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第三章 王都リナージュ

第十五話 ユアンと再会

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「ルークさん、お客様です。ユアン様とクレイラット様です」
「はい・・」

 宿屋に戻ってしばらくすると、グガインさんに案内されてクレイラット様がやってきた。ユアンも一緒のようです。

「兄さんあいたかったよ。なんだか凄いことしたんだって?」
「う~ん、絡まれたからお仕置きしただけなんだけどね」

 グガインさんに案内されて部屋へと入ってきたユアンとクレイラット様、ユアンはすぐに僕の手をとって話しかけてきた。相変わらず甘えん坊だね。

「ユアン君いいかな?」
「あっ、すいません。クレイラット様が兄さん達に謝りたいって」
「えっ」

 クレイラット様が申し訳なさそうにうつむき加減で話してきた。弟子の件ならお仕置きしたから別にいいんだけどな。

「ゴルインの事は目撃者やティリス姫様からきいたよ。強引な方法で君たちを連行して決闘をしたそうだね」

 クレイラット様は片膝をついて謝ってきた。

「光剣シャインが切られたと聞いて私はワクワクしながら聞きに来たのだが、まさか、ゴルインがそんな強引な手を使うとは・・・」

 クレイラット様は結構戦闘狂なのかな。自分が上げた剣が壊れてワクワクして見に来たってことはそう言うことだよね。クレイラット様の話ではゴルインはそんなに強引な人じゃなかったのかな。印象的にはかなり強引な人だと思ったけど。

「ゴルインは私の弟子の中でも一二を争うほど優秀で、人望もあったのだ。だから、私は光剣シャインを渡し、免許皆伝を授けた。会ったばかりの者を蔑み、あまつさえ決闘など、例え、王族の従者を取られたとしても言うようなものではなかったのだが」

 クレイラット様は信じられないといった様子で話している。僕がレベル1だったから必要以上に絡んできたということもあるかもしれないけど確かに普通に考えるとおかしいよね。僕を殺そうとしたのもおかしい、決闘なのだから参ったといわせて終わりでいいはずだもんね。

「僕がレベル1だというのは関係していますか?」
「君はレベル1なのか?まさか、君は1レベルの英雄、1ルーク君なのか。通りで強いわけだ」

 クレイラット様は驚いて話した。僕の通り名は1ルークになっているようです。汚名なのか何なのかわからないけど恥ずかしい。

「ルークと聞いたときにどこかで聞いたことがあると思ったのだが失念していた。弟子にも謝らせるが私からも謝罪する。本当にすまなかった」
「ちょ、クレイラット様、頭を上げてください」

 貴族であるクレイラット様が床に頭をつけて謝ってきた。僕はいたたまれない気持ちになりクレイラット様の肩に手をあてて頭を上げるように促す。

「いや、これはけじめだよ。弟子の不始末は私の不始末、明日とはいかないがゴルインを教育したらすぐにでも謝る場を設ける。その時は、来てくれるか?」
「は~・・・」
「そうか、来てくれるか」

 クレイラット様が僕の気のない返事に対して元気に答える。僕の両手を取ってブンブンと上下させてきました。僕的にはこれ以上城内で目立ちたくないのだけど、クレイラット様に付きまとわれても困るのでうなずいておこう。

「では、私はすぐにでもゴルインを教育しなくてはいけないので失礼させていただく。皆さんも今回はすまなかった」

 クレイラット様はモナーナとルナさんにも頭を下げて謝っている。

 クレイラット様の話ではゴルインの性格が変わっていたと言っていた。僕らはそれを聞いて顔を見合ったんだ。これってノーブルローズの入ったアルテナ様とダブるんだよね。

「兄さんそれは?」
「ああ、レインの枝だよ。ユアンは知らなかったよね。僕らは世界樹を探すために王都に来たんだ」

 僕は気になったのでレインの枝を取り出すとユアンが首をかしげて尋ねてきた。僕は世界樹、ノーブルローズの話とアルテナ様の話をしていく。ユアンは感慨深そうに頷いて納得していた。

「なるほど、アルテナ様が塔の上で花に話しかけていたのはそう言うことだったんだね。メイドや執事の人たちも心配そうに話していたんだよ」

 ユアンはお城の人とも仲良く話していて、そう言う話を聞いていたみたい。

「それでなんで今、枝を取り出したの?ノーブルローズは確保したんでしょ?」
「そうなんだけど、なんかおかしいんだよね」

 ユアンに話しながら僕は枝を取り出してゆっくりと周囲を調べた。枝はお城の方角で強く光った。思った通りだ。

「ルーク光が・・」
「やはり、まだお城にいるみたいですね」

 モナーナとルナさんも思っていた通りのようで頷いていた。ゴルインもおかしいけどそれに従っていた騎士たちも怪しい。アルテナ様のように背中に寄生しているのかもしれない。ゴルインの様子から推測するとアルテナ様のノーブルローズよりも敵対的なノーブルローズなのかもしれない。

「クレイラット様も危ないかもね」
「ユアン、クレイラット様を守ってあげて」
「う~、兄さんも来てよ。母さんもまっているんだからね」
「ええっ、カテジナ叔母さんが僕を待っている?やっぱりカテジナ叔母さんは良い人だったんだね」

 僕は感動して叔母さんを想った。僕を息子と呼んでくれた叔母さん。ああ、僕も会いたい。

「宿屋は借りてしまったけど、お金はいっぱいあるし借りたままにしてユアンの家に行こうか?」
「ルークがいいならいいけど、ルークの叔母さんに会えるんだね。なんだかドキドキする」
「やはり、妾になるには親から・・」

 宿屋は人の迷惑にならないのなら借りたままにしてユアンの家に行こう。モナーナ達に話すとモナーナは胸を抑えて緊張していた。ルナさんは不穏なことをつぶやいていました。僕はそんなにいい物件ではないはずなんだけど。
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