結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

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第六部二章 旅に出る

一話

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 旅に出ることになって数日が経つと、ようやく出発した。まずは人間界に出ると、意外にも誰もいなくて、綺麗な更地が広がっていた。しかも前とは違い、草木という自然が豊かになっていた。
 魔物も多少いるものの、凶暴な感じではなく、草食で襲い掛かってくることもないらしい。なので、プランス達は瞬間移動を使わずにリーナがいる村へと向かう。

 まだあの村にいるとは、ってミアとプランスとシルバーは思っていた。けれどリーナにとってあの村は大事な場所なのだろう。
 それにルカがあの村を壊さなかったことにも驚きだ。
 でも何かあるのかもしれないと、ミアが戦闘を切り、濡れている草を退かしながら歩いている。後ろでは人間の姿のシルバーがいる。流石にシルバーに乗るのは気が引けるからだ。

 プランスはミアに横に立ちながら、前へと進んでいると、虫が出てきていた。

「みんな、もうこの際、瞬間移動であの村まで行く?」

  ミアはこんな茶番に嫌気がさし始めていた。確かになんで歩いて、あの村まで行かないといけないのだろう。そのため、瞬間移動で向かうことにした。
 けれどなんだか異様な魔力が村に漂っていて、殺気は感じないものの、全てを食い尽くすような、呪いがかかっているようだ。
 ミア達は村へ入ることを一旦拒んだ。何が起こるかわからないからだ。
 そのため、村に入る門のような木で作られた小さな門の前で気配を完全に断ち、どうなるか外から見る。
 けれど、見たところ昔より少し家が少なくなっているだけだ。だから特に異常はないのだろうけど、何か怪しいというより呪いがかかっていた。

 アンは眼を閉じて人形を魔力で創り出し村の中へと忍び込ませた。すると村の中は至って普通だが、魔力が澱んでいるような感じを人形を通じてアンは感じていた。

「別に何かおかしいというところはないわ、だけど何かおかしいわ」

 人形から村の中を歩いていると、人に気づかれそうになったから、一旦動かないように倒れると、子供が本を読んでいた。その本こそ魔女と少女という小説だ。
 昔ミアがリーナにプレゼントした本で、リーナのお気に入りだ。つまりあの子はリーナの娘とかそういう、関係なのだろう。けれどそのことを知らない、アンはただその子を人形を通して見ているだけだった。
 その子が本に没頭していることがわかったので、人形ヲ動かして、村の中心まで行くと、噴水のような物があって井戸も噴水の近くにあって、井戸の水を汲んでいる人も居た。
 頬笑をしながら、子供達も居て、平和な世界かと思えば、目の奥には怨恨が蹲っていた。いつ爆発してもおかしくないように、構えているようにも見えて、アンは恐怖を覚えた。
 
「子供の目の奥に怨恨が見える・・・・・。あたかも平和に見せかけているけど、何かで縛られているわね」

 この呪いはルカがかけた呪いではないのか、ルカとは違う魂のかけらを感じた。まさか、幽霊の仕業かもしれないと、プレゼントは考える。
 幽霊と妖怪では種類が違うが、幽霊がかけた呪いならばプランスの創造の力で砕くことができるだろう。

 プランスは一度試してみる。頭の中で呪いが解けて行く、妄想をするとさっきまでの、食い尽くすという魔力も呪いが薄れて行く。すると雨が混じった雨が吹く。
 ミアの顔にその雨が当たる。ミアは叢から立ち上がり、冷酷な顔をしながら、だんだんと太陽のような頬笑みをしていき、まるで優雅な日常を過ごすかのように、手を広げた。
 この行為になんの意味もないけど、ただ涼しい世界を創った者による、優雅な行為なのだ。

 するとミアの頬笑みに負けた雨が止んでいき、太陽が顔を出す。するとプランスが呪いを完全に消し去り、平然とした顔で叢からみんなが顔出した。
 もしかしたら何か変な輩がいるかもしれないからと、叢に隠れていたのだ。
 村の周辺の叢は無造作に生えていて、刈っていなかったのだろうと言わんばかりに、小動物がちょくちょく見かける。
 ミア達は村の中に入ると、無情な眼でミア達を村人は見た。ほとんど知っている顔はいない。
 つまり、全員老化で死んでしまったのだろうと、ミアは悲しいと思った。けれど昔仲が良かった、リーナはまだ生きている。

 リーナの場所を創造の母の特権で探し出すと、ある小屋にいることがわかった。だからそこまで瞬間移動で、向かうと、料理を作っている、リーナの姿があった。

 ミアはリーナが親に怒られて泣きじゃくっていたことを、思い出して思わず笑ってしまい、そのせいでリーナに気づかれてしまった。

 リーナは眼を丸くして、どこかで見たことがあるのに、思い出せないという、気持ちに駆られた。
 だけど仲が良かったということだけは覚えていた。けれどそれがいつの話なのか全く分からずただうとうとしているだけだ。

「私にようですか?」

 リーナはまだ美しい顔立ちをしているし、声もとても綺麗と、ミアは思って微笑ましく思った。

 リーナはプランスの顔も見てまたしてもどこかで見たことがあると、思った。だけどやっぱり誰なのか、わからないのか、首を傾げてしまう。ミアは眼を細めて、今にもなくそうなほどに、手を広げる。

「リーナ」

 そして優しく言葉をかけた。するとリーナの脳裡に子供の頃、本を読んでもらった記憶が蘇って、昔花瓶を割って親に怒られて、泣きじゃくっていると、お姉さんに話しかけられたあの日のことを思い出した。
 名前までは思い出せなくとも何か、変な気分になった。この感覚は、自分リーナが子供に戻っているようにリーナは感じる。それは、過去の思い出と自分リーナよりも何億倍も年上のミアが目の前にいるからだろう。

「まさか・・・・・・。み、み・・・・・」

 それなのに、思い出せないのは、仕方ないことなのだろうか? いや違う、あと一言で思い出させれる。

 慥かにミアの創造能力で、記憶を蘇らせることは可能なのだが、自力で思い出して欲しかった。
 だからこの言葉をかける。

「リーナ、大きくなったね! もう一回本を読んであげようか?」

 この言葉でリーナが見る景色は変わった。
 昔、ミアに本を読んでもらった時と同様に、自分リーナが子供になっている気分だった。そのためミアの名前も思い出した。

「ミア・・・・・・? もしかして、ミア!」

 リーナは胸を躍らせて、ミアに走って行った。
 ミアは七歳だったリーナのことを思い出して、抱きしめる。ミアは、(まさか、本当に大人になった姿で会えるなんて・・・・・・。大きくなったね)と思った。
 感動としか言いようがないように、ミアの眼からは随喜の涙流れ出ていた。プランスは懐かしそうに、リーナを見つめる。
 リーナの見た目は変わったものの、ミアとプランスの見た目は全然変わっていない。
 だからミアと気づいたのだろう。

「なんで、なんで、今まで帰ってこなかったの・・・・・?」リーナは啜り泣く声で言うと、ミアは頭を撫でた。

「私、実は魔族の王妃なの」

 この言葉に、リーナは驚きを隠せないように、倒れる。それは人間の敵と言ってもおかしくない生物なのだから、驚いてもおかしくないだろう。

 でもミアが思っている回答とは違った。

「そ、そうなんだ。でもちょうど良かった! この村に罹っている呪いとかって取れますか?」

 なぜだろうと、プランスまでも思った。
 なんで、こんなにも馴れ馴れしいのだろう、と、アンまでも頭を抱えた。

「いや、もう解けてるよ? やっぱり何かやばい呪いだったとかあったの? 何か変だと思ったから、解いたんだよねぇー?」
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