76 / 170
第三部第二章 ダンジョン
忍び寄る影
しおりを挟む
ダンジョンに入ると言ってどれくらい経っただろう? シルバーと王がいなくなって大体二週間ほどであろうか?
つまり、二週間ほどダンジョンに潜っているというわけだ。今は多分ダンジョンの中間部分と言ったところで、食料はほぼないといっていいだろう。
食料調達は、ダンジョンの中で出来ると王は言っていたが魔物が少なく思い通りにはならなそうだ。
「ミア、私もうダメかも・・・」
いつもこんな感じで、どちらかがくたばってしまう。まあ、ほんとに死んでしまっても困るのでいったん休憩してなけなしの水を少量二人で分けて飲む。
一瞬だが潤う。それは錯覚なのかもしれないが、それでも飲まなければ肉体の前に精神が崩壊してしまう。
全く疲れてしまうな。
「はい、アン」
タオルも濡れないくらいの、水滴をアンに飲ました。我ながらにも酷い行いだと思う。だけどそれは彼女も私も同じである。
そう毎回思い乗り越えるのがなんだか、日課になっている。
「ありがとう。ほんとに死にそう・・・。魔物いなでしょうか・・・?」
そんなことをいう彼女の眼はもう死にそうという事が伝わってきた。
それは、昨日の私のような目で今日はなんとか立ち直った。
「待って、音がしない?」
石で造られた洞窟のようなダンジョンは音が近いと反響して聞こえることがある。
そして今、水がぽちゃんとしたような音が聞こえて。そしてなんだか流れているような音までも同時に聞こえた。
これは水だ。水があればこのダンジョンも攻略が効率よくできそうだ。
それにこのダンジョンは石畳の洞窟? は横幅が大きく、天井も高い。なので魔物や魔獣も水を飲みに来るかもしれない。
だから、その魔物(魔獣)を倒して食料を調達せねば。
私とアンがゆっくりと前に進む。やっぱり水の音がした。
これはすごい量だ。およそ三週間以上毎日充実できるほどの、量であった。
「ミア行きましょう、生きるためには水と食料が必要ですから」
死に際に希望見たアンは回復したように立ち上がり、私に手を伸ばしてきた。私はその手を握るとまた歩き出した。
その時アンが苔に滑ってしまった。転んだのだ。
そんなこともありながら、前へと進む。魔力探知でこの一直線の道には罠がないことがはっきりとして。
だから、ゆっくりと進む必要はないが念には念を入れよという言葉を信じゆっくりと歩く。
そうして、水場についた。
川のように流れる水は私たち二人が生きている証明となり、私たちがこれからも生きている証明となっていた。
水を見つけた瞬間、私たちはまるで夢を見ているかのようだった。長く乾いた喉を潤すため、アンと私は急いでその水に手を伸ばした。冷たく澄んだ水が指先に触れ、口に含んだときの感触は、まるで生き返ったような気分にさせてくれた。
「これで、少しは持ちこたえられるわね…」と私は息をつきながら呟いた。
アンも同じように、疲れた顔に少し笑みを浮かべていた。「ほんと、生きててよかった…でも、これからが本番ね」
そうだ。この水があったとしても、まだこのダンジョンの奥に潜む危険がなくなったわけではない。水を飲んで少し元気を取り戻した私たちは、その場で休息を取ることにした。疲れ切った体を休めながら、次にどう進むべきかを考える。
「この先に何が待っているのか、まだわからないわ。でも、ここで止まるわけにはいかない。プランスを救うためには、進み続けなければ」と私はアンに話しかける。彼女も無言で頷き、その目に強い決意を宿していた。
その時、不意に足元に小さな震えが伝わった。「何か来る…」私はすぐに立ち上がり、周囲を見回した。ダンジョンの奥から、鈍く重い足音が響いてくる。それは徐々に近づいてきて、やがて何か巨大な影が姿を現した。
「アン、構えて!」と叫ぶと、彼女もすぐに剣を抜いた。目の前に現れたのは、巨大な魔物だった。体は硬い鱗に覆われ、その口からは鋭い牙が覗いている。目の前の魔物は、ただの敵ではなかった。このダンジョンを支配する強大な存在だった。
「ここで倒さなければ、私たちはここで終わりだわ」と私は自分に言い聞かせ、剣を構えた。
魔物は咆哮を上げ、その巨大な腕を振りかざしてきた。私はその攻撃をギリギリで避け、反撃の隙を狙う。アンも横から攻撃を仕掛けたが、魔物の鱗は非常に硬く、なかなか傷をつけることができなかった。
「こんな硬い相手、どうやって倒すの?」アンが焦りを感じて叫んだ。
だが、私はふと気づいた。魔物の足元にある川の水が、何か異様な光を放っていた。もしかすると、この水には何か秘密があるのかもしれない。戦いながら、私はその水に意識を集中させた。
「アン、あの水を使うのよ!」と私は叫んだ。彼女は一瞬戸惑ったようだったが、すぐに理解し、魔物を川の方へと誘導するように動いた。
魔物が川に足を踏み入れた瞬間、その体が一瞬で硬直し、動きが鈍くなった。どうやら、この水には魔物の力を封じる効果があるようだ。
「今よ!」私はその隙を逃さず、全力で剣を振り下ろした。剣が魔物の鱗を貫き、その体が崩れ落ちた。
倒れた魔物を見下ろし、私たちは一瞬の静寂を味わった。ようやく、この恐怖を乗り越えたのだ。
つまり、二週間ほどダンジョンに潜っているというわけだ。今は多分ダンジョンの中間部分と言ったところで、食料はほぼないといっていいだろう。
食料調達は、ダンジョンの中で出来ると王は言っていたが魔物が少なく思い通りにはならなそうだ。
「ミア、私もうダメかも・・・」
いつもこんな感じで、どちらかがくたばってしまう。まあ、ほんとに死んでしまっても困るのでいったん休憩してなけなしの水を少量二人で分けて飲む。
一瞬だが潤う。それは錯覚なのかもしれないが、それでも飲まなければ肉体の前に精神が崩壊してしまう。
全く疲れてしまうな。
「はい、アン」
タオルも濡れないくらいの、水滴をアンに飲ました。我ながらにも酷い行いだと思う。だけどそれは彼女も私も同じである。
そう毎回思い乗り越えるのがなんだか、日課になっている。
「ありがとう。ほんとに死にそう・・・。魔物いなでしょうか・・・?」
そんなことをいう彼女の眼はもう死にそうという事が伝わってきた。
それは、昨日の私のような目で今日はなんとか立ち直った。
「待って、音がしない?」
石で造られた洞窟のようなダンジョンは音が近いと反響して聞こえることがある。
そして今、水がぽちゃんとしたような音が聞こえて。そしてなんだか流れているような音までも同時に聞こえた。
これは水だ。水があればこのダンジョンも攻略が効率よくできそうだ。
それにこのダンジョンは石畳の洞窟? は横幅が大きく、天井も高い。なので魔物や魔獣も水を飲みに来るかもしれない。
だから、その魔物(魔獣)を倒して食料を調達せねば。
私とアンがゆっくりと前に進む。やっぱり水の音がした。
これはすごい量だ。およそ三週間以上毎日充実できるほどの、量であった。
「ミア行きましょう、生きるためには水と食料が必要ですから」
死に際に希望見たアンは回復したように立ち上がり、私に手を伸ばしてきた。私はその手を握るとまた歩き出した。
その時アンが苔に滑ってしまった。転んだのだ。
そんなこともありながら、前へと進む。魔力探知でこの一直線の道には罠がないことがはっきりとして。
だから、ゆっくりと進む必要はないが念には念を入れよという言葉を信じゆっくりと歩く。
そうして、水場についた。
川のように流れる水は私たち二人が生きている証明となり、私たちがこれからも生きている証明となっていた。
水を見つけた瞬間、私たちはまるで夢を見ているかのようだった。長く乾いた喉を潤すため、アンと私は急いでその水に手を伸ばした。冷たく澄んだ水が指先に触れ、口に含んだときの感触は、まるで生き返ったような気分にさせてくれた。
「これで、少しは持ちこたえられるわね…」と私は息をつきながら呟いた。
アンも同じように、疲れた顔に少し笑みを浮かべていた。「ほんと、生きててよかった…でも、これからが本番ね」
そうだ。この水があったとしても、まだこのダンジョンの奥に潜む危険がなくなったわけではない。水を飲んで少し元気を取り戻した私たちは、その場で休息を取ることにした。疲れ切った体を休めながら、次にどう進むべきかを考える。
「この先に何が待っているのか、まだわからないわ。でも、ここで止まるわけにはいかない。プランスを救うためには、進み続けなければ」と私はアンに話しかける。彼女も無言で頷き、その目に強い決意を宿していた。
その時、不意に足元に小さな震えが伝わった。「何か来る…」私はすぐに立ち上がり、周囲を見回した。ダンジョンの奥から、鈍く重い足音が響いてくる。それは徐々に近づいてきて、やがて何か巨大な影が姿を現した。
「アン、構えて!」と叫ぶと、彼女もすぐに剣を抜いた。目の前に現れたのは、巨大な魔物だった。体は硬い鱗に覆われ、その口からは鋭い牙が覗いている。目の前の魔物は、ただの敵ではなかった。このダンジョンを支配する強大な存在だった。
「ここで倒さなければ、私たちはここで終わりだわ」と私は自分に言い聞かせ、剣を構えた。
魔物は咆哮を上げ、その巨大な腕を振りかざしてきた。私はその攻撃をギリギリで避け、反撃の隙を狙う。アンも横から攻撃を仕掛けたが、魔物の鱗は非常に硬く、なかなか傷をつけることができなかった。
「こんな硬い相手、どうやって倒すの?」アンが焦りを感じて叫んだ。
だが、私はふと気づいた。魔物の足元にある川の水が、何か異様な光を放っていた。もしかすると、この水には何か秘密があるのかもしれない。戦いながら、私はその水に意識を集中させた。
「アン、あの水を使うのよ!」と私は叫んだ。彼女は一瞬戸惑ったようだったが、すぐに理解し、魔物を川の方へと誘導するように動いた。
魔物が川に足を踏み入れた瞬間、その体が一瞬で硬直し、動きが鈍くなった。どうやら、この水には魔物の力を封じる効果があるようだ。
「今よ!」私はその隙を逃さず、全力で剣を振り下ろした。剣が魔物の鱗を貫き、その体が崩れ落ちた。
倒れた魔物を見下ろし、私たちは一瞬の静寂を味わった。ようやく、この恐怖を乗り越えたのだ。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる