40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 異世界旅行

第20話 報告

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「戻りましたよガルドさ~ん」

「お? おお~! 早かったな~。って、なんか人が増えておるが?」
 
 エイベルグの町に帰ってきて、ガルドさんの屋台にミスリルを届けに来た。
 屋台の前でリリスさんが声を上げるとガルドさんが奥から出てきて人数の多さにびっくりしてる。

「ゴブリンの落とし穴にはまって捕まっちゃったんです。ルッソです。こっちはミラ」

「ん? 罠? ゴブリンがやったのか? 珍しいこともあるもんじゃな。しかし、命があってよかったな。儂はガルドじゃ。見ての通り鍛冶屋をやっておる」

 ルッソ君の説明にガルドさんが慰める。
 
「よっしゃ! じゃあ、一日猶予をくれ。明日になったらワーウルフの軽鎧が完成する」

「明日ですね。わかりました」

「おう! 期待しててくれ!」

 ガルドさんはミスリルを受け取ると嬉しそうに声を上げる。
 楽しみですね~。ですが、私に似合うような鎧になるんでしょうかね? 少し心配です。

「とりあえず、獣人の嬢ちゃんの革の鎧と【ドワーフの誓い】を渡しておこう」

 ガルドさんはそう言ってエチルちゃんに合いそうな軽鎧と首飾りを差し出してくる。
 まさか鎧をもらえるとは思わなかったので驚いていると、彼はニッコリと微笑む。

「な~に、この町でも差別されると思っていたけどよ。温かく依頼を受けてくれる人がいるって嬉しくてな。金がないって言った時、少し心配したんだぜ。足元見られると思ってな」

「そうだったんですね」

「「……」」

 ガルドさんの声に悲しくなる。それを聞いたルッソ君達は申し訳なさそうに俯く。

「ん? どうしたんだ?」

「あ、いえ。何でもないですよ」

 二人の様子を見てガルドさんが首を傾げながら聞いてくる。
 私は二人のやったことを告げ口するつもりはありません。
 誰にでも過ちはありますからね。一度の失敗で咎めるほど、私も出来た大人ではないですからね。

「ふん。まあ、いいさ。快く受け入れてくれる人がこれだけいる。それだけで俺は嬉しいからな」

 ガルドさんは嬉しそうにそう言うとミスリル鉱石を手に持つ。

「知り合いの鍛冶屋で炉を借りて作業に入る。また明日来てくれよな」

「うん! ガルドおじさんありがとう!」

 ガルドさんの声にエチルちゃんがお礼を言うと彼は彼女の頭を撫でてほほ笑む。彼を見送って私達は冒険者ギルドに向かうことにした。

「いらっしゃい。リリス先輩? 今日は非番でしたよね?」

「そうよココナ。冒険者になりたい人を見つけたから連れてきたの」

 冒険者ギルドに入ると、リリスさんを先輩という女性が声をかけてくる。名前はココナさんというようですね。赤毛の長い髪が綺麗な人ですね。
 
「また登録してくれる人がいるんですね。流石リリス先輩。シゲルさんみたいな有望株を登録したと思ったら、こんな若い子にまで手を出して。隅に置けないですね~」

「ちょ、ちょっとココナ! いいかた!」

 ココナさんのからかわれるリリスさん。
 どうやら、職場ではいじられキャラのようですね。美女がキャッキャしてる姿は元気が湧いてきます。
 うちの職場にも欲しかった人材ですね~。

「はぁ~、私の担当も立派になってくれると思ったのに。ワーウルフにやられちゃって……」

「そういえば、アウソーさん達は助からなかったのよね」

 私はアウソー達のことを助けることが出来なかった。自分達のことだけで精いっぱいだったから。
 もっと私に力があれば、間違っていた人でも助けることが出来た。攻撃されてもはじき返せる力があれば、過ちを顧みるチャンスを与えることが出来る。
 彼らのことが頭にあったからルッソ君達にも優しく接することが出来たのかもしれないですね。

「シゲルさん。アウソーさん達のことは気にしなくていいですよ。あなたも必死だったんですから」

「ありがとうございますリリスさん」

 色々あるところがあった私が俯いているとリリスさんが慰めてくれる。

「じゃあ、登録するお二人。受付に来てくれますか」

「「はい!」」

 ココナさんが二人を呼ぶと二人は受付に座って私の時と同じように水晶に手を当てて登録証を手に入れています。
 改めてみるとあの水晶も凄いですよね。建物とかは圧倒的に現代日本の方が凄いのに、ああいった登録などのシステムはこちらの方が凄い。
 魔法があるから建物はあまり発展しなかった、というのはあまり説得力がないように感じますが。気になるところですね。

「「登録できました」」

「じゃあ、戻りましょうか」

 ルッソ君達が登録を終えて戻ってくる。
 すぐにミスリル鉱山に戻らないと暗くなってしまいます。急ぎましょう。

「シゲルさん」

 ミスリル鉱山に向かう道すがら。ルッソ君が声をかけてくる。
 ミラさんとまだ喧嘩しているみたいなので話す相手がいないみたいですね。前を歩くリリスさんとミラさんを見つめて不安そうにしています。

「ミラが怒っててまだ理由を教えてくれないんだ。俺、まだわからなくて……。ヒントみたいなこと教えてください」

 ルッソ君のお願いに私はしばらく考えて口を開く。

「そうですね。ではあなたはミラちゃんのことをどう思っていますか?」

「どうって? 昔からの友達かな?」

「それだけですか?」

「……それだけ、他には何も」

 私の質問を聞いて答えるルッソ君。何もないと言っていますが少し察するところがある様子。

「少し分かったんじゃないですか? それを正直にミラちゃんに話してみてください」

「……わかりました。でも、恥ずかしいです」

「はは、そりゃそうですよ。自分の思っていること、考えていることを正直に話すことは恥ずかしいですからね。でも、言葉にしないと分からないことは沢山あります。大事に自分の胸にしまうというのも大事ですが、相手に聞かせることも大事ですよ」

 ルッソさんの悩みを聞いて彼の背中を押す。彼は顔を赤くしてミラちゃんの元へと近づいていく。
 彼が彼女の手を握って私達から離れて歩くことになり、しばらくして二人で帰ってくると仲良く手を繋いでついて来ていました。
 なんとも青春していますね。

「シゲルおじちゃん! 手~つなご~」

「はは、はいはい。繋ぎましょう」

 二人を見て羨ましく思ったのかエチルちゃんが声を上げます。私は彼女の手を握って街道を歩いていく。
 背丈が違うので腰が痛くなると思いましたが、全然痛くないです。ステータスって偉大ですね。
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