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第一章 落とされたもの
第16話 性能
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「も~、忘れてたでしょ?」
僕の心を読んだかのようなことを言ってくるスティナさん。ニッコリと微笑んで首を横に振って答えた。
「スティナさんはどうしたんですか? まだ開店時間じゃないですよ?」
「あ~ごめんね。ルルスさんが入るって言うから入らせてもらっちゃったんだ~」
そう言うことだったのか。ってことは開店してからは出来ないような話なのかな?
「それで来た理由なんだけどね。おとといの戦いを見て」
「へ? おととい?」
「あれ? ああ、そうか。一日寝てたんだっけ?」
あ~、そうか。朝日が昇ってくるのが見えたから、今は更に次の日なのか。シエルさんが心配そうにしていたのはそう言うことだったのか。
「心配してたけど、大丈夫だった?」
「はい、この通り、元気です」
「ふふ、シエルさんに感謝しないとね」
「あっ、はい。感謝してもしきれないですよ。孤児院の子供もシエルのおかげでしたし」
スティナさん達も心配してたみたいだ。ほんとにシエルさんがいてよかったよ。
「ぬふふ、やっぱり二人はそう言う……」
「え? どうしたんですか?」
「ううん、なんでもないよ。そんなことよりも本題」
なぜかいやらしい顔になるスティナさん。疑問に思って首を傾げて聞くとはぐらかしてきた。話があってきたのは本当みたいだな。
「実はね、アート君達とパーティーを組めないかな~とおもって」
「ええ!? 僕が冒険者のスティナさん達と?」
スティナさんの提案に驚愕の声をあげる。僕なんかがパーティーに入ったら迷惑にしかならないでしょ。
「ダメです! アート様をそんな危険な冒険者になんて」
シエルさんが聞いていたみたいで少し離れた所から声をあげた。彼女は優しいからな~。
「やっぱりそうだよね。はぁ~、どうしよう……」
「何かあったんですか? 僕達を誘うなんて」
お店を持っている人を誘うなんてやっぱりおかしいよね。僕なんかまだ子供だしね。
「ん~。実はね。ダンジョンって言われるお宝がもらえる場所が生まれて~。それが原因でゴブリンが群れになったんじゃないかって言われてて~」
「お宝がもらえる場所なのに魔物なんですか?」
色々とおかしい話をスティナさんがすると思わず疑問が口を通る。
「ん~。やっぱり美味しい話には危険が付きものって話なんだろうね。そこに行こうってユラ達に言ったんだけど、反対されちゃって」
なるほど、戦力が足りないって話なのか。でもなんで僕らなんだ?
「そう言うことですか。確かにスティナさんだけの前衛では危険ですね。ですがなんで私達なんですか?」
「あのトロールとの戦闘見た人はみんな誘いたいと思ってるよ! 凄かったな~。月明かりに照らされるシエルさんとアート君。油断のないアート君がシエルさんを最後守るように放ったファイアボルト。かっこよかったな~」
シエルさんの疑問にキラキラした瞳で遠くを見つめるスティナさん。バッチリと記憶してるみたいだ。確かにあの時のシエルさんはカッコよかったな~。フェンリルと言われるだけはある。
「なるほど、ではアート様の凄さがみんなに知れ渡ったというわけですね」
「……僕よりもシエルの方が知れ渡ってると思うけどな」
シエルさんが自慢げに話す。少し嬉しく思ったけど、シエルさんのほうがカッコよかったからな~。
「ん~。じゃあ、他の冒険者に任せればいいか……。私達は少しずつ稼ぐことにするよ。ごめんね」
残念そうに出ていくスティナさん。なんだか申し訳ないな~。とはいえ、お店を留守にするのもダメだしな~。
「アート様。私は反対ですからね。何よりもあなたの命が一番大事ですから」
「あ、うん。ありがとシエル」
あんなことがあった後だから、過保護になってるな~。でも、エマさん以外に心配されたことがないから嬉しい。
「じゃ、お店の準備をしよう」
「はい! 私もやる~」
気を取り直して二人に声をあげる。イーマちゃんが声をあげてポーションを一本一本商品棚に飾っていく。
「アート様、このポーションはルルスさんにあげたものですよね。どこにしますか?」
「えっとAランクのポーションだから窓から見える商品棚に置いておいて」
シエルさんがポーションを見せて聞いてきた。ルルスさんにあげたポーションは落とし物バッグの中にあったAランクのポーション。タダで手に入れたアイテム、ルルスさんみたいな人の力になりたいと思ってあげちゃったんだよな。
「ふふ、アート様は本当に優しいですね」
「え? そんなことないよ」
「Aランクのポーションは金貨1枚はすると思いますよ」
金貨1枚……トロールやゴブリンをあれだけ倒して得られるお金か~。それがこんなポーションで、それもただで得られたものだ。……なんと言うか、それを落としてる人ってどんな人なんだろうな~。そういえば、”落とし物″の定義ってなんなんだろう。少し実験してみようかな。
「ちょっとイーマちゃん。一緒に来てくれる?」
「どうしたのアート様~」
イーマちゃんと共にお店の外に、キッチンにある裏口から出てきた。
「グランドさんが置いていったAランクポーション」
落とし物バッグから取り出していないポーション。これを地面に置く。
「……数は増えてない。離れてもダメか」
落とし物バッグの中を見ても数に変化なし。僕が置いたものじゃダメか、アイテムの所有者が近くにいるとだめ?
後は落とし物バッグを持っている僕じゃダメかだ。
そこでイーマちゃん。
「イーマちゃん。このポーションを地面に置いてみてくれるかな?」
「置くの? これでいい?」
「うん。ありがと」
「えへへ」
頭を撫でてあげると嬉しそうにするイーマちゃん。落とし物バッグの中を見ると数が増えている。ということは町の地面にものが接触すると落とし物として数えられるってことか。
落とし物バッグの所有者以外が地面にものを置くと落とし物として数えられる。改めて、凄いアイテムだな。
「じゃあ、そろそろお店の開店時間だ。戻ろう」
「? うん! 今日もお客さんいっぱいだといいね!」
「そうだね」
イーマちゃんと共にお店に戻る。謎が解けてスッキリした。今日も一日頑張るぞ~。
僕の心を読んだかのようなことを言ってくるスティナさん。ニッコリと微笑んで首を横に振って答えた。
「スティナさんはどうしたんですか? まだ開店時間じゃないですよ?」
「あ~ごめんね。ルルスさんが入るって言うから入らせてもらっちゃったんだ~」
そう言うことだったのか。ってことは開店してからは出来ないような話なのかな?
「それで来た理由なんだけどね。おとといの戦いを見て」
「へ? おととい?」
「あれ? ああ、そうか。一日寝てたんだっけ?」
あ~、そうか。朝日が昇ってくるのが見えたから、今は更に次の日なのか。シエルさんが心配そうにしていたのはそう言うことだったのか。
「心配してたけど、大丈夫だった?」
「はい、この通り、元気です」
「ふふ、シエルさんに感謝しないとね」
「あっ、はい。感謝してもしきれないですよ。孤児院の子供もシエルのおかげでしたし」
スティナさん達も心配してたみたいだ。ほんとにシエルさんがいてよかったよ。
「ぬふふ、やっぱり二人はそう言う……」
「え? どうしたんですか?」
「ううん、なんでもないよ。そんなことよりも本題」
なぜかいやらしい顔になるスティナさん。疑問に思って首を傾げて聞くとはぐらかしてきた。話があってきたのは本当みたいだな。
「実はね、アート君達とパーティーを組めないかな~とおもって」
「ええ!? 僕が冒険者のスティナさん達と?」
スティナさんの提案に驚愕の声をあげる。僕なんかがパーティーに入ったら迷惑にしかならないでしょ。
「ダメです! アート様をそんな危険な冒険者になんて」
シエルさんが聞いていたみたいで少し離れた所から声をあげた。彼女は優しいからな~。
「やっぱりそうだよね。はぁ~、どうしよう……」
「何かあったんですか? 僕達を誘うなんて」
お店を持っている人を誘うなんてやっぱりおかしいよね。僕なんかまだ子供だしね。
「ん~。実はね。ダンジョンって言われるお宝がもらえる場所が生まれて~。それが原因でゴブリンが群れになったんじゃないかって言われてて~」
「お宝がもらえる場所なのに魔物なんですか?」
色々とおかしい話をスティナさんがすると思わず疑問が口を通る。
「ん~。やっぱり美味しい話には危険が付きものって話なんだろうね。そこに行こうってユラ達に言ったんだけど、反対されちゃって」
なるほど、戦力が足りないって話なのか。でもなんで僕らなんだ?
「そう言うことですか。確かにスティナさんだけの前衛では危険ですね。ですがなんで私達なんですか?」
「あのトロールとの戦闘見た人はみんな誘いたいと思ってるよ! 凄かったな~。月明かりに照らされるシエルさんとアート君。油断のないアート君がシエルさんを最後守るように放ったファイアボルト。かっこよかったな~」
シエルさんの疑問にキラキラした瞳で遠くを見つめるスティナさん。バッチリと記憶してるみたいだ。確かにあの時のシエルさんはカッコよかったな~。フェンリルと言われるだけはある。
「なるほど、ではアート様の凄さがみんなに知れ渡ったというわけですね」
「……僕よりもシエルの方が知れ渡ってると思うけどな」
シエルさんが自慢げに話す。少し嬉しく思ったけど、シエルさんのほうがカッコよかったからな~。
「ん~。じゃあ、他の冒険者に任せればいいか……。私達は少しずつ稼ぐことにするよ。ごめんね」
残念そうに出ていくスティナさん。なんだか申し訳ないな~。とはいえ、お店を留守にするのもダメだしな~。
「アート様。私は反対ですからね。何よりもあなたの命が一番大事ですから」
「あ、うん。ありがとシエル」
あんなことがあった後だから、過保護になってるな~。でも、エマさん以外に心配されたことがないから嬉しい。
「じゃ、お店の準備をしよう」
「はい! 私もやる~」
気を取り直して二人に声をあげる。イーマちゃんが声をあげてポーションを一本一本商品棚に飾っていく。
「アート様、このポーションはルルスさんにあげたものですよね。どこにしますか?」
「えっとAランクのポーションだから窓から見える商品棚に置いておいて」
シエルさんがポーションを見せて聞いてきた。ルルスさんにあげたポーションは落とし物バッグの中にあったAランクのポーション。タダで手に入れたアイテム、ルルスさんみたいな人の力になりたいと思ってあげちゃったんだよな。
「ふふ、アート様は本当に優しいですね」
「え? そんなことないよ」
「Aランクのポーションは金貨1枚はすると思いますよ」
金貨1枚……トロールやゴブリンをあれだけ倒して得られるお金か~。それがこんなポーションで、それもただで得られたものだ。……なんと言うか、それを落としてる人ってどんな人なんだろうな~。そういえば、”落とし物″の定義ってなんなんだろう。少し実験してみようかな。
「ちょっとイーマちゃん。一緒に来てくれる?」
「どうしたのアート様~」
イーマちゃんと共にお店の外に、キッチンにある裏口から出てきた。
「グランドさんが置いていったAランクポーション」
落とし物バッグから取り出していないポーション。これを地面に置く。
「……数は増えてない。離れてもダメか」
落とし物バッグの中を見ても数に変化なし。僕が置いたものじゃダメか、アイテムの所有者が近くにいるとだめ?
後は落とし物バッグを持っている僕じゃダメかだ。
そこでイーマちゃん。
「イーマちゃん。このポーションを地面に置いてみてくれるかな?」
「置くの? これでいい?」
「うん。ありがと」
「えへへ」
頭を撫でてあげると嬉しそうにするイーマちゃん。落とし物バッグの中を見ると数が増えている。ということは町の地面にものが接触すると落とし物として数えられるってことか。
落とし物バッグの所有者以外が地面にものを置くと落とし物として数えられる。改めて、凄いアイテムだな。
「じゃあ、そろそろお店の開店時間だ。戻ろう」
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イーマちゃんと共にお店に戻る。謎が解けてスッキリした。今日も一日頑張るぞ~。
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