転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 海へ

第二十二話 武器屋の依頼

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 フェレナさんに勧められた依頼を先に消化してしまおうと市場へと歩き出した。市場は昨日と同じように賑わっていて米を売っているおっちゃんも店を出していた。金も入ったことだしもう10キロくらい買っておくかな。

「おお、昨日のあんちゃんじゃねえか。又買っていくのか?」

 米屋のおっさんがそう言いながら米を入れていく、こっちの意図を汲んでくれているようだ。

「ああ、10キロ頼む」

「おう、じゃあ銀貨二枚だな。今日からは正式なお客様ってこった」

 おっさんにニカッと笑って米を詰め終わると皮袋いっぱいの米を渡してきた。俺は銀貨を二枚お店の机に置いて受け取る。

「お父さん、美味しくないよ、お米」

「はは、まだ料理してなかったな。今度美味しくしてやるから待っててくれよ」

 ルキアがズボンの横を引っ張って米は美味しくないと主張してきた。本当の美味しさを知った時の顔が目に浮かぶよ。
 米を肩に担いでルキアの頭を撫でる。

「今日はキャットマンだけか?トライホーンと三眼熊はどうしたんだ?」

「ああ、ちょっと野暮用でね。ここいらに武器屋があるって聞いたんだけど、そこの依頼を済ましに来たんだ」

「武器屋って言うとあの海の刃か?碌なものも売ってないって噂になっているが亭主はドワーフだからな、本当なら凄いもんがあるんだがな~。どうやら、亭主のドワーフが外にいってから帰ってきていないみたいなんだ。かれこれ一年になるとか」

「ドワーフ?」

 俺はおっさんの話を聞いてワッツを思い出した。だけど、ワッツはドワーフの国に帰ると言っていた。ここが帰る家ならここに帰ると言っていたはずだよな。気になるが依頼主に会いに行ってみよう。

「おっさんありがとな」

「おう、また来てくれよ」

 米屋のおっさんがジェスチャーで金を表して手を振ってきた。俺は頷いて答える。

 おっさんに教えてもらった店の前に着くと剣と盾に髭が絡みついているような看板が目についた。確かにワッツも髭が凄かったがあまりいい看板とは言えないな。

「ごめんください」

 店に入ると真っ暗で誰もいなかった。店の中の武器や防具は埃をかぶっていて、とても営業しているとは思えない。

「すみません冒険者ギルドで依頼を受けたものですが?」

 少し声を張って言ったのだが帰ってくるのは俺の声、まるで洞窟の中のように反響している。

「誰もいないね~」

「そうだな。また今度来てみるか」

 誰もいないのに奥に入っていくのも何なので俺とルキアは外に出ることにして踵を返した。

「いらっしゃい・・・ませ」

「うおっ」

 踵を返して外への扉を見るといつの間にか俺の背後に女性が立っていた。長い金髪が月の輝きのように光っていてまるでこの世界の人物ではないようなそんな印象を受けた。

「・・えっと、あなたはこの海の刃の店員ですか?」

「・・・は・い」

 物静かで今にも消え入りそうな声で答えてきた。弱い物腰が人相にも出ている彼女はとても弱々しい人なのだろう事が伺える。

「俺は冒険者ギルドの依頼を受けたタツミといいます」

「ルキアはルキアだよ~」

「・・・私は海の刃の店主、ワッツの妻のヴィナスです」

「ええっ!?」

 ヴィナスさんからワッツの名前がでて、俺は驚きの声を上げた。ワッツの奴こんな美人と結婚しているのか!
 米屋のおっさんの話じゃ一年も帰っていないんだよな、何やってんだよあいつ。

「あの人を知っているんですか?今どこにいるんです?」

「わっ・・えっと~」

 ヴィナスさんは俺へと肉薄してきた。胸も大きめの為もろに当たっている。
 俺は見ないようにするのだが、胸元をチラチラと見て頬が熱を持つのを感じてしまう。人妻に何を欲情しているんだ、といった感じだ。

「アリプソの街との間にある森の中で会ったんですけど・・・ドワーフの国に帰ると言って別れました」

「・・・そうなのですか・・国に」

 ヴィナスさんはワッツが国に帰ったことを聞くと明日、世界が滅びるんじゃないかと言った様子で俯いてしまった。

「あの、大丈夫ですか?」

「・・・はい、大丈夫です」

 心配して声をかけるが返事とは裏腹に今にも倒れてしまいそうなくらい元気がなくなった。元々元気のあるタイプではないけど、会った時よりも生気がない感じだ。
 ヴィナスさんは俯きながら椅子に腰かけた、両手で顔を覆って声を押し殺して泣き出してしまった。

「ううっ、あの人が帰ってきてくれると思って冒険者ギルドに鉱石を依頼していたのにあの人はドワーフの国へ帰ってしまった。私はこれからどうしたらいいの」

 ワッツの奴、鉱石を探すために旅しててこんな綺麗な人を待たせていたんだよな。だから、彼女は鉱石を手に入れたら帰ってくると思ったんだろうな、だけど、手に入れたのを知ってもらわないと無理だからな。何かをしていなくちゃいられなかったんだろうな。
 今度、ワッツにあったら殴ってやる。ヴィナスさんみたいな美人を待たせた罰だ。

「どこか痛いの?」

「・・うん、そうなのよ。ここが痛いの、でもポーションじゃ治せないの。だから泣いて治そうとしているのよ」

「泣いたら治るの?」

「治らないけど、涙がこの痛みを和らげてくれるの」

「じゃあ、泣くよりももっと良い方法があるよ」

「えっ?」

 顔を覆って泣いていたヴィナスさんにルキアがヴィナスさんの膝に顔を乗せて話しかけた。
 
「お父さんの料理食べること~」

「お父さん?」

 ルキアはニカッと笑って俺を見ていった。

「お父さん?」

「あ~ルキアは事情があって、キャットマンの群れから迫害されてたところを助けたんです。それで」

「お父さんの料理はすっごい美味しいんだよ!」

 ルキアが大きく手を広げて美味しさを表現した。とても可愛らしい表現にさっきまで泣いていたヴィナスさんは笑顔になっていく。

「とても美味しいんでしょうね」

「一緒に食べよ」

「いいの?」

「うん~、いいでしょ?お父さん」

 ヴィナスさんとルキアが潤んだ瞳で見つめてきた。ヴィナスさんはさっきまで泣いてたからなんだろうけど、そんな瞳で見つめられたら胸がドキドキしてしまう。人妻に惚れてしまうのもどうかと思うがヴィナスさんが美人過ぎるのがいけない。まあ、告白するわけでもないんだからいいだろう。勝手に好きになって何も言わずに去る、それが俺の冒険者道だ!
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