90 / 95
90 奉納祭
しおりを挟む
佐久夜は、磨けば磨く程、光沢を増すため、黙々と作業に没頭していた。
裏も表も、装飾の細部まで丁寧に磨き上げ、佐久夜自身も満足できる仕上がりになったと思っていた。
「ふぅっ」
一息ついて、視線を上げた佐久夜は、皆が注目して作業を見守っていたことに始めて気がついた。
「な、何?声をかけてくれても良かったのに?」
周りを見渡して言う佐久夜に、京平は左右に首を振った。
「違うよ。佐久夜が、凄すぎて、みんな見惚れてたんだ。お前、気づいていないだろ?」
「佐久夜兄ちゃん、かっこよかった」
「見事な腕前でござりまする」
京平に続き、浅葱、朱丸も首を縦に振って褒め称えた。
神さまも嬉しそうに、朧の背に乗って微笑んでいた。
「ちんちくりん、あれ以上の鏡はないにゃ」
「うむ。佐久夜よ。大義であった。その鏡こそ、我が求める鏡ぞ」
皆に褒められて、一気に頬が紅潮していった。
「いや、そんな…でも…いやいやいやいや、俺だけじゃなくて、みんなが助けてくれた結果であって、俺だけじゃ、ここまでできなかったからさぁ」
真っ赤な顔をして、皆から視線を反らしていった。
「朧、七日後の陽中の陽に奉納祭の開催の言伝を頼む」
「任せるにゃ」
神さまは、朧の背から降りると朧はドロンと霞になってその場から消えた。
「奉納祭?」
「うむ、我が神使佐久夜による我への鏡奉納の儀とする。何、我は名もなき神じゃ。仰々しくはならぬ故、安心するのじゃ」
「ええ!?」
驚く佐久夜を他所に、お祭りと聞いて京平や朱丸、浅葱は手を取り合って喜んだ。
「佐久夜よ。我は、後七日。楽しみにしておるぞ」
神さまは、そう言い残し作業場を出ていった。
「京平、何でお前が、そんなに喜んでるんだよ」
「祭だろ、楽しいじゃんか。めでたいことは、何だって楽しいものと決まってる」
京平は、そう言い切ってガハガハと笑った。
そして、七日後、この神社での初めての祭事が執り行われる。
裏も表も、装飾の細部まで丁寧に磨き上げ、佐久夜自身も満足できる仕上がりになったと思っていた。
「ふぅっ」
一息ついて、視線を上げた佐久夜は、皆が注目して作業を見守っていたことに始めて気がついた。
「な、何?声をかけてくれても良かったのに?」
周りを見渡して言う佐久夜に、京平は左右に首を振った。
「違うよ。佐久夜が、凄すぎて、みんな見惚れてたんだ。お前、気づいていないだろ?」
「佐久夜兄ちゃん、かっこよかった」
「見事な腕前でござりまする」
京平に続き、浅葱、朱丸も首を縦に振って褒め称えた。
神さまも嬉しそうに、朧の背に乗って微笑んでいた。
「ちんちくりん、あれ以上の鏡はないにゃ」
「うむ。佐久夜よ。大義であった。その鏡こそ、我が求める鏡ぞ」
皆に褒められて、一気に頬が紅潮していった。
「いや、そんな…でも…いやいやいやいや、俺だけじゃなくて、みんなが助けてくれた結果であって、俺だけじゃ、ここまでできなかったからさぁ」
真っ赤な顔をして、皆から視線を反らしていった。
「朧、七日後の陽中の陽に奉納祭の開催の言伝を頼む」
「任せるにゃ」
神さまは、朧の背から降りると朧はドロンと霞になってその場から消えた。
「奉納祭?」
「うむ、我が神使佐久夜による我への鏡奉納の儀とする。何、我は名もなき神じゃ。仰々しくはならぬ故、安心するのじゃ」
「ええ!?」
驚く佐久夜を他所に、お祭りと聞いて京平や朱丸、浅葱は手を取り合って喜んだ。
「佐久夜よ。我は、後七日。楽しみにしておるぞ」
神さまは、そう言い残し作業場を出ていった。
「京平、何でお前が、そんなに喜んでるんだよ」
「祭だろ、楽しいじゃんか。めでたいことは、何だって楽しいものと決まってる」
京平は、そう言い切ってガハガハと笑った。
そして、七日後、この神社での初めての祭事が執り行われる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる