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第2章 王国と魔道
第58話 夢の中
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「……あれ。これって夢の中?」
何度目かの夢の中。すぐに異常が分かる。
周りを見回すと城壁の町が見える。そこは何度も見ているからわかる。オルクスだ。
「ゾンビの群れ? 色が違う。あれはグレーターグールと同じ色だ」
オルクスにゆっくりと進んでいくゾンビ達。グレーターグールと同じ色のゾンビは明らかに強さが違うのがわかる。
『生徒達は優秀だった。しかし、未熟。経験が浅かったのだ。最初から全力、強い魔物から召喚していたらやられずにすむ。論文はこれで決まりだな。【研究も実戦。ゴブリンを狩る時も全力を出すべし】。ふむ、我ながらいい言葉だな』
「リッテン!」
ゾンビ達を見つめてほくそ笑む男はリッテンだった。
なんで僕の夢に奴が……もしかして。
『我が領土を脅かす外道! 会いたかったぞ!』
「……エスメル様?」
朝日が昇っている中、城壁から降りてくる人影が声を上げる。それは紛れもなくエスメル様だ。
……もしかしてじゃない。まちがいない、これは……。
『剣では私を倒すことはできない。私の体は全て幽体。ゴーストと成れる。人を超越した私に死角はない。たとえあなた、【王国の剣 エスメル】でもな!』
リッテンはそう言ってローブを脱ぎ去る。朝日に透かされる体。半透明になった彼は笑みを浮かべる。
『ふ、私の事を知っているか。名乗りを忘れているぞ外道』
『ふははは。魔道都市オルディナの教授が一人。我の名はリッテン。王国の剣エスメル! お前を私のゾンビの一人にしてくれる!』
エスメル様は大剣を構える。
銀の輝きを纏った大剣が赤く光る。あの火の光はジャネット? なぜかわかる。光の魔法の適性が上がったからかな。
リッテンと対峙するエスメル様。やつは声と一緒にグレーターグールを地面から生み出す。
この間とは違う、3体グレーターグールを生み出してる。本気じゃなかったの。
『再生能力を持つグレーターグールを3体。人の体を捨てた私の研究成果! とくと味わうがいい!』
『……口ばかりが動いているぞ。ウスノロ』
『な!?』
朝日を背に大剣を横なぎに払うエスメル様。その大剣が通った後には灰が残るのみ。リッテンもグレーターグールも同じ黒い灰に変わる。
大剣が届くはずもない距離にいたエスメル様。距離を詰めたわけでもない。味方なのに寒気だつ体。恐怖してるのか。
「ハァハァ……」
リッテンが灰になるのを見て目が覚める。いつもの宿屋の僕の部屋。窓の外はまだ暗い。
「もう飲めないですよルーザーさん」
「今日の酒はうめえな~。ムラタ、エクス~。ぐご~」
僕の部屋の床で眠るルーザーさんとエクス。二人はいつも通りだな。
「はぁ~……」
窓を開けて夜の街並みを見ながらため息をつく。
この夢は毎回防衛者の増える時にみる。ということはリッテンが仲間になる可能性が出てきた。
夢の登場人物はリッテンとエスメル様だけだ。エスメル様はとどめを刺していたから死ぬことはない。
「でもおかしいよな。大体この夢は事後とか途中とかだったのに……」
ルーンは数日前でルナちゃんは途中。それなのにリッテンは未来だ。それも守るものなんてなさそうな人だ。正直言って仲間にしたくないぞ。
「どうしたものか……」
悩んでいると朝日が昇ってくる。それを見て僕は支度を始める。そう、この時間だったんだ。
『ゾンビの群れだ! 戦えるものは武器を持ち城門へ!』
そんな声が聞こえてきてルーザーさん達が起きる。それを見送って僕は一人で城門へと走った。
「早いな。流石はムラタ殿だ」
「エスメル様」
一人で城門に着くとエスメル様とアスガルさんが立っていた。寝ずに見張っていたのかな?
「頭のいい奴というのは考えることが単純。朝日と共に攻めてくると読んでいた」
エスメル様は夢で見た銀の大剣を担いで笑みを浮かべる。
今にもリッテンを倒してしまうそうな程嬉しそうにしてる。目が笑っていないから怖いな。
「ジャネット殿を呼べるか?」
「あ、はい」
声をかけてくるエスメル様は優しく微笑む。言われた通り、ジャネットを呼ぶと夢で見たように大剣に火を纏わせる。
「初めて会った時から感じていた。いい火だ。守りたいものがある火。”あの人”と一緒だ。」
「「あの人?」」
エスメル様が感慨深く大剣に纏った火を見つめる。ゆらゆらと揺れる火は、意志を持っているように輝いて見せてくる。
ジャネットと一緒に聞き返すとニッコリと微笑んでくるだけ。エスメル様は無言で城壁を登っていく。そして……、
「我が領土を脅かす外道! 会いたかったぞ!」
声が聞こえてくる。僕は急いで城壁を上る。城壁上から背中に朝日を浴び、エスメル様とリッテンを見る。
遠いけど、声は聞こえてくる。
「……口ばかりが動いているぞ。ウスノロ」
結果は夢のまま。エスメル様の赤い炎の斬撃がリッテンとグレーターグールを灰に変えた。
僕の夢は未来予知になってしまったのか。それならいいな。その人を救うことが出来るから。まあ、リッテンは救わなくてもいいよね。
何度目かの夢の中。すぐに異常が分かる。
周りを見回すと城壁の町が見える。そこは何度も見ているからわかる。オルクスだ。
「ゾンビの群れ? 色が違う。あれはグレーターグールと同じ色だ」
オルクスにゆっくりと進んでいくゾンビ達。グレーターグールと同じ色のゾンビは明らかに強さが違うのがわかる。
『生徒達は優秀だった。しかし、未熟。経験が浅かったのだ。最初から全力、強い魔物から召喚していたらやられずにすむ。論文はこれで決まりだな。【研究も実戦。ゴブリンを狩る時も全力を出すべし】。ふむ、我ながらいい言葉だな』
「リッテン!」
ゾンビ達を見つめてほくそ笑む男はリッテンだった。
なんで僕の夢に奴が……もしかして。
『我が領土を脅かす外道! 会いたかったぞ!』
「……エスメル様?」
朝日が昇っている中、城壁から降りてくる人影が声を上げる。それは紛れもなくエスメル様だ。
……もしかしてじゃない。まちがいない、これは……。
『剣では私を倒すことはできない。私の体は全て幽体。ゴーストと成れる。人を超越した私に死角はない。たとえあなた、【王国の剣 エスメル】でもな!』
リッテンはそう言ってローブを脱ぎ去る。朝日に透かされる体。半透明になった彼は笑みを浮かべる。
『ふ、私の事を知っているか。名乗りを忘れているぞ外道』
『ふははは。魔道都市オルディナの教授が一人。我の名はリッテン。王国の剣エスメル! お前を私のゾンビの一人にしてくれる!』
エスメル様は大剣を構える。
銀の輝きを纏った大剣が赤く光る。あの火の光はジャネット? なぜかわかる。光の魔法の適性が上がったからかな。
リッテンと対峙するエスメル様。やつは声と一緒にグレーターグールを地面から生み出す。
この間とは違う、3体グレーターグールを生み出してる。本気じゃなかったの。
『再生能力を持つグレーターグールを3体。人の体を捨てた私の研究成果! とくと味わうがいい!』
『……口ばかりが動いているぞ。ウスノロ』
『な!?』
朝日を背に大剣を横なぎに払うエスメル様。その大剣が通った後には灰が残るのみ。リッテンもグレーターグールも同じ黒い灰に変わる。
大剣が届くはずもない距離にいたエスメル様。距離を詰めたわけでもない。味方なのに寒気だつ体。恐怖してるのか。
「ハァハァ……」
リッテンが灰になるのを見て目が覚める。いつもの宿屋の僕の部屋。窓の外はまだ暗い。
「もう飲めないですよルーザーさん」
「今日の酒はうめえな~。ムラタ、エクス~。ぐご~」
僕の部屋の床で眠るルーザーさんとエクス。二人はいつも通りだな。
「はぁ~……」
窓を開けて夜の街並みを見ながらため息をつく。
この夢は毎回防衛者の増える時にみる。ということはリッテンが仲間になる可能性が出てきた。
夢の登場人物はリッテンとエスメル様だけだ。エスメル様はとどめを刺していたから死ぬことはない。
「でもおかしいよな。大体この夢は事後とか途中とかだったのに……」
ルーンは数日前でルナちゃんは途中。それなのにリッテンは未来だ。それも守るものなんてなさそうな人だ。正直言って仲間にしたくないぞ。
「どうしたものか……」
悩んでいると朝日が昇ってくる。それを見て僕は支度を始める。そう、この時間だったんだ。
『ゾンビの群れだ! 戦えるものは武器を持ち城門へ!』
そんな声が聞こえてきてルーザーさん達が起きる。それを見送って僕は一人で城門へと走った。
「早いな。流石はムラタ殿だ」
「エスメル様」
一人で城門に着くとエスメル様とアスガルさんが立っていた。寝ずに見張っていたのかな?
「頭のいい奴というのは考えることが単純。朝日と共に攻めてくると読んでいた」
エスメル様は夢で見た銀の大剣を担いで笑みを浮かべる。
今にもリッテンを倒してしまうそうな程嬉しそうにしてる。目が笑っていないから怖いな。
「ジャネット殿を呼べるか?」
「あ、はい」
声をかけてくるエスメル様は優しく微笑む。言われた通り、ジャネットを呼ぶと夢で見たように大剣に火を纏わせる。
「初めて会った時から感じていた。いい火だ。守りたいものがある火。”あの人”と一緒だ。」
「「あの人?」」
エスメル様が感慨深く大剣に纏った火を見つめる。ゆらゆらと揺れる火は、意志を持っているように輝いて見せてくる。
ジャネットと一緒に聞き返すとニッコリと微笑んでくるだけ。エスメル様は無言で城壁を登っていく。そして……、
「我が領土を脅かす外道! 会いたかったぞ!」
声が聞こえてくる。僕は急いで城壁を上る。城壁上から背中に朝日を浴び、エスメル様とリッテンを見る。
遠いけど、声は聞こえてくる。
「……口ばかりが動いているぞ。ウスノロ」
結果は夢のまま。エスメル様の赤い炎の斬撃がリッテンとグレーターグールを灰に変えた。
僕の夢は未来予知になってしまったのか。それならいいな。その人を救うことが出来るから。まあ、リッテンは救わなくてもいいよね。
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