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第3章 ルインズ
第12話 着ぐるみの力
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「姫を解放してもらおうか。逆賊リステア」
リステアさんが助かったことであちらさんはリステアさんを逆賊に仕立てあげたようだ。兵士達は何も知らずに俺達を槍で威嚇してくる。
「やめないかお前たち! 僕は何もされていない。落ち着け」
「姫は操られている。惑わされるな。リステアを殺すんだ」
アルがみんなを止めようと叫ぶが兵士達の後方で声をあげている女の声にかき消される。
女の声はエコーのような声。兵士達を惑わせているように思える。
「オラストロの王子も共犯だ。殺してしまえ」
女は俺も標的にしてきた。国の王子を殺したら戦争になるぞ。何を考えているんだ。
「キャン!」
「ガルルル!」
「サン! トラ!」
兵士達が動き出すよりも早くサンとトラが駆けつけてきてくれた。塔のある庭から直線に壁を突き破ってきたみたいだ。流石サンとトラ。頼りになるな。
「ルキア! 俺達が出たら壁を作るんだ」
「は~い」
サンとトラが入ってきた穴からみんな脱出する。ルキアに穴を塞いでもらって何とか安全になった。
それでも一時しのぎ早くこの場から離れないと。
「ジュダインさんのところへ行きましょう。エスラルのことも心配です」
リステアさんの提案にみんな頷く。といってもまずはこの後だ。
馬車に乗り込むにしてもこの人数じゃ。
「王子! 我々もお供します!」
サンとトラを見ておいてくれと言っておいたオラストロの青年兵士が馬車と共に現れた。俺達の馬車はないみたいだな。流石にそこまでは望めないか。クレンさんには謝らないと行けなさそうだな。
「逆賊が逃げるぞ! 追え~」
まるで隊長のように兵士達に指示している女兵士。颯爽と走り去る俺達を逃がさないといった様子で馬に跨り始める。
「キャン!」
バリバリバリ! 馬に跨りこちらを向いた兵士達にトラが雷撃を放った。馬はしびれてその場に倒れ、兵士達は投げ出され手傷を負った。
「流石トラ!」
「キャン!」
馬車と並走するトラ。トラを褒めて撫でてやると嬉しそうに吠えた。
トラは並走できるがサンは流石に無理そうなので馬車に乗ってる。
しかし、熱いな。
「サンちゃん熱い……」
「ガウ」
サンも進化するようで放熱しているんだよな。
意識のあるサンは申し訳なさそうに頭を掻いている。元々暑さになれているサンは進化放熱でも意識を失わないみたいだな。
「あの兵士おかしかったな」
「うん。あいつは傭兵として雇った兵士だよ。僕を引き戻すために雇ったんだってさ。奴隷商の船を切ったのもあいつだよ。どうやったのかはわからなかったけど」
シルバさんとアスベルの乗っていた船を切った女兵士か。あいつは要注意人物だな。
というかあいつが黒幕なんじゃないか? 王を操り、寄生虫入りのクッキーをリステアさんに食べさせた。
寄生虫がどういった意図かわからないけどな。
馬車はジュダインさんの村へと走っていく。オラストロの兵士達は道には詳しくないのでリステアさんの指示に従っているよ。オラストロと言っても末端の兵士達はそれほど素行が悪いわけではないみたいだ。
俺達のピンチに颯爽と現れた青年兵士はトムというらしい。トムはルキアやアスベル達に興味津々で目を輝かせてみてる。
詳しく聞いてみると獣人にも興味があるらしく、仲良くしたいと思っていたとか、これから向かう村が獣人の村だというと大変喜んでいるよ。まあ、オラストロと言っても一枚岩ではないということだろうな。みんな仲良くしたいんだよ。
馬車を走らせて三日、追手も見られないのでのんびりと野営中。雪の積もる野営というのは大変だが、ノームと着ぐるみを来たルキアのおかげでぬくぬくだ。
「マスター、雪を使うなら僕じゃなくても大丈夫でしょ。色々と忙しいんだよ。僕は」
ノームにかまくらを作らせると愚痴ってきた。ルキアだけに作らせても十分だったがさすがに一人でやらせるのも気が引けたからな。
「マスターさ~。その着ぐるみって一つしか出せないのかい? そっちのウルフマンに着せたりできるんじゃないの?」
「ん? そういえば」
今までルキアしかいなかったから考えたこともなかったな。シルバさんはともかく、アスベルくらいなら着れるかもしれないな。
ということでまずは着ぐるみを出せるかだ。今はルキアが着ているので出せないと思っていたのだが。
「出せるな」
試したこともなかったので軽く驚く。
「アスベル、着てみてくれ」
「はい」
アスベルに手渡す。
着ぐるみは手渡すと大きさが変わっていく。最初はルキアのサイズだったのだが、アスベルの大きさに変わって行っているように見える。
俺が持っても変わらないのを見ると人間には着れないのかもしれないな。
「着れました。なんだか凄い力が沸いてきます」
アスベルが自分の手を見ながら話す。ルキアはそういうことを言わなかったからわからなかったが着ぐるみは凄いらしい。
「な~マスター。もういいだろ~。大きな魔法を使わせてくれないなら返しておくれよ~。アテナに会いに行くんだからさ~」
「この間もアテナって言ってたな。わかったよ。また今度頼むな」
「今日以外なら大丈夫! ありがとマスター」
少年のようなノームはにこやかに帰っていった。
「タツミさんは本当にすごい方なのですね。アルフレイティアが羨ましい」
「ちょ、ちょっとお母様」
リステアさんが頬を抑えて俺を見つめてきた。
その様子にアルがつっこみを入れている。
オラストロの兵士達も『俺達の隊長は精霊を使役している!』って驚いたと思ったら歓声をあげて喜んでいたよ。
それから何度かの休みをはさんで村へとたどり着いた。
何もない平和な村で獣人達が驚いて迎えてくれた。
リステアさんが助かったことであちらさんはリステアさんを逆賊に仕立てあげたようだ。兵士達は何も知らずに俺達を槍で威嚇してくる。
「やめないかお前たち! 僕は何もされていない。落ち着け」
「姫は操られている。惑わされるな。リステアを殺すんだ」
アルがみんなを止めようと叫ぶが兵士達の後方で声をあげている女の声にかき消される。
女の声はエコーのような声。兵士達を惑わせているように思える。
「オラストロの王子も共犯だ。殺してしまえ」
女は俺も標的にしてきた。国の王子を殺したら戦争になるぞ。何を考えているんだ。
「キャン!」
「ガルルル!」
「サン! トラ!」
兵士達が動き出すよりも早くサンとトラが駆けつけてきてくれた。塔のある庭から直線に壁を突き破ってきたみたいだ。流石サンとトラ。頼りになるな。
「ルキア! 俺達が出たら壁を作るんだ」
「は~い」
サンとトラが入ってきた穴からみんな脱出する。ルキアに穴を塞いでもらって何とか安全になった。
それでも一時しのぎ早くこの場から離れないと。
「ジュダインさんのところへ行きましょう。エスラルのことも心配です」
リステアさんの提案にみんな頷く。といってもまずはこの後だ。
馬車に乗り込むにしてもこの人数じゃ。
「王子! 我々もお供します!」
サンとトラを見ておいてくれと言っておいたオラストロの青年兵士が馬車と共に現れた。俺達の馬車はないみたいだな。流石にそこまでは望めないか。クレンさんには謝らないと行けなさそうだな。
「逆賊が逃げるぞ! 追え~」
まるで隊長のように兵士達に指示している女兵士。颯爽と走り去る俺達を逃がさないといった様子で馬に跨り始める。
「キャン!」
バリバリバリ! 馬に跨りこちらを向いた兵士達にトラが雷撃を放った。馬はしびれてその場に倒れ、兵士達は投げ出され手傷を負った。
「流石トラ!」
「キャン!」
馬車と並走するトラ。トラを褒めて撫でてやると嬉しそうに吠えた。
トラは並走できるがサンは流石に無理そうなので馬車に乗ってる。
しかし、熱いな。
「サンちゃん熱い……」
「ガウ」
サンも進化するようで放熱しているんだよな。
意識のあるサンは申し訳なさそうに頭を掻いている。元々暑さになれているサンは進化放熱でも意識を失わないみたいだな。
「あの兵士おかしかったな」
「うん。あいつは傭兵として雇った兵士だよ。僕を引き戻すために雇ったんだってさ。奴隷商の船を切ったのもあいつだよ。どうやったのかはわからなかったけど」
シルバさんとアスベルの乗っていた船を切った女兵士か。あいつは要注意人物だな。
というかあいつが黒幕なんじゃないか? 王を操り、寄生虫入りのクッキーをリステアさんに食べさせた。
寄生虫がどういった意図かわからないけどな。
馬車はジュダインさんの村へと走っていく。オラストロの兵士達は道には詳しくないのでリステアさんの指示に従っているよ。オラストロと言っても末端の兵士達はそれほど素行が悪いわけではないみたいだ。
俺達のピンチに颯爽と現れた青年兵士はトムというらしい。トムはルキアやアスベル達に興味津々で目を輝かせてみてる。
詳しく聞いてみると獣人にも興味があるらしく、仲良くしたいと思っていたとか、これから向かう村が獣人の村だというと大変喜んでいるよ。まあ、オラストロと言っても一枚岩ではないということだろうな。みんな仲良くしたいんだよ。
馬車を走らせて三日、追手も見られないのでのんびりと野営中。雪の積もる野営というのは大変だが、ノームと着ぐるみを来たルキアのおかげでぬくぬくだ。
「マスター、雪を使うなら僕じゃなくても大丈夫でしょ。色々と忙しいんだよ。僕は」
ノームにかまくらを作らせると愚痴ってきた。ルキアだけに作らせても十分だったがさすがに一人でやらせるのも気が引けたからな。
「マスターさ~。その着ぐるみって一つしか出せないのかい? そっちのウルフマンに着せたりできるんじゃないの?」
「ん? そういえば」
今までルキアしかいなかったから考えたこともなかったな。シルバさんはともかく、アスベルくらいなら着れるかもしれないな。
ということでまずは着ぐるみを出せるかだ。今はルキアが着ているので出せないと思っていたのだが。
「出せるな」
試したこともなかったので軽く驚く。
「アスベル、着てみてくれ」
「はい」
アスベルに手渡す。
着ぐるみは手渡すと大きさが変わっていく。最初はルキアのサイズだったのだが、アスベルの大きさに変わって行っているように見える。
俺が持っても変わらないのを見ると人間には着れないのかもしれないな。
「着れました。なんだか凄い力が沸いてきます」
アスベルが自分の手を見ながら話す。ルキアはそういうことを言わなかったからわからなかったが着ぐるみは凄いらしい。
「な~マスター。もういいだろ~。大きな魔法を使わせてくれないなら返しておくれよ~。アテナに会いに行くんだからさ~」
「この間もアテナって言ってたな。わかったよ。また今度頼むな」
「今日以外なら大丈夫! ありがとマスター」
少年のようなノームはにこやかに帰っていった。
「タツミさんは本当にすごい方なのですね。アルフレイティアが羨ましい」
「ちょ、ちょっとお母様」
リステアさんが頬を抑えて俺を見つめてきた。
その様子にアルがつっこみを入れている。
オラストロの兵士達も『俺達の隊長は精霊を使役している!』って驚いたと思ったら歓声をあげて喜んでいたよ。
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