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第3章 ルインズ
第17話 帰ろう
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「返せ!」
「やだよ~。べ~」
ヘルナがさっきとは打って変わって、その場で圧のある声をあげた。ルキアはサンとトラの影に隠れてる。サンとトラも威嚇してるな。
奥の手がなくなったから日和ったかな。
「打つ手なしだろ。もうどっかへ行け」
「ぐっ……。いいのかな~。ルインズの王は私のしもべになりつつあるのよ。このままにしていいのかな~」
「あの人が?」
ヘルナの声に船にいたリステアさんが声をあげた。おかしくなったのがヘルナのせいだってわかってから気にしていたみたいなんだよな。
「お母様! どうでもいいじゃない、あんな人!」
「でも」
「お姉さま、私情で判断してはいけません。これは世界のバランスに関わることです。国が一つあの人のものになると考えると見過ごせません」
アルがリステアさんを否定しているとエスラル君が声をあげた。彼は本当に賢い、冷静に世界を考えてるな。
「じゃあよ! こいつを捕まえておいて王を回復させればいいんじゃねえか?」
「な、なによ。あんたたち」
いろいろと待たせていたダイロさん達がぞろぞろと船から出てきてヘルナを囲んでいく。ヘルナはかなり怯えてるな。
ヘルナも抵抗してきたが屈強な海の男達には勝てず、縄で縛られていった。
「この~。私にこんなことしてタダで済むと思っているの!」
「ああ、思ってるね」
「ぐぬぬ」
ヘルナがダイロさん達へと脅しをかけている。ダイロさん達は何も感じていないようだ。脅しなんて海の男には効かないよな。
「ヘルナ様!」
「やっと来たわね!」
縛り終わって少しすると馬の兵士達が現れて剣を引き抜いて近づいてきた。
「皆やめろ! これ以上この方々に迷惑をかけるな!」
エスラル君が兵士達の前にでて声を荒らげる。
驚いてみているとアルも前に出てきて兵士の前に立ちふさがる。
「エスラルは生きてる! みんなもう戻ろう」
「早く私を助けなさい。王からオラストロの王子と姫を連れ戻すようにいわれているんだからね」
アルの言葉にかぶせるようにヘルナが声をあげた。兵士達は近づいてくる。仕方ない、戦うしかないか。
「確かにエスラル様……。帰りましょう城へ」
「へ?」
兵士がそういって剣を納めた。ヘルナが呆気にとられた声をあげてあぶら汗をかいている。
「ちょ、ちょっと! 私を」
「いっかいの冒険者を雇っていただけだ。ルインズの兵士を束ねているのは私だ。勘違いするな」
兵士の人がそういうとバッサリと切るように兵士が告げた。どうやら、この兵士さんが本物の隊長さんみたい。少し怒っているように思える。
「私はバルバス。兵士長を務めています。王女様、姫、王子。さあ、帰りましょう」
バルバスさんは馬車も連れてきていたみたいだ。装飾されている豪華な馬車。
「お姉さま、お母様行きましょう。僕らで終わらせなくちゃ」
「……。そうね。エスラルが生きていたって教えればあの人も」
エスラル君の言葉にリステアさんが肯定する。アルも考え込んでるな。信じていいのかって感じか。
「そう、だね。タツミさんにも迷惑かかってるし、逃げて長引くより。それにヘルナが虫を使ってお父様を操っているみたいだし。タツミさんに治してもらえば元に戻れるはずだよ」
そうか、最初からそうすればよかったのか。
まあ、あの時は敵対していたからしょうがないよな。
「じゃあ、戻るか。ジュダインさん達には本当に申し訳なかったな~。あとで謝らないと」
「タツミさんは悪くないよ。僕らが謝るから気にしないで」
「でも、一国の姫や王女様が謝るんはやばいんじゃないか?」
「そんなの関係ないよ。とにかく、タツミさんは気にしないで」
「……。ふふ」
アルと話すとリステアさんが笑い出した。どうしたんだろうとアルと彼女を見ると、
「なんだか夫婦みたいね。懐かしいわ」
「「ええ!」」
リステアさんの言葉に二人して顔を赤くしてしまう。そんなに仲良さそうだったか?
「城に帰ったら結婚式でもしましょうか」
「ちょ、ちょっとお母様! 揶揄わないでください。タツミさんとはその……。そういう関係じゃ」
「はいはい、前回聞いたわ。じゃあ、帰りましょう。皆さん本当にすいませんでした。他の皆さんにもお伝えください。お騒がせしてすみませんと」
揶揄ってきたリステアさんが真剣な顔でみんなに謝った。みんな、笑いながら聞いてくれた。
なんだかわちゃわちゃしただけだったな。まだ終わってんないけど。
「あの……私は?」
「あ~? おまえが元凶だろ! このままこの船でこき使ってやるよ。覚悟しろよ!」
「ええ! そんな!」
「丁度雑用係が欲しかったんだ! 宿屋の仕事もいそがしくなるだろうからな。ガ~ッハッハッハ」
ダイロさんが豪快に笑った。ヘルナを召使としてこき使おうらしい。
まあ、ルキアが奪った魔石がなければ何もできないだろう。冒険者としても低レベルっぽいからな。別に大丈夫かな?
でも、一応リステアさんに聞いたほうがいいか。あいつって犯罪者だもんな。
「あれはいいんですか? 一応犯罪者ですよね」
「ん~、そうですね。国家転覆ですから普通は死刑です。でも、ならなかった。迷惑をおかけしましたしダイロジック様にあげていいと思います」
「え?」
「ふふ。(海から来たと言ってでしょ。あの方は私の英雄ですから。知っているんです)」
大海賊ダイロジック。ダイロさんの本当の姿を知っているのは俺だけじゃないみたいだ。
クスクスと笑いながらエスラル君とアルの手をとって馬車に乗っていく。俺達も続いて入るとアスベルがシルバさんと別れてついてきた。
お父さんと一緒にいればいいのにアスベルは律儀に俺についてきてくれた。シルバさんも嬉しそうに見送ってるよ。息子の成長を嬉しく思ってるのかな。俺もルキアがひとり立ちしたらあんな嬉しそうにできるだろうか。娘だちしないといけないなんて泣いてしまうだろうな。
「やだよ~。べ~」
ヘルナがさっきとは打って変わって、その場で圧のある声をあげた。ルキアはサンとトラの影に隠れてる。サンとトラも威嚇してるな。
奥の手がなくなったから日和ったかな。
「打つ手なしだろ。もうどっかへ行け」
「ぐっ……。いいのかな~。ルインズの王は私のしもべになりつつあるのよ。このままにしていいのかな~」
「あの人が?」
ヘルナの声に船にいたリステアさんが声をあげた。おかしくなったのがヘルナのせいだってわかってから気にしていたみたいなんだよな。
「お母様! どうでもいいじゃない、あんな人!」
「でも」
「お姉さま、私情で判断してはいけません。これは世界のバランスに関わることです。国が一つあの人のものになると考えると見過ごせません」
アルがリステアさんを否定しているとエスラル君が声をあげた。彼は本当に賢い、冷静に世界を考えてるな。
「じゃあよ! こいつを捕まえておいて王を回復させればいいんじゃねえか?」
「な、なによ。あんたたち」
いろいろと待たせていたダイロさん達がぞろぞろと船から出てきてヘルナを囲んでいく。ヘルナはかなり怯えてるな。
ヘルナも抵抗してきたが屈強な海の男達には勝てず、縄で縛られていった。
「この~。私にこんなことしてタダで済むと思っているの!」
「ああ、思ってるね」
「ぐぬぬ」
ヘルナがダイロさん達へと脅しをかけている。ダイロさん達は何も感じていないようだ。脅しなんて海の男には効かないよな。
「ヘルナ様!」
「やっと来たわね!」
縛り終わって少しすると馬の兵士達が現れて剣を引き抜いて近づいてきた。
「皆やめろ! これ以上この方々に迷惑をかけるな!」
エスラル君が兵士達の前にでて声を荒らげる。
驚いてみているとアルも前に出てきて兵士の前に立ちふさがる。
「エスラルは生きてる! みんなもう戻ろう」
「早く私を助けなさい。王からオラストロの王子と姫を連れ戻すようにいわれているんだからね」
アルの言葉にかぶせるようにヘルナが声をあげた。兵士達は近づいてくる。仕方ない、戦うしかないか。
「確かにエスラル様……。帰りましょう城へ」
「へ?」
兵士がそういって剣を納めた。ヘルナが呆気にとられた声をあげてあぶら汗をかいている。
「ちょ、ちょっと! 私を」
「いっかいの冒険者を雇っていただけだ。ルインズの兵士を束ねているのは私だ。勘違いするな」
兵士の人がそういうとバッサリと切るように兵士が告げた。どうやら、この兵士さんが本物の隊長さんみたい。少し怒っているように思える。
「私はバルバス。兵士長を務めています。王女様、姫、王子。さあ、帰りましょう」
バルバスさんは馬車も連れてきていたみたいだ。装飾されている豪華な馬車。
「お姉さま、お母様行きましょう。僕らで終わらせなくちゃ」
「……。そうね。エスラルが生きていたって教えればあの人も」
エスラル君の言葉にリステアさんが肯定する。アルも考え込んでるな。信じていいのかって感じか。
「そう、だね。タツミさんにも迷惑かかってるし、逃げて長引くより。それにヘルナが虫を使ってお父様を操っているみたいだし。タツミさんに治してもらえば元に戻れるはずだよ」
そうか、最初からそうすればよかったのか。
まあ、あの時は敵対していたからしょうがないよな。
「じゃあ、戻るか。ジュダインさん達には本当に申し訳なかったな~。あとで謝らないと」
「タツミさんは悪くないよ。僕らが謝るから気にしないで」
「でも、一国の姫や王女様が謝るんはやばいんじゃないか?」
「そんなの関係ないよ。とにかく、タツミさんは気にしないで」
「……。ふふ」
アルと話すとリステアさんが笑い出した。どうしたんだろうとアルと彼女を見ると、
「なんだか夫婦みたいね。懐かしいわ」
「「ええ!」」
リステアさんの言葉に二人して顔を赤くしてしまう。そんなに仲良さそうだったか?
「城に帰ったら結婚式でもしましょうか」
「ちょ、ちょっとお母様! 揶揄わないでください。タツミさんとはその……。そういう関係じゃ」
「はいはい、前回聞いたわ。じゃあ、帰りましょう。皆さん本当にすいませんでした。他の皆さんにもお伝えください。お騒がせしてすみませんと」
揶揄ってきたリステアさんが真剣な顔でみんなに謝った。みんな、笑いながら聞いてくれた。
なんだかわちゃわちゃしただけだったな。まだ終わってんないけど。
「あの……私は?」
「あ~? おまえが元凶だろ! このままこの船でこき使ってやるよ。覚悟しろよ!」
「ええ! そんな!」
「丁度雑用係が欲しかったんだ! 宿屋の仕事もいそがしくなるだろうからな。ガ~ッハッハッハ」
ダイロさんが豪快に笑った。ヘルナを召使としてこき使おうらしい。
まあ、ルキアが奪った魔石がなければ何もできないだろう。冒険者としても低レベルっぽいからな。別に大丈夫かな?
でも、一応リステアさんに聞いたほうがいいか。あいつって犯罪者だもんな。
「あれはいいんですか? 一応犯罪者ですよね」
「ん~、そうですね。国家転覆ですから普通は死刑です。でも、ならなかった。迷惑をおかけしましたしダイロジック様にあげていいと思います」
「え?」
「ふふ。(海から来たと言ってでしょ。あの方は私の英雄ですから。知っているんです)」
大海賊ダイロジック。ダイロさんの本当の姿を知っているのは俺だけじゃないみたいだ。
クスクスと笑いながらエスラル君とアルの手をとって馬車に乗っていく。俺達も続いて入るとアスベルがシルバさんと別れてついてきた。
お父さんと一緒にいればいいのにアスベルは律儀に俺についてきてくれた。シルバさんも嬉しそうに見送ってるよ。息子の成長を嬉しく思ってるのかな。俺もルキアがひとり立ちしたらあんな嬉しそうにできるだろうか。娘だちしないといけないなんて泣いてしまうだろうな。
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