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第3章 ルインズ
第13話 ヘルナ
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タツミ一行がジュダインの村についていたころ、ルインズの城では、例の女兵士が動き出していた。
「ヘルナ。アルフレイティアはどこにいったんじゃ?」
騒動があったのも知らない王はアルフレドがいないことに首を傾げて聞いていた。
兵士は跪いて顔だけあげると、
「旅行です王様。偶には外に出してあげないと姫様がまたどこかに行ってしまいます」
「そうか、たまには息抜きをさせんといかんか。オラストロの馬鹿王子は女好きだしの。結婚したら苦労するだろうから今のうちに遊ばせておくかの」
「はい」
女兵士ヘルナは、王の返答に笑みを浮かべて頷いた。
王への報告も済んで玉座の間を後にしたヘルナはすぐに兵を集めだす。
「姫は攫われた。すぐに逃げた方角の村へと向かえ」
ヘルナはタツミ達がどこへ行ったのかは知らないが方角は分かっている。人海戦術でタツミ達を追い込もうとしていた。
しかし、兵士達からは疑問の声があがっている。
「なんで傭兵に従わないといけないんだ?」
「あいつ、冒険者だよな?」
雇われの兵士ヘルナ、彼女は冒険者として名をはせている。
ルインズには姫を連れ戻すために雇われた。それだけの存在だというのになぜか王は信頼を寄せている。
兵士達は首を傾げながらも王から従うようにと言われているため仕方なく命令通り動くのだった。
「行け!」
兵士達の出立を見送り、ヘルナもまた馬に乗り、後に続いた。
馬上で彼女は、笑みを浮かべ、
「王の侵食もあと少し、リステアへの浸食は見事に崩されたが上々だわ。これで後は婚礼の儀で姫とオラストロの王子に虫をいれれば。くふっくっくっく」
吹いてしまいそうになる口を抑えながら笑うヘルナ。彼女はオラストロの王子がタツミに成り代わっていることを知らないようだ。
本物の王子は本国へと送還されている。王子を語った罪で。
◇
「リステア様! おかえりなさい。もう王都にいなくて大丈夫なのですか?」
村に着くとジュダインさんが迎えてくれた。リステアさんに気づいて跪いて迎えている。
「リステア様! それにタツミさん!?」
マイサさんも俺達に気づいて驚いている。
「王都を追われてこちらにやってきました。皆さんもすぐに旅立ちの準備を」
「「ええ!?」」
馬車での移動中、リステアさんは獣人達も一緒に大陸を移動することを提案していた。
驚いたけど、確かに、逃げてくる時点で何をされるかわからない。それにオラストロと国交を持つということは迫害をよしとするということだ。
早めに獣人達を避難させたほうが賢明だよな。
「わ、わかりました。準備いたします」
「本当にごめんなさい。あの人がおかしくなってしまったばっかりに」
「いえ! それよりもエスラル様に会ってやってください。寂しがっています」
ジュダインさんとマイサさんはせかせかと旅立ちの準備をし始めた。
村には馬車が何台かあるのでその心配はなさそうだ。あの時とはだいぶ違うな。
「カール。皆さんの手伝いを」
「じゃあ俺達も」
「うん」
「は~い」
リステアさんは息子さんのもとへと駆けていった。寄生虫にやられて病んでいた体も馬車の旅の間に回復した。回復魔法を毎日やれば元気になるものだな。
アルとルキアが元気に答えてアスベル達も手伝いに入った。毛を編む機械などはまた作ることにして、最低限の荷物をまとめる。
荷積みをしているとリステアさんが少年を連れて戻ってきた。
「エスラルです。お父様とお母さまがご迷惑をおかけしました」
ぴょこんと近づいてきた少年は小さくお辞儀をして自己紹介をして謝ってきた。目が晴れているのを見るとリステアさんに会えて泣いてしまったのが伺える。
しっかりとした話し方だが、まだまだ子供といった感じだな。
「いいんだよ。君は気にしないでいい。俺はタツミ、こっちはルキアにトラとサン。それにアスベルとシルバさん。お姉ちゃんは知っているだろ?」
自己紹介していく。名前を呼ばれた面々は声をあげたり手をあげたりして対応してくれた。
アルを見て紹介するが首を傾げている。
「私は塔で育ったから知らないよ。私はいらない子だったから」
「そんなことないわアルフレイティア。悔やんでも悔やみきれないわ。本当にごめんなさいね」
アルの言葉に過剰に反応したリステアさんはアルを抱きしめて涙した。
「お母様がいなくなる時に会っていたお姉さまですね。お初にお目にかかります。エスラルです。やっとお姉さまに会えてうれしいです」
ニコッと微笑んだエスラル君。その笑顔にアルは微笑んでリステアさんと共に抱き着いた。今までの事は水に流してこれからを作っていこうってことだな。無言でも何となくわかる。
「出発の準備が出来ました!」
「すぐに出発いたします。トラさん、サンちゃん。先導してください」
「キャン!」「ガオ~ン」
サンも進化を遂げた。炎を纏う熊、サンガンフレアベアーに進化した。雪道も何のその、炎と雷を纏う二頭が先頭を走れば雪はすべてなくなっていく。馬車も悠々と進むということだ。追手は普通の馬車なので追いつくはずもない。何事もなく、港に着くだろうな。
「ヘルナ。アルフレイティアはどこにいったんじゃ?」
騒動があったのも知らない王はアルフレドがいないことに首を傾げて聞いていた。
兵士は跪いて顔だけあげると、
「旅行です王様。偶には外に出してあげないと姫様がまたどこかに行ってしまいます」
「そうか、たまには息抜きをさせんといかんか。オラストロの馬鹿王子は女好きだしの。結婚したら苦労するだろうから今のうちに遊ばせておくかの」
「はい」
女兵士ヘルナは、王の返答に笑みを浮かべて頷いた。
王への報告も済んで玉座の間を後にしたヘルナはすぐに兵を集めだす。
「姫は攫われた。すぐに逃げた方角の村へと向かえ」
ヘルナはタツミ達がどこへ行ったのかは知らないが方角は分かっている。人海戦術でタツミ達を追い込もうとしていた。
しかし、兵士達からは疑問の声があがっている。
「なんで傭兵に従わないといけないんだ?」
「あいつ、冒険者だよな?」
雇われの兵士ヘルナ、彼女は冒険者として名をはせている。
ルインズには姫を連れ戻すために雇われた。それだけの存在だというのになぜか王は信頼を寄せている。
兵士達は首を傾げながらも王から従うようにと言われているため仕方なく命令通り動くのだった。
「行け!」
兵士達の出立を見送り、ヘルナもまた馬に乗り、後に続いた。
馬上で彼女は、笑みを浮かべ、
「王の侵食もあと少し、リステアへの浸食は見事に崩されたが上々だわ。これで後は婚礼の儀で姫とオラストロの王子に虫をいれれば。くふっくっくっく」
吹いてしまいそうになる口を抑えながら笑うヘルナ。彼女はオラストロの王子がタツミに成り代わっていることを知らないようだ。
本物の王子は本国へと送還されている。王子を語った罪で。
◇
「リステア様! おかえりなさい。もう王都にいなくて大丈夫なのですか?」
村に着くとジュダインさんが迎えてくれた。リステアさんに気づいて跪いて迎えている。
「リステア様! それにタツミさん!?」
マイサさんも俺達に気づいて驚いている。
「王都を追われてこちらにやってきました。皆さんもすぐに旅立ちの準備を」
「「ええ!?」」
馬車での移動中、リステアさんは獣人達も一緒に大陸を移動することを提案していた。
驚いたけど、確かに、逃げてくる時点で何をされるかわからない。それにオラストロと国交を持つということは迫害をよしとするということだ。
早めに獣人達を避難させたほうが賢明だよな。
「わ、わかりました。準備いたします」
「本当にごめんなさい。あの人がおかしくなってしまったばっかりに」
「いえ! それよりもエスラル様に会ってやってください。寂しがっています」
ジュダインさんとマイサさんはせかせかと旅立ちの準備をし始めた。
村には馬車が何台かあるのでその心配はなさそうだ。あの時とはだいぶ違うな。
「カール。皆さんの手伝いを」
「じゃあ俺達も」
「うん」
「は~い」
リステアさんは息子さんのもとへと駆けていった。寄生虫にやられて病んでいた体も馬車の旅の間に回復した。回復魔法を毎日やれば元気になるものだな。
アルとルキアが元気に答えてアスベル達も手伝いに入った。毛を編む機械などはまた作ることにして、最低限の荷物をまとめる。
荷積みをしているとリステアさんが少年を連れて戻ってきた。
「エスラルです。お父様とお母さまがご迷惑をおかけしました」
ぴょこんと近づいてきた少年は小さくお辞儀をして自己紹介をして謝ってきた。目が晴れているのを見るとリステアさんに会えて泣いてしまったのが伺える。
しっかりとした話し方だが、まだまだ子供といった感じだな。
「いいんだよ。君は気にしないでいい。俺はタツミ、こっちはルキアにトラとサン。それにアスベルとシルバさん。お姉ちゃんは知っているだろ?」
自己紹介していく。名前を呼ばれた面々は声をあげたり手をあげたりして対応してくれた。
アルを見て紹介するが首を傾げている。
「私は塔で育ったから知らないよ。私はいらない子だったから」
「そんなことないわアルフレイティア。悔やんでも悔やみきれないわ。本当にごめんなさいね」
アルの言葉に過剰に反応したリステアさんはアルを抱きしめて涙した。
「お母様がいなくなる時に会っていたお姉さまですね。お初にお目にかかります。エスラルです。やっとお姉さまに会えてうれしいです」
ニコッと微笑んだエスラル君。その笑顔にアルは微笑んでリステアさんと共に抱き着いた。今までの事は水に流してこれからを作っていこうってことだな。無言でも何となくわかる。
「出発の準備が出来ました!」
「すぐに出発いたします。トラさん、サンちゃん。先導してください」
「キャン!」「ガオ~ン」
サンも進化を遂げた。炎を纏う熊、サンガンフレアベアーに進化した。雪道も何のその、炎と雷を纏う二頭が先頭を走れば雪はすべてなくなっていく。馬車も悠々と進むということだ。追手は普通の馬車なので追いつくはずもない。何事もなく、港に着くだろうな。
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