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41 人魂
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「うわぁ!」
突然、京平が、大声で叫んだ。佐久夜が振り返ると、尻餅をついた京平の側を掠め、ゆらゆらと青い火の玉が、通り過ぎて行く。
火の玉は、そのまま佐久夜たちの進行している方向に漂い、茂みの向こう側へと消えていった。
「びっくりしたぁ!いきなり顔の側を通って行くんだもん」
京平は、直ぐに立ち上がり、パンパンと自分の尻を叩く。
「アレに京平さまは、成られるはずだったんですぞ」
「マジ?……アレって人魂?」
「作用でございまする。ここは、人在らざるものが棲まう世でございますからな。カッカッカッカッ」
浅葱は、声高々に笑っていたが、京平にとって、何となく、朧に助けられた事は、理解していただけに衝撃の事実だった。ウルウルと目を潤ませると、京平は朧に抱きついた。
「朧センセ!ありがとう!!俺、まだ生きてるよ!!」
「にゃー!ウザい!うるさい!離すにゃ!」
腕を突っぱね踠き、京平から逃れようと朧は暴れた。
「さあ、お遊びはこれくらいにしましょう。佐久夜さま、京平さま、八つ手の面をしっかりと被ってくださいますか?」
浅葱が、真剣な表情で、二人に注意を促す。佐久夜も京平もコクリと頷き、八つ手の面をしっかり被った。
「最後の茂みを抜けますぞ」
浅葱の腕が、目の前の茂みをかき分けた。浅葱、朱丸、佐久夜、京平、朧と順番に茂みを抜けた。
一本の幅広く舗装されていない道。真っ暗な空に赤い月。先程見た人魂が、一本の列を作り、道を進んで行く。どこまで続いているのか、先は見えない。ただ、同じように茂みから、一つ、また一つと人魂が現れては、列に並んで行った。
「佐久夜さまと京平さまは、絶対に声を出さないようにしてくださいね。特に、京平さまは、一言も喋ってはいけませんよ」
「浅葱どん、僕は喋っても大丈夫?」
「はい、朱丸さまは、妖ですので大丈夫です。お二人は、朧さまの幻術で、姿を変えておりますので、声を発すれば、それだけ術が弱くなり看破されますぞ」
佐久夜と京平は、コクコクと頷き、了承の旨を伝えた。
道には、佐久夜たちが、まだ見た事もない妖も歩いている。道の脇には、露店もあり、妖たちで賑わいを見せた。
オカルトマニアの京平でなくても、見知らぬ風景に興味が湧いてしまうのは、仕方がない。
気になるところは、浅葱の袖を引いて、指差して説明してもらっていた。
「アレらは、以前の俺と同じように、野良の妖ですぞ。露店で、人魂を吟味しているんですぞ」
「吟味?」
「はい、あそこを見てくだされ」
浅葱は、そっと列の後方を指差した。佐久夜と京平は、ゆっくり後ろを振り返った。
一つだけ大きな人魂が、並んでいた。大きな人魂は、ゆっくりと列のからはみ出し、地面に落ちた。地面に落ちるとさらに大きく輪郭が歪んでいった。
周りの露店から見ていた妖が、ワラワラとその人魂の周りに集まり出すと、妖同士の殴り合いが始まった。一人、また一人、妖が弾き飛ばされる。弾き飛ばされた妖は、大人しく露店に戻って行った。
激しく殴り合いが始まったため、佐久夜と京平は、お互いの声が出ないように、口を抑え耐えていた。
「アレらは、競をしているのですぞ。以前は、俺も競に参加しておりましたので……」
浅葱は、頭をぽりぽりと掻き話してくれる。説明の間に、競り落とした妖が、決まったようで、浅葱が再び指を挿した。
「落札は、あの青鬼のようですぞ」
青鬼は、大きな人魂の側に、胡座をかいて座り込んだ。
突然、京平が、大声で叫んだ。佐久夜が振り返ると、尻餅をついた京平の側を掠め、ゆらゆらと青い火の玉が、通り過ぎて行く。
火の玉は、そのまま佐久夜たちの進行している方向に漂い、茂みの向こう側へと消えていった。
「びっくりしたぁ!いきなり顔の側を通って行くんだもん」
京平は、直ぐに立ち上がり、パンパンと自分の尻を叩く。
「アレに京平さまは、成られるはずだったんですぞ」
「マジ?……アレって人魂?」
「作用でございまする。ここは、人在らざるものが棲まう世でございますからな。カッカッカッカッ」
浅葱は、声高々に笑っていたが、京平にとって、何となく、朧に助けられた事は、理解していただけに衝撃の事実だった。ウルウルと目を潤ませると、京平は朧に抱きついた。
「朧センセ!ありがとう!!俺、まだ生きてるよ!!」
「にゃー!ウザい!うるさい!離すにゃ!」
腕を突っぱね踠き、京平から逃れようと朧は暴れた。
「さあ、お遊びはこれくらいにしましょう。佐久夜さま、京平さま、八つ手の面をしっかりと被ってくださいますか?」
浅葱が、真剣な表情で、二人に注意を促す。佐久夜も京平もコクリと頷き、八つ手の面をしっかり被った。
「最後の茂みを抜けますぞ」
浅葱の腕が、目の前の茂みをかき分けた。浅葱、朱丸、佐久夜、京平、朧と順番に茂みを抜けた。
一本の幅広く舗装されていない道。真っ暗な空に赤い月。先程見た人魂が、一本の列を作り、道を進んで行く。どこまで続いているのか、先は見えない。ただ、同じように茂みから、一つ、また一つと人魂が現れては、列に並んで行った。
「佐久夜さまと京平さまは、絶対に声を出さないようにしてくださいね。特に、京平さまは、一言も喋ってはいけませんよ」
「浅葱どん、僕は喋っても大丈夫?」
「はい、朱丸さまは、妖ですので大丈夫です。お二人は、朧さまの幻術で、姿を変えておりますので、声を発すれば、それだけ術が弱くなり看破されますぞ」
佐久夜と京平は、コクコクと頷き、了承の旨を伝えた。
道には、佐久夜たちが、まだ見た事もない妖も歩いている。道の脇には、露店もあり、妖たちで賑わいを見せた。
オカルトマニアの京平でなくても、見知らぬ風景に興味が湧いてしまうのは、仕方がない。
気になるところは、浅葱の袖を引いて、指差して説明してもらっていた。
「アレらは、以前の俺と同じように、野良の妖ですぞ。露店で、人魂を吟味しているんですぞ」
「吟味?」
「はい、あそこを見てくだされ」
浅葱は、そっと列の後方を指差した。佐久夜と京平は、ゆっくり後ろを振り返った。
一つだけ大きな人魂が、並んでいた。大きな人魂は、ゆっくりと列のからはみ出し、地面に落ちた。地面に落ちるとさらに大きく輪郭が歪んでいった。
周りの露店から見ていた妖が、ワラワラとその人魂の周りに集まり出すと、妖同士の殴り合いが始まった。一人、また一人、妖が弾き飛ばされる。弾き飛ばされた妖は、大人しく露店に戻って行った。
激しく殴り合いが始まったため、佐久夜と京平は、お互いの声が出ないように、口を抑え耐えていた。
「アレらは、競をしているのですぞ。以前は、俺も競に参加しておりましたので……」
浅葱は、頭をぽりぽりと掻き話してくれる。説明の間に、競り落とした妖が、決まったようで、浅葱が再び指を挿した。
「落札は、あの青鬼のようですぞ」
青鬼は、大きな人魂の側に、胡座をかいて座り込んだ。
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