結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
36 / 170
第二部第一章 ベリズリー

光灯火

しおりを挟む
 彼女は不安定な言い方をして、私には意味がわからなくなった。
 けど、アンには重要なことなのだろう。
 人の心とか考えを否定する気がないから、どんな意味か分からないけれど、問い詰める必要は今はない。

「ミアたち、前を見てみろ。灯火がベリズリーの前の前の村で光ってるぞ」

 プランスは指を差す。
 その先を見ると、賑やかな、灯火が見えて元の村のことを思い出してしまった。
 今頃、リーナは何をしているのだろうっていうふうに思い出してしまう。
 まるでフラッシュバックのように思い出す。
 村の時だけの記憶だ。木の囁きも聞こえてきて、何か歌でも唄いたい気分に変化する。
 何が何だかわからないのはどうしてだろうか、歌を唄いたい気分になった。
 本を片手に持ちながら、ミルク多めの、コーヒーを片手に持って、三口飲む。恐らく、これが日常だったからだろう。
 まあそれも一ヵ月程の日常とルーティン、だったのだが。

「プランス、いや上位聖騎士様、今日はあの村でお休みになるのでしょうか?」

 なぜか、彼女はプランスを上位聖騎士様と呼んだ。恐らく、そういう時間帯なのだろう。
 少し疑問に思いながらも、彼を抱きしめる。
 優しい温もりに浸るとようやく、私はこの暗闇の中を照らす月に気付けた。
 今日は満月ではない、けれど三日月という綺麗な月が上がっていた。
 
 今日は三日月が私たちを、生き延びさせる唯一の光だ。

「まあそのつもりだ」

 三日月がだんだんと姿表す時に私はいつも感動していたが、子供の頃はお母様の私情により、三日月が姿を表す瞬間を見たことがなかった、

「上位聖騎士様は、この地に詳しいのですか?」

「ぼちぼちって感じだ。本当に よく知ってるのは、ベリズリーだけだ」

 プランスの言葉を聞いていると、妙に引っかかる部分があったけど、一旦落ち着き、続きの話を耳に通す。

「でもそれなら尚更どうして知っているのですか?」

「べつに、ただ知ってるだけさ」

 プランスは頑なに教えてくれそうにないような言い方をした。 
 そんな時、シルバーがふうんとため息をつく。
 そういえば、さっきから言葉を喋らない。もしかしたらまだ得体の知れない、アンがいるからかもしれない。

「プランスはもしかして、ベリズリーで生まれたのかも?」

「ミア、それはあるかもしれませんね」

 アンが私の横に飛びながら並ぶと、そう言った。
 何やら親近感があるのかもしれない。
 まさか聖騎士の少女とこうして旅ができるなんて思っていなかったから嬉しい。

「ふうん。お前らかってに仮想を立てやがってぇえ」

 なんんだか不機嫌そうな顔をする彼のことを見ていると、もう村に着いてしまった。
 名前はベリズーという名前らしい。
 少し変だと思いながらも、シルバーは村の門をくぐり、中に入ると、片手にはエールを持っている、男性達が団欒に会話していた。
 なんの話をしているのかは、酔っ払いの話し声なので、分からなかった。

「なかなか、お酒臭いですね。ミアは私が守りましょう!」

 何かと過保護かと思ってしまったけど、彼女も一人前の聖騎士だ、守るということは無意識にしてしまうのだろう。
 けど、私と共に旅するというのは、常に戦場に居るようなものだ。
 だから、私も死ぬ覚悟で旅している。
 いつ、ルカが遥か彼方から来るか分からないし。
 ルカが来たら多分全員死んでしまうことだろう、それほどにもルカは強い。
 例えば、昔ダンジョンを一緒にクリアした時、彼が全ての魔獣を狂おしいほどに倒した。
 
 あの時はやはり、恐怖だった。
 理由は目の前のもの全てが消滅していくからだ、まるで最初っからいなかったように、魔獣は死んでいく。
 
 そんな事を考えていると、宿に着いたらしい。

「っでここで本当にあってるの?」

 彼女が宿に入ると壮絶な顔をして、出てきた。
 相当中が壮絶なのだろう。
 そう思って、プランスを見ると、笑っていた。何やら仕掛けていたらしい。

「ごめんまさか君が、ここを宿だと思うとは・・・・・。ここはただの酒場さ」

 私自身もここが宿だと思っていたので図星という形で、ビクッと体が震えた。
 図々しいように落ち込む私は、明らかに図星だったという顔をしているのだろう。

「酒場ってなんで知ってるんです?」

「だから、まあ立ち寄ったことが何度かあるからだよ」

 初耳という形で私と彼女は目を輝かせる。
 どうせ教えてくれないのだろうけど、知りたくなったら、質問するしかない。

「じゃあ、どんなふうに立ち寄ったの? プランスもしかして、旅好きだったの?」

「そんなところ・・・・・」

 なぜか彼は悲しい笑みを浮かべて、苦笑をする。
 そんな彼にはなんの、悩みがあるのだろう。
 そう疑問に思うけど、いつかは忘れるのだろうと片付けた。

「まあ今も旅してるもんね」

「そうだな、いつか居座る場所も見つけたいのだが」

 星空を三人で同時に眺める。
 星の位置からして、今は夜の九時だろうな。今日は疲れたからただただベッドに眠りたいな。

「居座る場所ね・・・・・。そこまでないほうがいいよ、屋敷でもそう簡単に出れなかったし」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...