魔法使いと繋がる世界EP2~震災のピアニスト~

shiori

文字の大きさ
75 / 157

第十五話「フォーシスターズ」3

しおりを挟む
「今日はどうだった?」

 リーダーの天里あまりは自室のベッドに座り、リラックスした姿勢でクラス委員長の明人あきとと通話していた。
 明人の声はハンズフリーに切り替えられ天里の耳に届いた。

「いつも通りかな」
「いつも通りじゃわからないだろ」

 普段の報告に上がってくる会話を聞いている限りでは、四人の個人個人の現状は明人には見えづらかった。
 ファンの前での活動となるとその特徴はデータとしてもよく分かるが、こうしていると普通の女の子と少し外見がいいだけでそれほど変わらないと、明人は思っていた。

「うーん、どうなのかしらね。本番までにはなんとかなるんじゃない」

 年相応の女子が抱く悩みもあるだろうと思いつつも、天里の会話はあまりに内容のないもので、余計に明人は現状把握に困っていた。

「心配だな」
「そうね、みんな疲れもあるから、本番前くらいは休み入れた方がいいかも」
「リズの遅れはいいのか?」

 明人もリズの遅れは無視できず天里に聞いた。

「そこは本人の頑張り次第でしょ。どうしても気になるならあなたが聞けばいいんじゃない? ああ見えて、あなたに興味あるかもよ?」
「茶化すなよ、そんなこと一ミリも思ってないくせに」
「くすくす……本当あなたって不気味なくらい真面目なんだから」

 目まぐるしく過ぎる毎日の中で、天里も疲れていた。
 明人は天里の苦労をひしひしと感じていて、浮いた話をする余裕はなかった。
 
「俺からも声掛けはするが、頼むから仲良くしてくれよ、本番近いんだからさ」

(リズが明人に悩みを相談するなら、それは相当だろうけど、あの子に言える勇気があるわけないわよね)

 リズは奥手で、男相手だと本音なんて言えないと天里は分かっていた。
 だからこそ、天里は余裕を持って明人と接することが出来た。

「分かってるわよ、言われなくても」

 天里は感情的にそれだけを伝えて通話を切る。
 ベッドに横たわると途端に眠気が襲ってきた。
 スマホの時計を見ると気付けば今日もまた日を跨いでしまっている。
 天里は板挟みのような形になるのは面倒で考えるのも疲れてしまっていた。


「自分達だけで練習すると言っておいて、勝手なやつ」

 通話が切れた後で、明人は溜まっていた愚痴を我慢できなかった。
 
 こうして、事態は改善する気配を見せないまま、フォーシスターズはこのままリハーサルの日へと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい

葉方萌生
ライト文芸
淡路島で暮らす28歳の城島朝香は、友人からの情報で元恋人で俳優の天ヶ瀬翔が島に戻ってきたことを知る。 絶妙にすれ違いながら、再び近づいていく二人だったが、翔はとある秘密を抱えていた。 過去の後悔を拭いたい。 誰しもが抱える悩みにそっと寄り添える恋愛ファンタジーです。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

処理中です...