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第二章 海へ
第三十五話 ノイシュタット
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「はは、どうですか?」
「どうって・・・」
首を傾げている俺にアルフレドは綺麗な金の装飾がされている青い服をくるっと回って見せてきた。これがノイシュタット王家の服なのだろう。美形のアルフレドと相まってすげえカッコいい。
「冗談はこのくらいでいいですね・・」
「冗談なのか」
俺の戸惑いを見てアルフレドが耐えきれずに頬を掻いて口を開いた。沈黙に耐えられなかったようだな。
「知っての通り僕はノイシュタット王家の生まれです」
「おいおい、知っていたわけじゃ・・」
「誤魔化さなくていいんですよ。知っていたんでしょ?」
「・・・それよりもなんでそれをいう気になったんだよ」
ノイシュタット王家の服が手に入ったからとは言えないので誤魔化しつつアルフレドの真意を聞こう。
「最初、タツミさんからノイシュタットって聞いて疑ったんですよ。僕をノイシュタットに連れ戻しに来たんだって」
連れ戻しか、という事は王族の上位の人確定だな。まあ、王家の服が手に入った時点で王族なのはわかっていたけどな。
「それで俺は連れ戻しに来たんじゃないってわかったって事か?」
「それもそうなんですけど・・・、従魔に優しいし、孤児院も建て直そうとしているし、それに市場の人達にも優しくていい人って言うのが大きかったです」
「おいおい」
アルフレドが自分が王族だと言ってきた理由がいい人だったという事に俺は呆れて頭を抱えた。これが全部演技だったらどうするんだよ。口ぶりでは命は狙われていないようだけど、もしも狙われるようになっていたらどうするんだ。狙ってきている方の情報もなく、こういった安易な行動は辞めた方がいいな。
「アルフレド、こういったことはちゃんと相手を見てだな・・」
「ちゃんと見ました。タツミさんは優しくてカッコよくて兄にしたいと思うほどの人でした」
「・・・」
だからさ、私情挟み過ぎて訳が分からないな。
「それに料理が美味しいですし」
「はいはい、分かったよ。それで、打ち明けてどうするんだ?」
打ち明ける意味が分からないよな。
「どうせバレているなら打ち明けようと思ったんです。それにタツミさんともっと仲良くなりたいって思ってて・・、ノイシュタットに行きそうだったし。予め伝えておいた方が色々と分かってくれるかなって」
まあ、旅をしているからいつかはいくかもしれないな。元の世界に戻れるとも思えないし、戻れたとしてもこの顔じゃ母さんたちにも分らないだろうしな。ってか今から再就職とかめんどい、履歴書なしで入れてくれる所探さないとダメだしな。
しかし、アルフレドは友達いないのか?俺と仲良くしたいって・・・まさか、あっちの世界の住人なのか?俺はそんな性癖はないぞ。
「それだけです。今日はありがとうございました。ご飯美味しかったです」
アルフレドはそう言って孤児院を後にした。アルフレドは門の横の木陰で着替えて宿屋の方へと歩いて行った。手荷物は何も持っていないのを見るとアイテムバッグのようなアイテムを持っているのだろう事が伺えた。王族だった人なら持っていてもおかしくないのかもしれない。
「ふぅ、なんか変なフラグ回収しちゃったかもな」
めでたい事に王族の関係者と知り合いになってしまったわけだ。いざこざに巻き込まれなければいいんだけどな。
そう思いながら俺は出来立ての教会の中へと入っていく。
「お父さん、お話終わった?」
ルキアが眠そうに目を擦りながらズボンを引っ張ってきた。
「ベッドを出すからここで寝よう」
野営でも使えると思って自分達用に作っておいた。
教会の二階には子供達の分とルナさんの分のベッドしかない。俺達のベッドも作ろうと思ったんだけど礼拝堂を作ってしまったせいで作れなかった、そのうち増設するかもな。
「ここならサンとトラとも寝れるな」
「キャルル」「ガウガ~ウ」
嬉しそうに鳴いてベッドに頭を乗せるサンとトラ。ルキアと一緒に頭を撫でてあげると目を閉じて寝息をたてていった。
「俺達も寝るか」
「うん!」
キングサイズのベッドを礼拝堂にだして眠りについた。礼拝堂の椅子を退けているので余裕で置ける。
「神様仏様、どうかタツミの来世に幸運を」
俺は夢の中で元の世界を見ていた。母さんが神社で神に祈りを捧げていた。
母さんは俺の事を思って祈りを捧げているようだった。
「あの子にはもっといい服を着せるんだったよ。スーツだって作れば、あの子を守ってくれたかもね」
母さんの目からは涙が零れていた。そんなに悲しまないでほしいが俺の声は届かなかった。
「あいつは来世で幸せになっているさ。良い事しかしていないんだからな」
母さんを後ろから抱き寄せる親父。親父はいつも通りなようだ、安心したよ。
「お前が悲しい顔してたらあいつだって成仏できねえぞ。来世に行く所の話じゃなくなる」
「・・そうね。悲しんでても仕方ないわよね」
親父の胸に顔をうずめる母さん。俺はなんて親不孝な息子だろう。
「これだけでもあの子に届かないかしらね」
「もったいねえけど、燃やすのか?」
「この子も本望よね」
母さんはそう言って神社のお守りを燃やしている人に許可を得て、服を燃やしていった。きめ細かなスーツに見えるけど、燃えていくうちに色とりどりの服に変化していく。母さんは目を瞑って祈りを捧げているので気づいていないみたいだ。
「煙になってあの子に届きますように」
母さんのその声で夢の世界は真っ暗になっていった。
俺の力は母さんの祈りの力だったという事なのか?夢を信じるわけではないけど、何故かストンと俺の胸にこの夢が入り込んで納得してしまった。着替えるたんびに怪我や汚れが消える。それは母さんの服だから、母さんの服はいつも綺麗だった。洗濯したのにヨレヨレになっていなくて、いつも俺を包んでくれた。母さんの服も燃やされた事で転生したのかもしれない。母さんの服はいつも凄いと思っていたけどまさか、こんなことまでできるとは驚きだよ。
俺は母さんのおかげでここまで生きてこれた。これからも俺をよろしく頼むぞ、母さんの服様。
「どうって・・・」
首を傾げている俺にアルフレドは綺麗な金の装飾がされている青い服をくるっと回って見せてきた。これがノイシュタット王家の服なのだろう。美形のアルフレドと相まってすげえカッコいい。
「冗談はこのくらいでいいですね・・」
「冗談なのか」
俺の戸惑いを見てアルフレドが耐えきれずに頬を掻いて口を開いた。沈黙に耐えられなかったようだな。
「知っての通り僕はノイシュタット王家の生まれです」
「おいおい、知っていたわけじゃ・・」
「誤魔化さなくていいんですよ。知っていたんでしょ?」
「・・・それよりもなんでそれをいう気になったんだよ」
ノイシュタット王家の服が手に入ったからとは言えないので誤魔化しつつアルフレドの真意を聞こう。
「最初、タツミさんからノイシュタットって聞いて疑ったんですよ。僕をノイシュタットに連れ戻しに来たんだって」
連れ戻しか、という事は王族の上位の人確定だな。まあ、王家の服が手に入った時点で王族なのはわかっていたけどな。
「それで俺は連れ戻しに来たんじゃないってわかったって事か?」
「それもそうなんですけど・・・、従魔に優しいし、孤児院も建て直そうとしているし、それに市場の人達にも優しくていい人って言うのが大きかったです」
「おいおい」
アルフレドが自分が王族だと言ってきた理由がいい人だったという事に俺は呆れて頭を抱えた。これが全部演技だったらどうするんだよ。口ぶりでは命は狙われていないようだけど、もしも狙われるようになっていたらどうするんだ。狙ってきている方の情報もなく、こういった安易な行動は辞めた方がいいな。
「アルフレド、こういったことはちゃんと相手を見てだな・・」
「ちゃんと見ました。タツミさんは優しくてカッコよくて兄にしたいと思うほどの人でした」
「・・・」
だからさ、私情挟み過ぎて訳が分からないな。
「それに料理が美味しいですし」
「はいはい、分かったよ。それで、打ち明けてどうするんだ?」
打ち明ける意味が分からないよな。
「どうせバレているなら打ち明けようと思ったんです。それにタツミさんともっと仲良くなりたいって思ってて・・、ノイシュタットに行きそうだったし。予め伝えておいた方が色々と分かってくれるかなって」
まあ、旅をしているからいつかはいくかもしれないな。元の世界に戻れるとも思えないし、戻れたとしてもこの顔じゃ母さんたちにも分らないだろうしな。ってか今から再就職とかめんどい、履歴書なしで入れてくれる所探さないとダメだしな。
しかし、アルフレドは友達いないのか?俺と仲良くしたいって・・・まさか、あっちの世界の住人なのか?俺はそんな性癖はないぞ。
「それだけです。今日はありがとうございました。ご飯美味しかったです」
アルフレドはそう言って孤児院を後にした。アルフレドは門の横の木陰で着替えて宿屋の方へと歩いて行った。手荷物は何も持っていないのを見るとアイテムバッグのようなアイテムを持っているのだろう事が伺えた。王族だった人なら持っていてもおかしくないのかもしれない。
「ふぅ、なんか変なフラグ回収しちゃったかもな」
めでたい事に王族の関係者と知り合いになってしまったわけだ。いざこざに巻き込まれなければいいんだけどな。
そう思いながら俺は出来立ての教会の中へと入っていく。
「お父さん、お話終わった?」
ルキアが眠そうに目を擦りながらズボンを引っ張ってきた。
「ベッドを出すからここで寝よう」
野営でも使えると思って自分達用に作っておいた。
教会の二階には子供達の分とルナさんの分のベッドしかない。俺達のベッドも作ろうと思ったんだけど礼拝堂を作ってしまったせいで作れなかった、そのうち増設するかもな。
「ここならサンとトラとも寝れるな」
「キャルル」「ガウガ~ウ」
嬉しそうに鳴いてベッドに頭を乗せるサンとトラ。ルキアと一緒に頭を撫でてあげると目を閉じて寝息をたてていった。
「俺達も寝るか」
「うん!」
キングサイズのベッドを礼拝堂にだして眠りについた。礼拝堂の椅子を退けているので余裕で置ける。
「神様仏様、どうかタツミの来世に幸運を」
俺は夢の中で元の世界を見ていた。母さんが神社で神に祈りを捧げていた。
母さんは俺の事を思って祈りを捧げているようだった。
「あの子にはもっといい服を着せるんだったよ。スーツだって作れば、あの子を守ってくれたかもね」
母さんの目からは涙が零れていた。そんなに悲しまないでほしいが俺の声は届かなかった。
「あいつは来世で幸せになっているさ。良い事しかしていないんだからな」
母さんを後ろから抱き寄せる親父。親父はいつも通りなようだ、安心したよ。
「お前が悲しい顔してたらあいつだって成仏できねえぞ。来世に行く所の話じゃなくなる」
「・・そうね。悲しんでても仕方ないわよね」
親父の胸に顔をうずめる母さん。俺はなんて親不孝な息子だろう。
「これだけでもあの子に届かないかしらね」
「もったいねえけど、燃やすのか?」
「この子も本望よね」
母さんはそう言って神社のお守りを燃やしている人に許可を得て、服を燃やしていった。きめ細かなスーツに見えるけど、燃えていくうちに色とりどりの服に変化していく。母さんは目を瞑って祈りを捧げているので気づいていないみたいだ。
「煙になってあの子に届きますように」
母さんのその声で夢の世界は真っ暗になっていった。
俺の力は母さんの祈りの力だったという事なのか?夢を信じるわけではないけど、何故かストンと俺の胸にこの夢が入り込んで納得してしまった。着替えるたんびに怪我や汚れが消える。それは母さんの服だから、母さんの服はいつも綺麗だった。洗濯したのにヨレヨレになっていなくて、いつも俺を包んでくれた。母さんの服も燃やされた事で転生したのかもしれない。母さんの服はいつも凄いと思っていたけどまさか、こんなことまでできるとは驚きだよ。
俺は母さんのおかげでここまで生きてこれた。これからも俺をよろしく頼むぞ、母さんの服様。
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