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14 ジャパニーズボブテイル

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「えっと…ただいま?」

朱丸の突進から、ようやく立ち直った佐久夜は、仁王立ちで佐久夜を見つめる神さまと朱丸に気がついた。

「うむ、ちと遅いと思い、迎えに来たぞ。妖に誑かされよって」
「佐久夜兄ちゃん、僕たちが来なかったら、ヤバかったんだからな」

足元に転がる黒猫。佐久夜の記憶に残っている。組み紐から逃れようと、未だに暴れ続けている。

佐久夜は、黒猫を抱き上げた。

「気軽に触るにゃ!人間臭くなるにゃ」
「喋った…」
「その獣は、猫又ぞ」

散々、足元に擦り寄ってきておきながら、人間臭くなるから触るなとは、流石ニャンコ。佐久夜は、猫又と聞き、猫のお尻を覗く。佐久夜自身、猫又は尻尾が二本と認識していた。

「おっと、ジャパニーズボブテイル」

黒猫の尻尾は、とても短く。お団子の様な尻尾が二本、お尻に生えていた。猫又といっても、必ずしも尻尾が長いわけではないらしい。

「おまえ、今、おいらの尻尾を見て、笑ったにゃ!!」

ムキーっと怒り出す猫又。短い尻尾は、猫又にとってコンプレックスの一つだったらしい。

「うんにゃ、もの凄く可愛いって思ったんだよ」
「可愛い?おいらが?」

可愛いと言われ、急に猫又は大人しくなる。

「なぁ、神さま、とりあえず、この猫又、社に連れて帰っても良いか?」
「うむ?猫又なんぞ連れて帰ってどうするのだ?」
「嫌いな人間に擦り寄ってご飯貰おうとするくらいだ、お前野良だろ?」
「野良とは、失敬にゃ!オイラは、自由が好きなだけにゃ」

叫ぶ猫又の訴えは、無視をして佐久夜は【貮号】のカゴに猫又を乗せた。

「朱丸、腹減ったな。早く帰ろう」

猫又に少しヤキモチを妬いて、佐久夜の腕にしがみ付く朱丸に声をかけて、佐久夜たちは社に帰っていった。

「佐久夜兄ちゃん、僕の事、要らなくならない?」

帰り道、朱丸は心配そうに佐久夜に尋ねる。

「朱丸は、大事な相棒だよ。要らなくなんてならないよ。迎えに来てくれてありがとうな」

改めて、佐久夜の気持ちを聞き、朱丸は嬉しそうに佐久夜の周りを漂っていた。

「佐久夜よ、我は、腹が減ったぞ。早く海老フライを相伴に預かるぞ」
「はいはい」
「佐久夜兄ちゃん、僕は赤ウインナーが食べたい!」
「わかったよ」

三人のやり取りを聞いて、猫又はニヤリとほくそ笑んだ。



「なんだコレ!!!赤ウインナー先っぽしか無い!」
「うおぉぉぉ!佐久夜、どういう事じゃ、尻尾しかないぞ、尻尾しかないではないかぁ!!コレではタルタルを楽しめぬぞ!」

弁当箱を開け、中身を見て項垂れる神さまと朱丸。

「あれ…おかしいな。俺の記憶では、唐揚げ個、海老フライ二本、赤ウインナー二本残ってたんだけどなぁ」

改めて明るいところで見た、猫又の口髭の周りは、海老フライの衣や油でギトギトに光っていた。

「美味かったにゃ」

ぐるぐる巻きにされた猫又は、ペロリと舌を出して、口の周りを舐めとった。

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