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第一章 

第9話 転生に次ぐ転生

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 宿屋のみんなに祝われて次の日。
 早速転生を済ませる。

 名前 ティル 戦士
 
 レベル 1/5

 HP 350
 MP 290
 
 STR 185
 DEF 180
 DEX 180
 AGI 170
 INT 209
 MND 209

スキル

【解体中級】【戦士下級】【剣士下級】【魔法使い下級】【僧侶下級】

 剣士と戦士の違いはよくわからないけど、これであとは武闘家をやれば全部終わる。
 こういった職業って全部やると何か出てくるはずだ。早く転生して次のものをみたいな。

「ティル~。ご飯だよ~。って凄い体!」

「わっ!? ちょっとフラさん」

 身支度をしているとフラさんがノックもせずに入ってきた。上半身裸の僕をまじまじと見てくる。

「ティルってこんなにいい体だったっけ?」

「そ、そんなこといいから早く出て行ってください!」

「え~。もうちょっといいじゃん」

 ふてくされるフラさん。無理やり部屋の外に出して服を着替える。
 僕の裸見たって何にもならないって言うのにな。

「ティル~。逞しくなったんだって?」

「あ~はい……」

 フラさんがルラさんに報告したみたいだ。
 フラさんと違ってルラさんは嬉しそうに話してくれる。いやらしい感じはしないな。

「フラ~。あんまりティルをいじめるんじゃないよ~」

「お母さんわかってるよ~。それにいじめたわけじゃないよ~。今までの可愛い体と違っていいなって思っただけだよ~。まあ、可愛い体もよかったけどね~」

 ムフフと笑って僕を見つめるフラさん。やれやれとルラさんは呆れてるね。僕も一緒にやれやれだ。

「早くご飯を食べてギルドに行きな。フラに襲われる前にね」

「はい」

「ちょっとお母さん! そんなことしないよ~」

 親子の冗談を聞きながら食事を済ませる。
 すぐにギルドに行って解体を済ませないと、グレンさんが迎えに来ちゃうからね。
 今日の朝食は昨日の僕のお祝いに使われた鶏肉を使ったサラダ。
 緑の野菜にゆでたポテトを添えてほぐした鶏肉がまぶしてある。朝にぴったりの料理だな。
 鳥の骨で出汁を取ったスープもあるから満足満足。

 美味しい朝食を済ませてギルドに向かう。
 いつも通りの街並みだけど、なんだかいつもよりも輝いているように見える。僕が強くなったことで見えるものもかわったのかもしれない。

「おはようティル君」

「おはようございますシーラさん」

 冒険者ギルドに到着するとシーラさんが迎えてくれた。
 ギルドの職員の人達はみんな笑顔で僕を迎えてくれる。
 いつも通りみんなに挨拶をして奥の解体室に入って行く。

「すぐに済ませてグレンさんを待たないと」

 すぐに作業に取り掛かる。このギルドの解体室は僕しか解体が出来る人がいないんだよね。
 昔から僕がやっていたからって言うのもあるんだけど、スキルを持っているって言うのもあってのことなんだけどね。
 手伝ってくれるけど解体じゃなくて運んだりする作業だけだ、解体はどうしてもスキルがあったほうが良いものになりやすいからね。仕方ない。

「よう、ティル」

「あっ、おはようございますグレンさん」

 解体作業をしているとグレンさんが解体室にやってきた。
 
「いつ頃終わりそうだ?」

「えっと、あと十体なので10分ですかね」

「今日は少ないな。何体やったんだ?」

「これで101体ですよ」

「ひゃ! ひゃくいち!?」

 質問に答えるとグレンさんはすっごい驚いてる。いつもの事なんだけどな。

「毎日こんなにやってるのか?」

「はい。僕だけなのでこのくらい早くないと終わらないですよ」

「流石【解体中級】ってことか」

 百一体目の解体を終らせて冷凍室にしまい込みながら答えていると小声でグレンさんが呟いた。なんて言ったのか聞こえなかったけど、頷いておこう。

「ステータスもかなり上がってるな。こりゃ、俺もうかうかしてられないな」

「グレンさんのステータスって気になりますね」

「まあ、61レベルだからな。それなりだろ。王都のグラーデンのギルドには俺みたいなのがゴロゴロいるらしいぞ。ちなみにだが、HPは7000言ってるぞ」

 7000!? 僕の二十倍か~。やっぱりグレンさんは凄いな~。
 うかうかしてられないって言っていたけど、僕がグレンさんを超える時は来るのだろうか?

「じゃあ、上で待ってるからな」

「はい」

 グレンさんはそういって解体室から出ていった。

「ふふ、グレンったら楽しそう」

「あれ? シーラさんいたんですか?」

「最初からいたわよ」

 シーラさんがクスクス笑いながら現れた。
 解体した魔物をしまっておく冷蔵庫の中で見ていたのかな。

「解体してると集中しちゃうのは相変わらずだね。解体した魔物を運んでいたのにも気づかなかったってことだものね」

「あっすみません」

「それなのにグレンにはすぐに気づくんだから。ふふ、なんだか嬉しいわ」

 シーラさんは楽しそうに笑う。グレンさんが楽しそうなのが嬉しいんだろうな。
 女性は好きな人のためにより綺麗になる。シスターもそんなことを言っていたっけかな。
 シーラさんはグレンさんと話している時が一番輝いてるしね。

「これで最後」

「お疲れさまティルくん。あとはやっておくから大丈夫よ」

「ありがとうございます。じゃあお願いします」

 シーラさんとギルドの人達に掃除を任せてすぐにグレンさんのもとへ。
 併設されている酒場で軽く食事を済ませてるグレンさんと合流すると口にサンドイッチを詰め込まれた。

「すぐにいくからな。軽く食べておけ」

「いきなり口に入れないでくださいよ」

 文句を言ってもハハハと笑うだけのグレンさん。
 シーラさんが言っていたように本当に楽しそうで何より。
 だけど急に口にサンドイッチを詰め込まれるのは苦しいからやめてほしい。

「良し、あの洞窟を制覇するぞ」

 グレンさんが意気込んで声をあげる。
 結局ワーウルフが出てきて中には全然入れなかったんだよな~。
 ジェネラルワーウルフがいたってことはもっと数がいると思うんだけど、大丈夫かな?
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