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第2章 王国と魔道
第56話 属性を纏う
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「くっ……はははは。まさかまたオルディナの教授が来ていたとはな。完全になめているとしか言いようがないな」
エスメル様と一緒にオルクスに帰ってきた。
焼け落ちた冒険者ギルドを初めて見た彼女は、顔を抑えて怒りで笑いがこみあげている。
「アスガル。少し遠出をするか? オルディナなんてどうだろうか?」
「いいですな。ちょっと教授を2、3人拉致して謝罪をさせましょうか」
エスメル様が冗談を言うとアスガルさんが短剣を抜いて黒い笑みを浮かべる。あれ? 冗談じゃないの?
「まずはギルドの再建か。今度来た時には私がしっかりと対応させてもらう。教授の特徴と名前を聞いてもいいか?」
エスメル様は焼け落ちたギルドの中に入って聞いてくる。ルーザーさんが説明すると、彼女は顎に手を当てて考え込む。
「ふむ、幽体の体にグールの腕か。それなら銀の武器を使うか。丁度いいな」
「あ、確かに。って銀の武器が幽体に効くんですね」
エスメル様の言葉に僕はポンと手を叩いて声を上げる。
僕の疑問に無言で頷いてくれる彼女はリッテンの逃げていった空を見つめる。
「まっすぐとオルディナに逃げ帰ったか。流石に分が悪いと思ったんだろう。ということは数を増やしてくるはずだ。リッテンは知っている。他の国に迷惑をかける死霊術師の名だ。敵が分かれば対処は容易い」
エスメル様はそう言って自信満々に胸を張る。
「属性をのせた剣でも幽体を傷つけることが出来る。ムラタ達の魔法を俺の剣にのせる練習をするぞ」
「ええ!? そんなことできるんですか?」
ルーザーさんの提案に驚いてジャネット達と顔を見あう。
「ああ、難しいができる」
ルーザーさんは力強く答える。それを見てエスメル様は嬉しそうに頷く。
「剣に属性を”纏わせる”。人が出した火や水は普通のそれらよりマナが多く含まれてる。剣にあらかじめ自分のマナを濃くしておけば属性を纏わせることが出来る」
「マナを濃くさせる?」
「それを使えるようになれば達人。ルーザーと同じ段階に上がれる」
エスメル様が説明してくれる。ルーザーさんと同じ……僕なんかがそんな達人みたいな技を使えるようになるのだろうか?
「私ももっと強くなれる」
「兄貴はそんな技を……」
ジャネットとジャンが驚きながらも喜んでる。強さにどん欲なジャネット。純粋に凄い人だと思う。
僕は自信がないな。レベルも低いし、彼女たちに守られてばかりのただの人だ。達人から一番遠い存在。
「お姉ちゃん! ルナもやる!」
「ルナはできないでしょ? 武器を持っていないんだから」
「ええ~! じゃあ持つ!」
「もう! ルナ、無茶言わないの」
悲観しているとルナちゃんが声を上げる。ルーンと彼女の会話を聞いているとほっこりする。なんだか難しく考えていた僕がおかしく思える。
僕は魔法の勉強をしよう。魔法書を読んでいるけど、まだまだ途中だしね。
「王国からの支援は見込めない。王が懐柔されているからな。オルクスの未来は君たちにかかっている。まあ、その前に私が倒してしまうかもしれないけどな」
「我が主はとても謙虚でございます」
エスメル様がルーザーの肩を掴んで話す。アスガルさんが泣きながら何か言ってるけど、謙虚ってそういうことだっけ?
「よ、よし! 早速練習をするぞ。ムラタの土地でやるのがいいと思うが今日はもう遅い。エスメル様の帰還を喜ぶ宴をするぞ~。ルルのごちそうだ~!」
「ええ~~!? またですか!?」
ルーザーさんがアスガルさんの言葉にうろたえながらも声を上げる。宴というといい思い出がない僕は怪訝な表情になる。
彼はそんな僕に気が付いて肩に腕を回してくる。
「今ならクリスの料理でもあるんだ。嬉しいだろムラタ」
「あ、それはそうですけど。って僕は別にそういう目でクリスさんを見てませんよ」
「まあ、そういうことにしておくか。ジャネットもいるしな」
「だ、だからそういう目でみんなを見てませんって」
ルーザーさんが揶揄ってくる。
僕なんかを好いてくれる人なんていないよ。そんな珍しくて優しい人は僕なんかになびかない。
「マスター。あなたは自分の価値をわかっていないんですね」
「ワンワン!」
「ジャネット、ルドラ?」
ジャネットが慰めてくれてる? ルドラもなぜか僕の足に頭をこすりつけてくる。これは犬吸いをしていいのかな。飼い主の特権はいい匂いだ。
ルドラの体は草原の風の匂いがする。マイナスイオンを感じるから気持ちがスッキリするんだよな~。
「マスターってなんだかすごい」
「ははは、ムラタらしいよな」
ジャンとルーザーさんが呆れて僕を見つめてくる。
二人は元の兄弟に戻ったみたいだ。僕は嬉しい。だって、他人のように接していた二人が楽しそうにしているんだから。
「じゃあ食材の買い出しに行くぞ~! 流石のルルも食材がなかったらごちそう作れねえからな。エクス達も呼んで宴だ~」
「はぁ、兄貴はほんと。まあ、楽しそうだからいいけどさ。ほどほどにしてほしいな。マスターのためにも」
ルーザーさんがパンと手を叩いて声を上げる。ジャンが呆れながらも嬉しそうに彼を見ている。
みんなで市場に買い出しだ。ついでにバンゲルさんに銀を使った武器を注文しないとな。エスメル様も一緒に来てくれるみたいだから話が早そうだ。
エスメル様と一緒にオルクスに帰ってきた。
焼け落ちた冒険者ギルドを初めて見た彼女は、顔を抑えて怒りで笑いがこみあげている。
「アスガル。少し遠出をするか? オルディナなんてどうだろうか?」
「いいですな。ちょっと教授を2、3人拉致して謝罪をさせましょうか」
エスメル様が冗談を言うとアスガルさんが短剣を抜いて黒い笑みを浮かべる。あれ? 冗談じゃないの?
「まずはギルドの再建か。今度来た時には私がしっかりと対応させてもらう。教授の特徴と名前を聞いてもいいか?」
エスメル様は焼け落ちたギルドの中に入って聞いてくる。ルーザーさんが説明すると、彼女は顎に手を当てて考え込む。
「ふむ、幽体の体にグールの腕か。それなら銀の武器を使うか。丁度いいな」
「あ、確かに。って銀の武器が幽体に効くんですね」
エスメル様の言葉に僕はポンと手を叩いて声を上げる。
僕の疑問に無言で頷いてくれる彼女はリッテンの逃げていった空を見つめる。
「まっすぐとオルディナに逃げ帰ったか。流石に分が悪いと思ったんだろう。ということは数を増やしてくるはずだ。リッテンは知っている。他の国に迷惑をかける死霊術師の名だ。敵が分かれば対処は容易い」
エスメル様はそう言って自信満々に胸を張る。
「属性をのせた剣でも幽体を傷つけることが出来る。ムラタ達の魔法を俺の剣にのせる練習をするぞ」
「ええ!? そんなことできるんですか?」
ルーザーさんの提案に驚いてジャネット達と顔を見あう。
「ああ、難しいができる」
ルーザーさんは力強く答える。それを見てエスメル様は嬉しそうに頷く。
「剣に属性を”纏わせる”。人が出した火や水は普通のそれらよりマナが多く含まれてる。剣にあらかじめ自分のマナを濃くしておけば属性を纏わせることが出来る」
「マナを濃くさせる?」
「それを使えるようになれば達人。ルーザーと同じ段階に上がれる」
エスメル様が説明してくれる。ルーザーさんと同じ……僕なんかがそんな達人みたいな技を使えるようになるのだろうか?
「私ももっと強くなれる」
「兄貴はそんな技を……」
ジャネットとジャンが驚きながらも喜んでる。強さにどん欲なジャネット。純粋に凄い人だと思う。
僕は自信がないな。レベルも低いし、彼女たちに守られてばかりのただの人だ。達人から一番遠い存在。
「お姉ちゃん! ルナもやる!」
「ルナはできないでしょ? 武器を持っていないんだから」
「ええ~! じゃあ持つ!」
「もう! ルナ、無茶言わないの」
悲観しているとルナちゃんが声を上げる。ルーンと彼女の会話を聞いているとほっこりする。なんだか難しく考えていた僕がおかしく思える。
僕は魔法の勉強をしよう。魔法書を読んでいるけど、まだまだ途中だしね。
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「我が主はとても謙虚でございます」
エスメル様がルーザーの肩を掴んで話す。アスガルさんが泣きながら何か言ってるけど、謙虚ってそういうことだっけ?
「よ、よし! 早速練習をするぞ。ムラタの土地でやるのがいいと思うが今日はもう遅い。エスメル様の帰還を喜ぶ宴をするぞ~。ルルのごちそうだ~!」
「ええ~~!? またですか!?」
ルーザーさんがアスガルさんの言葉にうろたえながらも声を上げる。宴というといい思い出がない僕は怪訝な表情になる。
彼はそんな僕に気が付いて肩に腕を回してくる。
「今ならクリスの料理でもあるんだ。嬉しいだろムラタ」
「あ、それはそうですけど。って僕は別にそういう目でクリスさんを見てませんよ」
「まあ、そういうことにしておくか。ジャネットもいるしな」
「だ、だからそういう目でみんなを見てませんって」
ルーザーさんが揶揄ってくる。
僕なんかを好いてくれる人なんていないよ。そんな珍しくて優しい人は僕なんかになびかない。
「マスター。あなたは自分の価値をわかっていないんですね」
「ワンワン!」
「ジャネット、ルドラ?」
ジャネットが慰めてくれてる? ルドラもなぜか僕の足に頭をこすりつけてくる。これは犬吸いをしていいのかな。飼い主の特権はいい匂いだ。
ルドラの体は草原の風の匂いがする。マイナスイオンを感じるから気持ちがスッキリするんだよな~。
「マスターってなんだかすごい」
「ははは、ムラタらしいよな」
ジャンとルーザーさんが呆れて僕を見つめてくる。
二人は元の兄弟に戻ったみたいだ。僕は嬉しい。だって、他人のように接していた二人が楽しそうにしているんだから。
「じゃあ食材の買い出しに行くぞ~! 流石のルルも食材がなかったらごちそう作れねえからな。エクス達も呼んで宴だ~」
「はぁ、兄貴はほんと。まあ、楽しそうだからいいけどさ。ほどほどにしてほしいな。マスターのためにも」
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