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来る日も来る日も、ロボットは歩き続けた。
ガ、ガチャン、ガ、ガチャン。
ガ、ガチャン、ガ、ガチャン。
「最近、足の動きに引っかかりを感じるようになって来たな」
歩き続けることで、ロボットは完成するのだろうと思っていた。
「博士の言う通りにしているのに、カラダはボロボロになっていってる」
博士が、まだ完成していないと言っていた。歩き続けたら、いつかはわかる時が来るかも知れないと言っていた。今、ロボットが、確実に解っていることは完成するどころか、カラダが壊れかけているということだった。
足の根元に空いた穴は、雨や潮風の影響を受けて、少しずつ大きくなっていた。雨や潮風にあたれば、ブリキは錆て来る。カラダの外側は、毎日ロボットが磨いていたため、ピカピカしていた。だけど小さな穴でも、雨や潮風は浸透していく。少しずつ、少しずつロボットのカラダの中は、錆ていった。
歯車が、軋む。ボルトが緩む。ゆっくり、ゆっくりとカラダの中は、壊れていった。
これ以上にカラダが壊れないように、取り敢えず穴を粘土で塞いだ。
「また、失敗したな。カラダが動かなくなったら、歩けなくなってしまう」
ロボットは、博士が残した言葉を考える。未完成だという意味は、どういうことなんだろう。博士からは、いろいろなことを教わり、学んだ。できることもいっぱいできた。頼まれた仕事は、いつでも完璧だった。それでも博士は、未完成なのだと言い続けた。
「おはよう、ロボットさん」
「………」
「今日は、良い天気だね」
「………」
ギギ、ガチャン、ギギ、ガチャン。
道を歩けば、いろいろな動物たちとすれ違う。歩き続けるロボットに、こうをかける動物たちもいる。
だけど、言葉を返すことなくロボットは、歩き続けた。
歩き始めた頃は、軽やかに動いていた足も、今は歯車が噛み合わずスムーズに動かない時もある。カラダがこれ以上動かなくなることだけは、避ける必要があった。
「うん、雨が降る日は歩くことを休んだ方が良い」
ロボットは、歩き続けることをやめた。天気によっては、カラダを休めるという事を学習したからだった。
カラダのあちこちからキシキシと、軋む音が聞こえるようになってきた。最初は、足の根元だけだったが、肩や腕などもキシキシと音がする。今までのように、歩き続けることが出来る状態ではなかった。
「完成するために歩いているのに、このままでは先に壊れてしまう」
ただ、黙々と歩き続けることが出来なくて、カラダに負担をかけない様にゆっくりと歩くようになっていた。そのためか、いろいろな事を考える時間も増えた。ゆっくり歩くため、周りの景色を見ることもあった。
ふと脇道を見ると、どこからか飛ばされてきた麦わら帽子が落ちていた。
「誰かの落とし物かな?」
麦わら帽子を拾って見ると、ずいぶん前から落ちていたのか小さな穴がいっぱい空いていた。ロボットが、麦わら帽子をくるくる回しながら見ていると、小鳥が肩に止まって話しかけてきた。
「ロボットさん、素敵な丸い物なんだなコレ」
小鳥は、ロボットが手に持っている麦わら帽子が、とても気に入った様子でさらに話しかけてきた。
「ロボットさん、それを裏返して欲しいんだなコレ」
ロボットは、小鳥の言う通りにひっくり返す。肩に乗っていた小鳥は、ロボットの腕をトコトコと歩いて、帽子の中に座り込んだ。
ガ、ガチャン、ガ、ガチャン。
ガ、ガチャン、ガ、ガチャン。
「最近、足の動きに引っかかりを感じるようになって来たな」
歩き続けることで、ロボットは完成するのだろうと思っていた。
「博士の言う通りにしているのに、カラダはボロボロになっていってる」
博士が、まだ完成していないと言っていた。歩き続けたら、いつかはわかる時が来るかも知れないと言っていた。今、ロボットが、確実に解っていることは完成するどころか、カラダが壊れかけているということだった。
足の根元に空いた穴は、雨や潮風の影響を受けて、少しずつ大きくなっていた。雨や潮風にあたれば、ブリキは錆て来る。カラダの外側は、毎日ロボットが磨いていたため、ピカピカしていた。だけど小さな穴でも、雨や潮風は浸透していく。少しずつ、少しずつロボットのカラダの中は、錆ていった。
歯車が、軋む。ボルトが緩む。ゆっくり、ゆっくりとカラダの中は、壊れていった。
これ以上にカラダが壊れないように、取り敢えず穴を粘土で塞いだ。
「また、失敗したな。カラダが動かなくなったら、歩けなくなってしまう」
ロボットは、博士が残した言葉を考える。未完成だという意味は、どういうことなんだろう。博士からは、いろいろなことを教わり、学んだ。できることもいっぱいできた。頼まれた仕事は、いつでも完璧だった。それでも博士は、未完成なのだと言い続けた。
「おはよう、ロボットさん」
「………」
「今日は、良い天気だね」
「………」
ギギ、ガチャン、ギギ、ガチャン。
道を歩けば、いろいろな動物たちとすれ違う。歩き続けるロボットに、こうをかける動物たちもいる。
だけど、言葉を返すことなくロボットは、歩き続けた。
歩き始めた頃は、軽やかに動いていた足も、今は歯車が噛み合わずスムーズに動かない時もある。カラダがこれ以上動かなくなることだけは、避ける必要があった。
「うん、雨が降る日は歩くことを休んだ方が良い」
ロボットは、歩き続けることをやめた。天気によっては、カラダを休めるという事を学習したからだった。
カラダのあちこちからキシキシと、軋む音が聞こえるようになってきた。最初は、足の根元だけだったが、肩や腕などもキシキシと音がする。今までのように、歩き続けることが出来る状態ではなかった。
「完成するために歩いているのに、このままでは先に壊れてしまう」
ただ、黙々と歩き続けることが出来なくて、カラダに負担をかけない様にゆっくりと歩くようになっていた。そのためか、いろいろな事を考える時間も増えた。ゆっくり歩くため、周りの景色を見ることもあった。
ふと脇道を見ると、どこからか飛ばされてきた麦わら帽子が落ちていた。
「誰かの落とし物かな?」
麦わら帽子を拾って見ると、ずいぶん前から落ちていたのか小さな穴がいっぱい空いていた。ロボットが、麦わら帽子をくるくる回しながら見ていると、小鳥が肩に止まって話しかけてきた。
「ロボットさん、素敵な丸い物なんだなコレ」
小鳥は、ロボットが手に持っている麦わら帽子が、とても気に入った様子でさらに話しかけてきた。
「ロボットさん、それを裏返して欲しいんだなコレ」
ロボットは、小鳥の言う通りにひっくり返す。肩に乗っていた小鳥は、ロボットの腕をトコトコと歩いて、帽子の中に座り込んだ。
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