転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 異世界

第四話 盗賊の村とは?

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「よし、村が見えてきたぞ」

 野営をして目覚め、朝から昼まで馬で走りどおしでやっと村に着いた。町も見て思ったが文明レベルはかなり低い、町の家は石壁だし、村は木の家だしな。
    盗賊の村と聞いていたがこちらに気づいても攻撃してくる様子はない。俺たちは馬に乗ったまま、また馬車に乗ったまま村の中央に止まる。盗賊の村ではないんじゃないか?

「騎士様どうされたのですか?」

 一人の老人が隊長に声をかけた。老人は獣人、狼のような体躯で耳が少し俯き加減だ。
 初めての獣人だが、よく見るとこの村は獣人の村のようだ。全員毛むくじゃらである。俺の想像していた獣人じゃないが、この世界が異世界であると実感した。

「お前たちは盗賊だ。今から討伐させてもらう」

「えっ?」

 隊長の言葉に俺達は首を傾げた。盗賊の村に行くといっていたからこの村なのかと思ってはいたけど、明らかに村の人たちは平穏に暮らしていた普通の人達だ。しいて言えば獣人だという事だろうか?みんな獣の耳やしっぽを携えている。

「どうした、この村を蹂躙するのだ」

「・・・」

 偶々、横にいた俺は命令されるんだけど、普通に暮らしていた日本人な俺は頷けなかった。隊長は怪訝な顔をしている。自分が正義だと思っているのか?昨日の夜の笑顔を返せ。

「ちぃ、では隊長である、私が手ほどきをしてやろう!」

「ひっ」

 隊長は剣を抜いて老人に向けて振り上げた。振り下ろされようとした時、俺は咄嗟に馬から降りて隊長と老人の間に入り手甲でガードすると隊長は見下したような目で俺を見てきた。

「お前も盗賊どもの仲間だったか。皆の物、抜剣せよ。盗賊狩りだ」

『応っ』

 昨日までいいやつらだと思っていたのにまさかこんなことになろうとは。隊長の合図でみんな迷わず剣を抜いて列をなしていく。眼前で剣を構えて村人たちを見据えた。

「獣人達など、盗賊に決まっている。今は大人しくとも必ず反旗を翻すのだ。我々の訓練の糧になれるのだから誇りに思って死んで行け」

 隊長がそういって手で合図をすると騎士たちが散開して村人たちを追いかけ始めた。

「やめろ。こんな奴のいう事なんか全部嘘だ」

「ははは、嘘なものか。王都でも獣人は犯罪者が多い。この村は獣人の村なのだ。全員犯罪者なのだよ」

 極論もいい所だ。異世界はこういった差別が横行しているみたいだな。

「お前も王国の敵だ。死ね!」

「うお!?」

 腰に飾りのようについていた剣を無意識に抜いて俺は隊長の剣を防いだ。それにイラついた隊長は左右から剣を振ってきたがそのすべてを防ぐと隊長は半歩下がって距離をもった。

「お前、テントや料理だけではなく。剣も行けるのだな。優秀なお前を屠るのは少々残念だがこれでしまいだ![オラストロ騎士剣術 オラストロブレード]!」

「ええ!」

 隊長が剣を眼前で構えて掲げると剣が光りだした。剣が振り下ろされるとその光が地面を伝って襲ってきた。初めて見るものなのでまともに攻撃を受けてしまう。はっきり言って終わった。体に力が入らないし足がズタズタだ。

「ハァハァ・・・なかなか楽しかったぞ」

 隊長は息を切らせて俺へと近づいてきた。止めを刺すつもりなんだろう。

「死ね!」

「嫌だね!」

 俺は諦めが悪いんだよ。
 隊長の大振りに振り下ろされた剣をよけて隊長の手に触れた。すぐに俺は手首を触ったが隊長の返す刃で横倒しにされる。

「全く往生際が悪い」

「ぐっ」

 手首を触るまでは成功している。あとは服模写のNEWの文字を触れば・・・

「今度こそ死ね~」

 隊長の剣が俺の横っ腹に突き刺さる。普通なら致命傷の傷は俺の意識を遠ざけそうになったがその傷は一瞬で消えていく。

「なっ、なんだお前は!」

「何とか成功したな」

 少し考えていたんだ。確かに汚れていた俺は囚人服から騎士の服になる時に綺麗になった。それは回復したんじゃないのかってね。案の定、服を取り換えると傷も回復するようだ。流石チートといった感じか。

「さてさて、盗賊はどっちかな?」

 俺は意気揚々と立ち上がる。狼狽えて後ずさる隊長さん、何だか可哀そうだな。

「全員姿勢を正せ!」

『ハッ!』

 俺の号令で村人を襲っていた騎士たちが姿勢を正して直立姿勢になった。これはオラストロ騎士、隊長の服の効果だ。

[オラストロ騎士隊長の服] 動きやすい布と防御力に特化した手甲で構成されている。
 [服スキル]号令 対象の属する部隊員達へ命令ができる 大抵の者はそれに抗えずに従うのみ。

 服の効果によって、俺の命令が騎士たちに届き直立不動になっている。こういったスキルというのがこの世界の常識だとしたら俺はかなりのチートを手に入れてしまったのが伺える。

「隊長、ご命令を」

「うむ?」

 先ほどまで俺へと睨みを利かせていた隊長さんが俺を隊長と呼んできた。俺は呆気に取られて気の抜けた声を上げる。どういうことだ?

「ご命令を」

「ああ、盗賊はいなかった。すぐに帰還せよ」

「ハッ!」

 俺に敬礼をした元隊長は騎士たちを集めて馬車に乗り込んでいく。そして、全員が乗ると俺を置いて帰っていった。

「何だったんだ?」

 俺は呆然としながら騎士たちを見送った。図らずも俺は騎士たちから逃れることができた。今はそれでいいかな。

「騎士様、ありがとうございました」

「ああ、いえいえ。騎士として当たり前のことをしたまでです」

 騎士なんだから国民を守るのは当たり前だろ。そう思って俺は老人に話したんだけど、何だか違うみたいだ。なぜかというと老人の目が輝いて涙しているから。

「ううっ、私たちのような獣人に、そんなやさしい言葉をかけていただけるとは。あなた様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「えっ、名乗るほどの者じゃないですがクギミヤ タツミといいます。タツミって呼んでください」

『タツミ様、ありがとうございました!』

 いつの間にか集まっていた村の人たちが老人の後ろに横並びになって、お辞儀をしてお礼を言ってきた。中にはけがをしている人もいるので痛々しいんだけど。

「もっと早くに助けることができればよかったのですが、俺の力不足です。すいません」

「いえいえ、我々獣人はこの国では嫌われています。街中では蹴飛ばされたりすることもあったのですが。まさか討伐対象にされるとは思いませんでした・・・」

「そうなんですか」

 やっぱり、俺が転生で生まれたこの国では獣人が差別されているようだ。
 それにしても村を討伐対象にするとは・・・それにしても俺のスキルの性能が高すぎる。
 さっきまで敵意剥きだしで死ねとか言っていた隊長が手のひらを返すように俺に従っていた。今までの事がなかったことになっているようなそんな印象だ。
 この服を着ている最上位の人物の力というのは本当に言葉の意味通りになっているのだろうか?
 例えば隊長服を着ているとその隊長の一番偉い人、一番隊とかそういった位があるならそれの一番偉い人になっているのかもしれん。まだ憶測の段階だが。

「これからどうしたらいいのじゃろうか・・」

 俺が色々考えていると老人が心配を口に出した。確かに今は俺が追い払ったけど正気に戻ってまた来るかもしれない。この能力の事もわかっていないのでこの場に留まるのもよくないな。

「皆さんはこの村に未練はないんですか? できれば村を放棄した方がいいと思いますけど」

「やはりそうですか。ですが行くところがありません。50人しかいないといっても食べるものを運ぶ牛もいませんし」
 
 食べ物はあるけど運ぶ物がないってことか。こういった物理的な話は俺の力じゃどうしようもないな。

「騎士様は私たちにかまわずにお旅立ちください。あなたにも追手がつくかもしれませんし」

「えっでも」

「いいのです。私たちはこうなる運命。悔いはありません」

 う~ん。どうしたものかな。
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