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第3章 ルインズ
第16話 やってきた女
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「何の用ですか?」
殺気を放ちながら近づいてくる女兵士。すべてに関係がありそうなやつがのこのこと一人でやってきた。
「ふふふ、ふふふふ。予定通りとはいかなかったけど、何とかなったようね」
女は嬉しそうに笑い近づいてくる。
みんなを船に乗せ終わるまでは相手してやるか。
「質問に答えてもらおうか。お前は何者だ」
剣を引き抜いて女を止める。
ルキア達も身構えてくれて圧を強める。
女は足を止めて口を開いた。
「そうね。これから私のものになる国の王子様だものね。なのってもいいかしらね。私の名前はヘルナよ。雇われの冒険者。今はね」
名乗り終わるとニヤリと笑って更に近づいてくる。
「それ以上近づくな」
警告をしたが歩みを止めない。仕方なくトラに合図を送る。
「キャン!」
トラが雷撃を放つ。ヘルナに当たると大きく吹っ飛んでいった。戦闘能力は低いのかもしれないな。
「そこで寝てろ。みんないこう」
「痛いわね。これで終わると思ったのかしら?」
みんなを船に乗せ終わったのを見て俺達も乗っていこうとしたら、背後から不意に女の声がしてきた。
声の方を向くと女が船へと乗ろうとしていて、船へと渡る橋に手をかけていた。
「船でどこに逃げるのかしら。獣人を連れていたらどこに行ってもいじめられちゃうわよ」
「お前どうやって……」
ヘルナは飄々と話してくる。奴の体には確かにトラの雷撃の跡がついてる。当たってはいるみたいだな、
「さてさて、どうしてやろうかしら。城には戻ってくれないのよね? それなら」
ヘルナは俺の答えを聞かずに行動を開始した。
「きゃ!」
「アル!」
「お姫様と王子様! 仲良くおうちに帰らせるわよ~。力ずくでね!」
一瞬で船に乗っていたアルを連れてきた。アルを俺へと突き飛ばしてきた。アルを受け止めるとまた背後から声が聞こえてくる。
「キャン!」
「ガウ!」
ヘルナへサンとトラが炎と雷撃を放つ宙で二つの属性が衝突すると爆発が起こった。爆発の前に距離をとっていた俺達は無事だけど、ヘルナは無理だったはずだ。
「危ない危ない。雷は卑怯よね。早いんだもの」
あの距離で今の攻撃を避ける。やっぱり思っていた通り、時間を止められることがわかった。
俺はすかさず、精霊使いの服に着替える。
「あら? 服が……。それがあなたの力?」
「……。アテナ!」
力を見られるのはあまりよくないがそんなことを言っている場合じゃない。
アテナを召喚するとすぐに時間を遅くし始めた。
「時間を止める魔法を使えるのね~。凄いけれど、精霊でもなければ扱えない魔法よ。あとは魔道具ね」
「なるほど」
これは逃げずにその魔道具を壊したほうがいいな。
「お父さん。逃げないの?」
「ああ、アテナがいれば何とかなりそうだからね」
ルキアが心配そうに身を寄せてきた。答えると微笑んで両手を握ってガッツポーズをした。
「近づいてきてるわ。私の魔法にも干渉できるみたいね。私が調べてみようかしら」
「ルキアがやる~」
アテナがヘルナを調べようとするとルキアが飛んでいった。ぴょんぴょん飛んでいくもんだから本当に飛んでいるように見える。
ノームの着ぐるみを着ているから彼のようにふるまえるのかもしれない。そういえば、アテナの着ぐるみも手に入っているんだよな。今度確認するか。
ルキアはヘルナの体を調べていく。スロウワールドで少しずつ動いているヘルナは何とか抵抗しようとしている。
時折、ヘルナはチラチラとポケットに目をやる。ルキアも気づいたようで顔を少し焦らせながら動くヘルナよりも早くポケットへと手をやった。
「あった~」
何かを見つけたルキアが元気に手をあげて戻ってくる。のろのろと動くヘルナが驚きの顔で止めようとしているが届くはずもない。
「お父さん! これこれ~」
ルキアが握っている黒い宝石。あれが魔道具なのか?
「あら~。黒の魔石ね。時間の魔法と相性がいいわ。だけど、それなりの魔法使いじゃないと定着できないわ」
「ということは黒幕が別にいるってことか?」
「さあ? わからないわ。冒険者って言ってたから遺跡で手に入れたのかもしれないわ」
アテナが色々と教えてくれた。冒険者だからそういったアイテムを遺跡で手に入れられる。ダンジョンみたいなものが存在しているのかな。
一度は行ってみたいが危ないならやめておくかな。
「もう魔法はいいわね。それにしても凄いわね。マスターは」
「へ?」
「へ? じゃないわ。精霊使いは精霊とおしゃべりをしないのよ。なんでかっていうとマナを使うから。無駄なマナを使うと私達は帰らないと行けなくなっちゃう。精霊使いも困るし私達も困る。だからあんまりしゃべらないのよ。なのにマスターは……」
へ~。そうだったのか。だからサゲスに召喚されたウンディーネは無口に契約を結んでいたのか。なるほどね。
「マナが使いたい放題。最高の職場ね」
微笑んだアテナはそういって消えていった。光を屈折させて、また呼んでねと光を残していったよ。
精霊たちは極大魔法を使いたくて呼んでほしいのかと思ったらおしゃべりもしたかったみたいだな。
でも、アテナを呼んでいいのか? ノームと会う約束とかしていることが多かったように思えるけどな。
まあ、呼んでほしいなら呼んであげるか。
「返せ! このクソガキ!」
時間が戻ったことでヘルナが声をあげた。
まったく、もう、お前の負けだぞ、諦めろって。
殺気を放ちながら近づいてくる女兵士。すべてに関係がありそうなやつがのこのこと一人でやってきた。
「ふふふ、ふふふふ。予定通りとはいかなかったけど、何とかなったようね」
女は嬉しそうに笑い近づいてくる。
みんなを船に乗せ終わるまでは相手してやるか。
「質問に答えてもらおうか。お前は何者だ」
剣を引き抜いて女を止める。
ルキア達も身構えてくれて圧を強める。
女は足を止めて口を開いた。
「そうね。これから私のものになる国の王子様だものね。なのってもいいかしらね。私の名前はヘルナよ。雇われの冒険者。今はね」
名乗り終わるとニヤリと笑って更に近づいてくる。
「それ以上近づくな」
警告をしたが歩みを止めない。仕方なくトラに合図を送る。
「キャン!」
トラが雷撃を放つ。ヘルナに当たると大きく吹っ飛んでいった。戦闘能力は低いのかもしれないな。
「そこで寝てろ。みんないこう」
「痛いわね。これで終わると思ったのかしら?」
みんなを船に乗せ終わったのを見て俺達も乗っていこうとしたら、背後から不意に女の声がしてきた。
声の方を向くと女が船へと乗ろうとしていて、船へと渡る橋に手をかけていた。
「船でどこに逃げるのかしら。獣人を連れていたらどこに行ってもいじめられちゃうわよ」
「お前どうやって……」
ヘルナは飄々と話してくる。奴の体には確かにトラの雷撃の跡がついてる。当たってはいるみたいだな、
「さてさて、どうしてやろうかしら。城には戻ってくれないのよね? それなら」
ヘルナは俺の答えを聞かずに行動を開始した。
「きゃ!」
「アル!」
「お姫様と王子様! 仲良くおうちに帰らせるわよ~。力ずくでね!」
一瞬で船に乗っていたアルを連れてきた。アルを俺へと突き飛ばしてきた。アルを受け止めるとまた背後から声が聞こえてくる。
「キャン!」
「ガウ!」
ヘルナへサンとトラが炎と雷撃を放つ宙で二つの属性が衝突すると爆発が起こった。爆発の前に距離をとっていた俺達は無事だけど、ヘルナは無理だったはずだ。
「危ない危ない。雷は卑怯よね。早いんだもの」
あの距離で今の攻撃を避ける。やっぱり思っていた通り、時間を止められることがわかった。
俺はすかさず、精霊使いの服に着替える。
「あら? 服が……。それがあなたの力?」
「……。アテナ!」
力を見られるのはあまりよくないがそんなことを言っている場合じゃない。
アテナを召喚するとすぐに時間を遅くし始めた。
「時間を止める魔法を使えるのね~。凄いけれど、精霊でもなければ扱えない魔法よ。あとは魔道具ね」
「なるほど」
これは逃げずにその魔道具を壊したほうがいいな。
「お父さん。逃げないの?」
「ああ、アテナがいれば何とかなりそうだからね」
ルキアが心配そうに身を寄せてきた。答えると微笑んで両手を握ってガッツポーズをした。
「近づいてきてるわ。私の魔法にも干渉できるみたいね。私が調べてみようかしら」
「ルキアがやる~」
アテナがヘルナを調べようとするとルキアが飛んでいった。ぴょんぴょん飛んでいくもんだから本当に飛んでいるように見える。
ノームの着ぐるみを着ているから彼のようにふるまえるのかもしれない。そういえば、アテナの着ぐるみも手に入っているんだよな。今度確認するか。
ルキアはヘルナの体を調べていく。スロウワールドで少しずつ動いているヘルナは何とか抵抗しようとしている。
時折、ヘルナはチラチラとポケットに目をやる。ルキアも気づいたようで顔を少し焦らせながら動くヘルナよりも早くポケットへと手をやった。
「あった~」
何かを見つけたルキアが元気に手をあげて戻ってくる。のろのろと動くヘルナが驚きの顔で止めようとしているが届くはずもない。
「お父さん! これこれ~」
ルキアが握っている黒い宝石。あれが魔道具なのか?
「あら~。黒の魔石ね。時間の魔法と相性がいいわ。だけど、それなりの魔法使いじゃないと定着できないわ」
「ということは黒幕が別にいるってことか?」
「さあ? わからないわ。冒険者って言ってたから遺跡で手に入れたのかもしれないわ」
アテナが色々と教えてくれた。冒険者だからそういったアイテムを遺跡で手に入れられる。ダンジョンみたいなものが存在しているのかな。
一度は行ってみたいが危ないならやめておくかな。
「もう魔法はいいわね。それにしても凄いわね。マスターは」
「へ?」
「へ? じゃないわ。精霊使いは精霊とおしゃべりをしないのよ。なんでかっていうとマナを使うから。無駄なマナを使うと私達は帰らないと行けなくなっちゃう。精霊使いも困るし私達も困る。だからあんまりしゃべらないのよ。なのにマスターは……」
へ~。そうだったのか。だからサゲスに召喚されたウンディーネは無口に契約を結んでいたのか。なるほどね。
「マナが使いたい放題。最高の職場ね」
微笑んだアテナはそういって消えていった。光を屈折させて、また呼んでねと光を残していったよ。
精霊たちは極大魔法を使いたくて呼んでほしいのかと思ったらおしゃべりもしたかったみたいだな。
でも、アテナを呼んでいいのか? ノームと会う約束とかしていることが多かったように思えるけどな。
まあ、呼んでほしいなら呼んであげるか。
「返せ! このクソガキ!」
時間が戻ったことでヘルナが声をあげた。
まったく、もう、お前の負けだぞ、諦めろって。
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