【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
57 / 110
第2章 王国と魔道

第57話 光の精霊

しおりを挟む
「はいよ! 次の料理!」

「は、は~い!」

 市場で食材を買って宿屋【ハヤブサ】に帰って来た。
 ルルさんが厨房で料理をどんどん作っていくと、クリスさんが忙しく食堂に料理を並べていく。ジャネット達も手伝っているけど、結構大変そうだな。残念ながらクリスさんは料理できないみたい。出来ないことがあるのも魅力的だよな~。僕も同じだしね。
 僕も料理が出来ればよかったんだけど、一切できません。日本にいたころはカップラーメンとか納豆を好んで食べてたからな~。

「クリスさん。こっちも出来ました」

「は~い。ルーンさんも料理できてよかった」

「はい。ルナによく作ってあげました……」

 ルーンも厨房で腕を振るう。
 クリスさんに答えながら料理を手渡す。その姿は少し寂しそうで、胸が締め付けられる。
 彼女も少しずつ記憶が浸透しているんだろう。ルナちゃんのことを妹として認識し始めてる。そこで苦しいのが、そんなに大事じゃなかったとふるまっていた自分を許せなくなってしまうところだ。
 ルナちゃんは何とも思っていないけど、自分が許せなくなっちゃうんだよな。彼女の言葉を借りるなら、『生きているだけでいい』んだけどね。

「わ~! お姉ちゃんの料理だ~。オムレツ~!」

「……」

 ルナちゃんが運ばれてきた料理を見て声を上げる。嬉しそうにする彼女を厨房の窓から見つめるルーンはとても優しい表情だった。

「ん~、儂は場違いなんじゃないか? 鍛冶場にいた方が落ち着くんだがな~」

「何言ってんだよバンゲル! 宴はこれからだぜ。ほらほら、エールを飲んで仕事を忘れろよ」

「あぶっ!? この悪ガキが! 年寄りは酒を時間と混ぜて楽しむんだ。せかせかと飲んだら酒が襲い掛かってくるぞ!」

 バンゲルさんに依頼をしに行ったらルーザーさんが彼を宴に誘った。
 彼は恥ずかしそうにしながらも楽しそうにお酒を楽しむ。お世話になりったぱなしだったからいい機会だな。

「マスター。料理をお持ちしました」

「ジャネットありがとう。ごめんね。みんなに働かせちゃって」

「いえ、私も皆さんの為に働けて嬉しいです。この皆さんの笑顔を守れていると思うとほんとに嬉しくて」

 ジャネットにお礼を言うと彼女は本当に嬉しそうに微笑む。周りを見回す彼女と一緒に僕も周りを見渡す。
 みんな笑顔で幸せな光が見える。手を伸ばせば掴めそうな光……。僕は思わず手を伸ばして握る。

「光の球……」

 光魔法の適正のある僕は光を握ることができるんだろう。その光は煌々と輝いて僕の中に入ってくる。
 驚いて掌をみているとルーンが駆けてくる。

「マスター! 今のは?」

「ルーン? えっと光が見えたから掴んでみたんだけど、ダメだった?」

 焦っている様子のルーンに説明する。すると彼女は大きなため息をついてニッコリと笑う。

「それは光の精霊です。一段階光の精霊に受け入れられたようです」

「ええ!? ほんと? ってことは回復魔法とか支援魔法とかできるかな?」

「はい。それどころか、剣に光を纏わせることも可能だと思いますよ」

 ルーンは自分のことのように喜んで教えてくれる。剣に光の魔法を纏わせる……。エスメル様達が話していたことを僕が出来るようになった? にわかには信じられないな。

「マスターが光魔法を取得しただけでも私は嬉しかったのに。神様は更に私に幸せをくれる」

 ルーンは涙を流しながら天を仰ぐ。
 なんだか大げさに喜ばれて恥ずかしいな。

「ムラタさん。飲んでますか?」

「クリスさん。はい、自分のペースで飲めてます。今日はエクスに付きっきりみたいなので」

「ああ、ルーザーさんですね。ふふ、少し妬けていますか?」

「そんなのことは~……」

 料理がひと段落して、クリスさんが隣に座って声をかけてくる。
 忙しくて熱くなったのか、彼女は頬が赤くなってる。艶っぽくて緊張してしまう。
 ルーザーさんが居なくて少し寂しく思ってしまっている自分もいるんだよな。だけど、ここで認めてしまうと面倒なことになりそうだ。

「おい! ムラタ! こっちきて俺の横で飲め! 師匠の命令だ!」

 エクスの席から声を上げるルーザーさん。完全にうざいお父さんって感じだ。別に子供でもないんだけど、言うことを聞かないと何をされるかわからないから行きますかね。

「ルーザーさん。飲みすぎですよ」

「あ~、何わけのわからねえこと言ってんだ? まだ樽1杯も行ってねえじゃねえか」

「いやいや、それは人の飲む量じゃないですから。エクスも気絶してますよ」

 エクスが静かだと思ったら白目向いて気絶してる。あの時はお酒に強かったのに、今日に限って弱いなんて。
 身代わりに使っていたからいつもよりも飲まされてしまったのかな。

「ほれほれ! 飲め飲め!」

「あぶっ!? ごふっ! ちょ、ちょっとルーザーさん」

 ゴクゴク! 無理やり飲まされて、気持ちのいいくらいの喉ごし音を立てる僕。一瞬で足元がふらつく。
 文句を言うために頭を振ると周りの景色が揺らぐ。
 あ、そうか。あの時は冒険者ギルドのエールだったけど、今日のは宿屋のエールだ。
 ルルさんのことだから薄めずに出しているんだろう。明らかにアルコール度数が高いのがわかる。ちょびちょび飲んでいた時は全然わからなかった。

「「ムラタさん!」マスター!」

「むにゃ……」

 目を開けていられずにその場に倒れる。クリスさんとジャネットの声を最後に意識が途切れる。なんだか柔らかな感触がして気持ちよかったな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

処理中です...