いて答えた。誤魔化すように階段を下って行ってる。
「ゴーレム達、止まりなさい。ケビン、暴れるのはやめて」
お母さんの声と共にゴーレム達が止まる。
「本当にライナが責任者なんだな」
「ええ、魔塔主ともいうけれどね。それで? なんでケビンがここに?」
抱き合う二人。お母さんの声を聞いてお父さんが僕へと視線を移す。
「俺達の息子が生きていたんだよ。手紙は届いていないのか?」
「え!? ま、まさか……手紙なんて一通も届いていないわ」
二人は僕に近づいてくる。幻なんじゃないかと確認するように僕の頬に触れるお母さん。目には涙が溜まっていく。
「ほ、本当なのね。生きていてくれた」
「はい。何とか」
何度も何度も確認するように頬を摩ってくれるお母さん。抱きしめてくれると声をもらして涙していく。
「お母さん!」
「ルリ? どうしたの?」
階段の上の方から声が聞こえてくる。ルリってことは妹?
「すぐに逃げて!」
「え? な、なにこの揺れは?」
ルリちゃんが叫ぶと地震が起こる。ギシギシと塔が悲鳴をあげる。
「はははは。ではごきげんようライナ」
「ブロンド? 何を言っているの?」
ブロンドの声が塔の中に響く。さっきまでこの場にいたはずのブロンドだったけど、いつの間にかいなくなってた。
「ライナ。お前の研究結果はいただいた。これからは儂が引き継ぐ。気兼ねなく死んでくれ」
「ど、どういうこと?」
「はははは、お花畑の女よ。お前のこれまでの不運は儂の策略だったのだよ」
ブロンドは高笑いをして説明していく。僕らが逃げられないと思っているみたいだ。
「お前の才能は魔法研究だった。息子が生まれたことで研究を捨てたお前を儂は許せなかったぞ。儂は間違っていなかった。あれだけ研究してなしえなかったことを簡単になしてくれた。子供を攫って本当に良かった」
「な!? 子供を攫った! まさか、それはシュンのこと?」
「そうだ! 儂が人攫いに情報を流しやるように促した。ここまでうまくいくとは思わなかったがな。がははは」
ブロンドが僕を家族から奪った黒幕ってこと?
「お母さん! 上に行かないと! 危ない!」
「分かったわルリ! ケビン!」
「おうよ! みんな、一気に登って行くぞ!」
ルリの声でみんな我に返る。ブロンドの声で唖然としてしまったな。お母さんの声でお父さんが僕らに号令をかける。
お母さんを抱えて走るとルリも抱えて階段を登って行くお父さん。僕らもついていくとすぐに頂上にたどり着いた。
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