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18 猫又の思い その3
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土曜日の朝。学校が休みのため、いつもより遅く起床をする。土間に行くと、猫又は気持ちよさそうに座布団の上で丸くなって眠っている。
「佐久夜兄ちゃん、おはよう!」
「おはよう!朱丸」
学校が休みの日は、時間に余裕があるため、ゆっくりと朝ご飯の準備をする。先日フライパンを購入したため、朱丸の好物である赤いウインナーを焼いてやると弁当屋のおかずよりも美味しいと絶賛されてしまった。焼きたてという事だけなのだけど、あまりにも朱丸が、喜ぶため少し恥ずかしかった。
神さまは、相変わらずマヨネーズに執着している。佐久夜は、目玉焼きには醤油派だが、神さまはやっぱりマヨネーズ派だった。せっかくフライパンを買ったので、お好み焼きを焼いて、ソースとマヨネーズをたっぷり塗ってやろうと考えている。
猫又は、やっぱり猫と一緒で、熱いのは苦手らしい。ペットショップで試供品のカリカリをもらったため、食べてみるかと聞いてみると、思いっきり嫌な顔をされてしまった。
「オイラは猫とは違う!」
プイっと顔を背けて拗ねてしまった為、佐久夜が食べる食事と同じ食事を用意している。
ただ、興味があった為、またたびの木を渡すと恍惚の表情で、ベロンベロンに酔っ払ってしまった。
やっぱり猫だと佐久夜は、思った。
朝食を終え、佐久夜は溜まった洗濯物を洗っていく。清水で洗えば、新品同然に衣服が蘇る為、洗剤要らずで洗濯は楽だった。
洗濯を終え、佐久夜は温かい緑茶を淹れ縁側で一息つく。この時間が、一番贅沢で幸せだと思っている。
神さまにも小さなお猪口にお茶を淹れ、一緒に日向ぼっこをする。
「あぁ、幸せだ」
「うむ、悪くはないのう」
空を見上げると、晴れやかな青空が広がり、心地良い。ゆっくりと瞳を閉じて、お日様を肌で感じていた。
ふと、膝の上に重みを感じ、佐久夜は目を開けた。
のしりと佐久夜の膝の上で丸くなる猫又が乗っている。佐久夜は、嬉しくなって、猫又の喉を撫でてやった。
猫又は、クルクルと気持ち良さそうに喉を鳴らす。神さまも面を少し上に上げ、優しく微笑むと、ズズッと緑茶を啜った。
「オイ、オイラにも名前を名付けるにゃ」
「え!?」
猫又は、ゴロンと腹を見せながら、上から目線で名付けを強請る。
「ほほう、猫又よ、それはどういう意味じゃ?」
佐久夜が、びっくりしていると、神さまは少し意地悪く猫又に尋ねた。
「このちんちくりんな神が張る結界は弱いにゃ」
「結界が弱い?」
「壁が脆い、狛犬も崩れ、結界ボロボロにゃ!」
「うむ、我は名もなき神じゃ。仕方がなかろう」
力がないと言われ、当たり前のように受け止める神さまに、佐久夜は少し悔しさを覚える。
「それは、俺に神使として役に立ってないと言うことか?」
「驕るにゃ佐久夜!おまえは人間にゃ!」
少し猫又の毛を力強く握ってしまった佐久夜の手を、パシリと猫又が叩いた。だけど、爪は立っておらず、優しい猫パンチだと佐久夜は思った。
「オイラが、神さまの足りにゃい結界に、なってやるにゃ!だから、おまえは、オイラに名を授けるにゃ」
「うむ、朱丸と同じく猫又もお主と契約がしたいらしいぞ」
「うるさいにゃ!このちんちくりん!」
神さまからの指摘に牙を剥く猫又。佐久夜は思わずキョトンとしてしまった。
「我は、知っておるぞ。ツンのデレというのじゃろう?」
神さまは、楽しそうに猫又を挑発した。
「ハハッ!アハハハハハハ!」
佐久夜は、嬉しくなって、両手でわしゃわしゃと猫又を撫で回した。
「わかった、お前の名は朧だ!夜に浮かぶ朧月。お前と出逢った時の夜空に浮かんでいた月だ!まるでお前みたいだろ?」
猫又は、大きく目を見開いた。
「朧!確かにその名を受け取ったにゃ!」
名付けが終わると、境内に強風が吹いた。佐久夜が目を閉じる、風が止んだのを感じると、ゆっくり瞳を開けた。
神社に張り巡らせた壁は、どこもかしこも真新しく変貌し、頭の崩れ落ちた狛犬は、猫又の姿に様変わりしていた。
「佐久夜兄ちゃん!何だ!何が起こったんだ!」
朱丸の大きな叫び声が、神社に響き渡った。
「佐久夜兄ちゃん、おはよう!」
「おはよう!朱丸」
学校が休みの日は、時間に余裕があるため、ゆっくりと朝ご飯の準備をする。先日フライパンを購入したため、朱丸の好物である赤いウインナーを焼いてやると弁当屋のおかずよりも美味しいと絶賛されてしまった。焼きたてという事だけなのだけど、あまりにも朱丸が、喜ぶため少し恥ずかしかった。
神さまは、相変わらずマヨネーズに執着している。佐久夜は、目玉焼きには醤油派だが、神さまはやっぱりマヨネーズ派だった。せっかくフライパンを買ったので、お好み焼きを焼いて、ソースとマヨネーズをたっぷり塗ってやろうと考えている。
猫又は、やっぱり猫と一緒で、熱いのは苦手らしい。ペットショップで試供品のカリカリをもらったため、食べてみるかと聞いてみると、思いっきり嫌な顔をされてしまった。
「オイラは猫とは違う!」
プイっと顔を背けて拗ねてしまった為、佐久夜が食べる食事と同じ食事を用意している。
ただ、興味があった為、またたびの木を渡すと恍惚の表情で、ベロンベロンに酔っ払ってしまった。
やっぱり猫だと佐久夜は、思った。
朝食を終え、佐久夜は溜まった洗濯物を洗っていく。清水で洗えば、新品同然に衣服が蘇る為、洗剤要らずで洗濯は楽だった。
洗濯を終え、佐久夜は温かい緑茶を淹れ縁側で一息つく。この時間が、一番贅沢で幸せだと思っている。
神さまにも小さなお猪口にお茶を淹れ、一緒に日向ぼっこをする。
「あぁ、幸せだ」
「うむ、悪くはないのう」
空を見上げると、晴れやかな青空が広がり、心地良い。ゆっくりと瞳を閉じて、お日様を肌で感じていた。
ふと、膝の上に重みを感じ、佐久夜は目を開けた。
のしりと佐久夜の膝の上で丸くなる猫又が乗っている。佐久夜は、嬉しくなって、猫又の喉を撫でてやった。
猫又は、クルクルと気持ち良さそうに喉を鳴らす。神さまも面を少し上に上げ、優しく微笑むと、ズズッと緑茶を啜った。
「オイ、オイラにも名前を名付けるにゃ」
「え!?」
猫又は、ゴロンと腹を見せながら、上から目線で名付けを強請る。
「ほほう、猫又よ、それはどういう意味じゃ?」
佐久夜が、びっくりしていると、神さまは少し意地悪く猫又に尋ねた。
「このちんちくりんな神が張る結界は弱いにゃ」
「結界が弱い?」
「壁が脆い、狛犬も崩れ、結界ボロボロにゃ!」
「うむ、我は名もなき神じゃ。仕方がなかろう」
力がないと言われ、当たり前のように受け止める神さまに、佐久夜は少し悔しさを覚える。
「それは、俺に神使として役に立ってないと言うことか?」
「驕るにゃ佐久夜!おまえは人間にゃ!」
少し猫又の毛を力強く握ってしまった佐久夜の手を、パシリと猫又が叩いた。だけど、爪は立っておらず、優しい猫パンチだと佐久夜は思った。
「オイラが、神さまの足りにゃい結界に、なってやるにゃ!だから、おまえは、オイラに名を授けるにゃ」
「うむ、朱丸と同じく猫又もお主と契約がしたいらしいぞ」
「うるさいにゃ!このちんちくりん!」
神さまからの指摘に牙を剥く猫又。佐久夜は思わずキョトンとしてしまった。
「我は、知っておるぞ。ツンのデレというのじゃろう?」
神さまは、楽しそうに猫又を挑発した。
「ハハッ!アハハハハハハ!」
佐久夜は、嬉しくなって、両手でわしゃわしゃと猫又を撫で回した。
「わかった、お前の名は朧だ!夜に浮かぶ朧月。お前と出逢った時の夜空に浮かんでいた月だ!まるでお前みたいだろ?」
猫又は、大きく目を見開いた。
「朧!確かにその名を受け取ったにゃ!」
名付けが終わると、境内に強風が吹いた。佐久夜が目を閉じる、風が止んだのを感じると、ゆっくり瞳を開けた。
神社に張り巡らせた壁は、どこもかしこも真新しく変貌し、頭の崩れ落ちた狛犬は、猫又の姿に様変わりしていた。
「佐久夜兄ちゃん!何だ!何が起こったんだ!」
朱丸の大きな叫び声が、神社に響き渡った。
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