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第7話
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リッチを片付けるとヒドラが形を保てずに崩れていく。
骨と肉塊となったヒドラがひどい匂いをだしてきたのでクリーンの魔法をかける。
『ありがとうございます。これで私達は成仏できます』
「良かったね」
『はい……貴方様に幸運を』
「ありがと」
集められていたゴーストたちがお礼を言って天へと上っていった。綺麗な金色の輝きが地下室を浄化してくれた。お礼のつもりかな。
「あれ? 君は行かないの?」
『……未練が出来ましたので』
「未練? ……なまえを聞いてもいいかな?」
『ミラと申します。旦那様。あなたをお慕いしております』
案内してくれた幽霊さんはミラと名乗ってくれた。微笑んで握手を求めるとミラさんはギュッと両手で握ってくれた。
「未練は僕にお慕えしたいってことかな。今度、体を用意してあげるね」
『体ですか?』
「そっ」
ミラさんは首を傾げる。それもそのはず、幽霊が体を得るには天に帰って転生しないと出来ないことだからね。
でも、元精霊の僕は魂を入れられるものを知ってるんだ。
「ゴーレムの核を手に入れよう」
『ゴーレム?』
ゴーレムという魔物は魔石も持っているけど、それとは別に核を持ってる。体を物質で覆うために維持する核なんだけど、それは魂とも結合しやすいんだ。
物質だけじゃなくて魂みたいなアストラル体、いわゆるマナとの感受性も高いわけなんだよね。
だから、ゴーレムの核があれば少し人とは違うけど体が手に入る。
『体が手に入ってもあんなにごっつくなっては……屋敷にはいれなくなってしまいます』
「そこは君次第だよ。修練次第で大きくも小さくもなれるんだ」
『そうなのですか……』
ゴーレムの核になるってことだからそこらへんも自由自在になるんだ。それこそ、人のサイズになることだってできる。
「さて、そろそろ地下から出ようか」
『はい』
血生臭くなくなったとはいえ、地下室にいつまでもいてもね。せっかく、綺麗な屋敷にいるんだから、ちゃんとした地上で過ごそう。
地下から出て綺麗なソファーに横たわる。
さて、次はどうしようかな。
宿屋をでることを伝えて、リッチの魔石を卸す? お金には余裕があるし、いいか。
それにさっき換金したのにまたじゃ、グラーフさん達のお財布がやばそうだしね。ってギルドのお金だから大丈夫か。
『どうしたのですか? 旦那様』
「いや、何しようかなってさ」
寝そべっていると覗き込んできたミラさん。
早速、旦那様らしくないところを見せてしまっているようで申し訳ないな。
『旦那様の奥方様はどうされているのですか?』
「え? 奥さんがいるって言ったっけ?」
『いえ、旦那様ほどの魔法使いならば許嫁などは多くいると思いまして、男爵様も三人はもうけていましたし』
ん~、そうか、貴族様にもなると妾が複数になるんだな。
ルミナさん以外考えたことがないからな~。
ルミナさんと言えば、屋敷も手に入ったし、迎えに行ってもいいんだな。
日も落ちてきたし、宿屋のオットーさんに出ることを伝えて明日にでも戻ろう。
彼女の喜ぶ姿が目に浮かぶな~。
「アクアス様!」
「え?」
妄想ににやついていると扉が勢いよく開いてミスリルの剣を掲げた騎士が現れた。
所々から見える肌が黒い、ダークエルフさんかな?
「ご無事でしたか!」
「あっ、はい」
「よかった。ここはゴーストが住むと言われていて立ち入り禁止区域だったんです……ってゴースト!」
ツカツカと近づいてきた騎士さん。顔を見るとエルザさんだった。
彼女は忙しく表情を変えてミラさんに突っかかる。
『誰ですかこの無礼な騎士は』
「えっと、エルザさん。見ての通りダークエルフなんだ」
「アクアス様……。これはいったい?」
仲良く紹介するとエルザさんは剣を下ろして質問してきた。
「というわけです」
「そ、そんなことがこの地下で」
リッチとの激闘を話すとエルザさんは顔を青ざめて納得してくれた。まあ、リッチの魔石を見せたから納得せざる負えないね。
「ごめんなさいミラさん。ってッきりゴーストだと思って」
『いえ、こちらこそ。では私は掃除に戻ります。あ、そうでした。旦那様、助けてくれてありがとうございました』
「な!?」
ミラさんは素っ気なくエルザさんの相手をすると僕の頬にキスをしてきた。なぜと思うのもつかの間、様子をみたエルザさんが震えてる。
「あ、アクアス様は幽霊にもおモテなのですね。流石です」
「ミラさんのはお礼なので」
「そ、そうですか。では私もしてもいいですか?」
「へ? なんでそうなるんですか」
幽霊のミラさんはあれでしょ、お礼って言うだけだし、エルザさんみたいに生身ではないわけだし、浮気にはならない。
エルザさんとなると浮気になってしまうし、僕も男の子なのでその……ね~?
「わ、わかっています。まだ駄目ですよね。こういうことはゆっくりと、というかお礼をしてからですよね」
「はぁ~。はい」
何のことを言っているのかわからないけど、とりあえず、頷いておこう。
「じゃ、じゃあ。僕は宿屋さんに出ることを伝えに行くので。ゆっくりしていってください」
「では私も行きます! 赤の宿屋ですよね」
なぜか宿屋を知ってる。そういえば、ここにはどうやってきたんだ? 僕がここにいるのを知っているのはネギーさんだけのはずだ。
なんだか怖くなってきた。
骨と肉塊となったヒドラがひどい匂いをだしてきたのでクリーンの魔法をかける。
『ありがとうございます。これで私達は成仏できます』
「良かったね」
『はい……貴方様に幸運を』
「ありがと」
集められていたゴーストたちがお礼を言って天へと上っていった。綺麗な金色の輝きが地下室を浄化してくれた。お礼のつもりかな。
「あれ? 君は行かないの?」
『……未練が出来ましたので』
「未練? ……なまえを聞いてもいいかな?」
『ミラと申します。旦那様。あなたをお慕いしております』
案内してくれた幽霊さんはミラと名乗ってくれた。微笑んで握手を求めるとミラさんはギュッと両手で握ってくれた。
「未練は僕にお慕えしたいってことかな。今度、体を用意してあげるね」
『体ですか?』
「そっ」
ミラさんは首を傾げる。それもそのはず、幽霊が体を得るには天に帰って転生しないと出来ないことだからね。
でも、元精霊の僕は魂を入れられるものを知ってるんだ。
「ゴーレムの核を手に入れよう」
『ゴーレム?』
ゴーレムという魔物は魔石も持っているけど、それとは別に核を持ってる。体を物質で覆うために維持する核なんだけど、それは魂とも結合しやすいんだ。
物質だけじゃなくて魂みたいなアストラル体、いわゆるマナとの感受性も高いわけなんだよね。
だから、ゴーレムの核があれば少し人とは違うけど体が手に入る。
『体が手に入ってもあんなにごっつくなっては……屋敷にはいれなくなってしまいます』
「そこは君次第だよ。修練次第で大きくも小さくもなれるんだ」
『そうなのですか……』
ゴーレムの核になるってことだからそこらへんも自由自在になるんだ。それこそ、人のサイズになることだってできる。
「さて、そろそろ地下から出ようか」
『はい』
血生臭くなくなったとはいえ、地下室にいつまでもいてもね。せっかく、綺麗な屋敷にいるんだから、ちゃんとした地上で過ごそう。
地下から出て綺麗なソファーに横たわる。
さて、次はどうしようかな。
宿屋をでることを伝えて、リッチの魔石を卸す? お金には余裕があるし、いいか。
それにさっき換金したのにまたじゃ、グラーフさん達のお財布がやばそうだしね。ってギルドのお金だから大丈夫か。
『どうしたのですか? 旦那様』
「いや、何しようかなってさ」
寝そべっていると覗き込んできたミラさん。
早速、旦那様らしくないところを見せてしまっているようで申し訳ないな。
『旦那様の奥方様はどうされているのですか?』
「え? 奥さんがいるって言ったっけ?」
『いえ、旦那様ほどの魔法使いならば許嫁などは多くいると思いまして、男爵様も三人はもうけていましたし』
ん~、そうか、貴族様にもなると妾が複数になるんだな。
ルミナさん以外考えたことがないからな~。
ルミナさんと言えば、屋敷も手に入ったし、迎えに行ってもいいんだな。
日も落ちてきたし、宿屋のオットーさんに出ることを伝えて明日にでも戻ろう。
彼女の喜ぶ姿が目に浮かぶな~。
「アクアス様!」
「え?」
妄想ににやついていると扉が勢いよく開いてミスリルの剣を掲げた騎士が現れた。
所々から見える肌が黒い、ダークエルフさんかな?
「ご無事でしたか!」
「あっ、はい」
「よかった。ここはゴーストが住むと言われていて立ち入り禁止区域だったんです……ってゴースト!」
ツカツカと近づいてきた騎士さん。顔を見るとエルザさんだった。
彼女は忙しく表情を変えてミラさんに突っかかる。
『誰ですかこの無礼な騎士は』
「えっと、エルザさん。見ての通りダークエルフなんだ」
「アクアス様……。これはいったい?」
仲良く紹介するとエルザさんは剣を下ろして質問してきた。
「というわけです」
「そ、そんなことがこの地下で」
リッチとの激闘を話すとエルザさんは顔を青ざめて納得してくれた。まあ、リッチの魔石を見せたから納得せざる負えないね。
「ごめんなさいミラさん。ってッきりゴーストだと思って」
『いえ、こちらこそ。では私は掃除に戻ります。あ、そうでした。旦那様、助けてくれてありがとうございました』
「な!?」
ミラさんは素っ気なくエルザさんの相手をすると僕の頬にキスをしてきた。なぜと思うのもつかの間、様子をみたエルザさんが震えてる。
「あ、アクアス様は幽霊にもおモテなのですね。流石です」
「ミラさんのはお礼なので」
「そ、そうですか。では私もしてもいいですか?」
「へ? なんでそうなるんですか」
幽霊のミラさんはあれでしょ、お礼って言うだけだし、エルザさんみたいに生身ではないわけだし、浮気にはならない。
エルザさんとなると浮気になってしまうし、僕も男の子なのでその……ね~?
「わ、わかっています。まだ駄目ですよね。こういうことはゆっくりと、というかお礼をしてからですよね」
「はぁ~。はい」
何のことを言っているのかわからないけど、とりあえず、頷いておこう。
「じゃ、じゃあ。僕は宿屋さんに出ることを伝えに行くので。ゆっくりしていってください」
「では私も行きます! 赤の宿屋ですよね」
なぜか宿屋を知ってる。そういえば、ここにはどうやってきたんだ? 僕がここにいるのを知っているのはネギーさんだけのはずだ。
なんだか怖くなってきた。
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