10 / 35
(頭おかしくなる)
しおりを挟む
完全に頭から抜けていた。魔性具を試用、そういう口実だった、と。
「……これから、する」
「うぅ、まだ、これいじょう、へん、になります……」
「かわいい」
また、リナリがぴくりと反応した。
ハルトリードは、リナリの全身を隅々まで愛したい衝動を何とか抑え、横に放り出されたままの魔性具を手に持った。
「これをいれる、んだけど」
ハルトリードは躊躇している。
リナリの中に最初に入るのが、自分ではなく自分を模した指だとは。悶々とした。
「リナリ、その、最初、は僕が……して、いい?」
「えっ、それを試すのではなくて、ですか」
「うん。だって……最初がこれは、嫌だ。僕の本物の指がいい」
リナリが、悩ましい顔を、更に真っ赤にした。
そして、嬉しそうに笑った。
「あ、私、も。ハルトリード様、が、さいしょ、がいいです……」
うる、と潤み出した薄桃色の瞳。
(あー、かわいい、かわいい。だめだ、もう、好き、だ。頭おかしくなる)
ハルトリードは力なく寝そべるリナリを抱きしめた。そのまま首筋に口付けを落としていく。リップ音を立て、何度も。
「あ、ハルトリードさまっ」
「ハルト、って呼んで」
「ハルト、さま」
(一回呼んでもすぐ元通りになる。嫌なのかな)
リナリは10年以上ハルトリードに片思いをしていた。心の中で呼ぶ時にそう呼んでいたため、癖で出てしまうだけである。
首筋から鎖骨、はだけて肝心の部分が際どく見えない胸元へ、何度も唇を落とし、時折吸い上げて、痕を残す。
(独占欲……あったんだな、僕にも)
リナリはすっかり蕩けている。
「じゃあ、リナリ、ちょっと痛い、かもしれない」
ハルトリードは自分の中指を濡らし、リナリの中へ侵入させた。入口を無理に傷付けないように、慎重に。
「い、っ、んん……」
「痛い? 無理なら、もう少し解す」
決してやめるとは言わないハルトリード。
「いたくは、ない? です」
痛みはないが違和感があるというところか、リナリは、それでも拒みはしなかった。
(あつい……し、狭い。うねって、あ、ヒクってして……)
しばらくゆっくりと差し、引き、を繰り返す。
まだ、慣らす段階だ。
ハルトリードは丁寧に膣壁を解し、濡れ溢れてくる愛液で擦るように、横に、奥に指を動かす。
たっぷり時間をかけ、ゆっくりと同じ繰り返しで解し、溶かしていく。
それをしながら、リナリをじっと見下ろして反応を探る。一瞬も逃すまいと。
次は、ある一点を集中して指の腹で擦る。
「え、や、まって……」
(リナリのいいところ……)
腹側の壁を、少しずつ位置を変え指先を折り曲げて擦りつけ、試した。
「やっ、だめ、なに、なに……っ」
(ここ?)
リナリの反応が変わって、両手の置き場所に困ったように宙に浮かせたかと思えば、シーツをひっかくように握りしめている。
「ハルトさまっ、や、やだ、それ……!」
「……やだ? ほんと?」
ハルトリードが覗き込むと。リナリは首を振って必死に来る波から逃げようとしている。
(よさそう……あー……かわいい)
指の動きはそのままで、リナリに顔を近づけた。
「あ、っ、ハルトリードさま、さっきのより、おおきな……っ」
「……くる?」
うんうんと頷いて、リナリは腕を伸ばした。助けを乞うように。
「リナリ」
リナリは縋りついた。背に回った手が当てもなく薄いシャツを這い、そのまま握りしめる。
(っか、わいい……リナリ)
その感覚だけで、ハルトリードは頭が茹で上がりそうだった。
たまらなくなって、リナリを高めながらまた口付けをする。息をするために開いた口から、深く、舌を入れた。
「んっ、ふ……ぁっ、え」
驚愕したリナリは「待って」と制止をしているようでもあり、その潤んだ目はもっと、と懇願しているようでもあって。
ハルトリードは、懇願だな、と勝手に進めた。
逃げるような戸惑ったような動きをするリナリの舌を煽るように、ハルトリードは上顎を、つつ、と撫でた。
「ん、んっ!」
リナリの体が跳ねて、ハルトリードの指が熱い壁に食まれた。
前に出てきた小さな舌に肉厚な舌先が触れ、捩じるように絡ませていく。戸惑っていたリナリも、だんだんと応えてきた。広い背中が掻き抱かれる。
(きもちいい……なんだこれ)
人と人との粘膜接触。ただそれだけの行為が。
リナリはハルトリードと。ハルトリードはリナリと。
二人は、互いを認識して、心を伴って、それだけでこれほど心地よく快感を得られるのだと、知った。
息をつくために一度顔を離し、ハルトリードは上体を起こした。
見上げてくる蕩けたリナリを直視できず、茹で上がった顔のまま、膣内から指をゆっくり出した。
「ぁ……」
引き留めるようなか細い声と膣中のうねりがハルトリードを誘うが、慌てて、またもいつの間にか横に放ってあった指の魔性具を取った。
(まずい。流される……このまま、最後までしなくても、口実なんか、ふっとぶ……)
どこまでも、リナリに触れたい。高めたい。蕩けさせたい。
魔性具の試用など、何度も頭から飛んで行ってしまう。
「……じゃあ、これ、試して、みて」
まだ息が整わないハルトリードだが、指を模したそれに何やら粘着質な液体を塗布させた。
専用の潤滑液だ。魔力を通し、体温より少し高い温度にまで調節できる。
作り物の指とはいえ実際の肌に近い質感と硬度調節が可能、そして解して十分潤っている。だが念には念を入れた。リナリを傷付けては目も当てられない。
リナリは、食い入るように見つめている。肌蹴たバスローブの前を縫い合わせるようにして手で胸を押さえて。
明らかに、怖がっている顔ではなかった。
「いれる、から」
「はい……」
とうとう、本題である魔性具の試用の時。先程と同じように、ゆっくりと入っていく。
「違和感は?」
「いえ、あの、ハルト、さま、と同じ、感じです」
(それも……ちょっとモヤっとする)
それでもハルトリードは、ゆっくり、徐々に早く、抽送する。
「これは使用者の魔力で操作できる。魔力を流して、こうしたい、と念を送る、と」
「っ! や、なか、で、ぶるぶるして、ます……!」
リナリの伸ばした手を、今度は指と指を絡ませて繋いだ。ハルトリードの指の付け根に爪が立った。
その鋭い一瞬の痛みさえ、快感として手から腕を伝い、背に、腰に走る。
「最っ、初に見せたあれと同じ、振動つき。後は」
ハルトリードは、むっつりと興奮しながら、小さな制御板に魔力を流す。
「……これから、する」
「うぅ、まだ、これいじょう、へん、になります……」
「かわいい」
また、リナリがぴくりと反応した。
ハルトリードは、リナリの全身を隅々まで愛したい衝動を何とか抑え、横に放り出されたままの魔性具を手に持った。
「これをいれる、んだけど」
ハルトリードは躊躇している。
リナリの中に最初に入るのが、自分ではなく自分を模した指だとは。悶々とした。
「リナリ、その、最初、は僕が……して、いい?」
「えっ、それを試すのではなくて、ですか」
「うん。だって……最初がこれは、嫌だ。僕の本物の指がいい」
リナリが、悩ましい顔を、更に真っ赤にした。
そして、嬉しそうに笑った。
「あ、私、も。ハルトリード様、が、さいしょ、がいいです……」
うる、と潤み出した薄桃色の瞳。
(あー、かわいい、かわいい。だめだ、もう、好き、だ。頭おかしくなる)
ハルトリードは力なく寝そべるリナリを抱きしめた。そのまま首筋に口付けを落としていく。リップ音を立て、何度も。
「あ、ハルトリードさまっ」
「ハルト、って呼んで」
「ハルト、さま」
(一回呼んでもすぐ元通りになる。嫌なのかな)
リナリは10年以上ハルトリードに片思いをしていた。心の中で呼ぶ時にそう呼んでいたため、癖で出てしまうだけである。
首筋から鎖骨、はだけて肝心の部分が際どく見えない胸元へ、何度も唇を落とし、時折吸い上げて、痕を残す。
(独占欲……あったんだな、僕にも)
リナリはすっかり蕩けている。
「じゃあ、リナリ、ちょっと痛い、かもしれない」
ハルトリードは自分の中指を濡らし、リナリの中へ侵入させた。入口を無理に傷付けないように、慎重に。
「い、っ、んん……」
「痛い? 無理なら、もう少し解す」
決してやめるとは言わないハルトリード。
「いたくは、ない? です」
痛みはないが違和感があるというところか、リナリは、それでも拒みはしなかった。
(あつい……し、狭い。うねって、あ、ヒクってして……)
しばらくゆっくりと差し、引き、を繰り返す。
まだ、慣らす段階だ。
ハルトリードは丁寧に膣壁を解し、濡れ溢れてくる愛液で擦るように、横に、奥に指を動かす。
たっぷり時間をかけ、ゆっくりと同じ繰り返しで解し、溶かしていく。
それをしながら、リナリをじっと見下ろして反応を探る。一瞬も逃すまいと。
次は、ある一点を集中して指の腹で擦る。
「え、や、まって……」
(リナリのいいところ……)
腹側の壁を、少しずつ位置を変え指先を折り曲げて擦りつけ、試した。
「やっ、だめ、なに、なに……っ」
(ここ?)
リナリの反応が変わって、両手の置き場所に困ったように宙に浮かせたかと思えば、シーツをひっかくように握りしめている。
「ハルトさまっ、や、やだ、それ……!」
「……やだ? ほんと?」
ハルトリードが覗き込むと。リナリは首を振って必死に来る波から逃げようとしている。
(よさそう……あー……かわいい)
指の動きはそのままで、リナリに顔を近づけた。
「あ、っ、ハルトリードさま、さっきのより、おおきな……っ」
「……くる?」
うんうんと頷いて、リナリは腕を伸ばした。助けを乞うように。
「リナリ」
リナリは縋りついた。背に回った手が当てもなく薄いシャツを這い、そのまま握りしめる。
(っか、わいい……リナリ)
その感覚だけで、ハルトリードは頭が茹で上がりそうだった。
たまらなくなって、リナリを高めながらまた口付けをする。息をするために開いた口から、深く、舌を入れた。
「んっ、ふ……ぁっ、え」
驚愕したリナリは「待って」と制止をしているようでもあり、その潤んだ目はもっと、と懇願しているようでもあって。
ハルトリードは、懇願だな、と勝手に進めた。
逃げるような戸惑ったような動きをするリナリの舌を煽るように、ハルトリードは上顎を、つつ、と撫でた。
「ん、んっ!」
リナリの体が跳ねて、ハルトリードの指が熱い壁に食まれた。
前に出てきた小さな舌に肉厚な舌先が触れ、捩じるように絡ませていく。戸惑っていたリナリも、だんだんと応えてきた。広い背中が掻き抱かれる。
(きもちいい……なんだこれ)
人と人との粘膜接触。ただそれだけの行為が。
リナリはハルトリードと。ハルトリードはリナリと。
二人は、互いを認識して、心を伴って、それだけでこれほど心地よく快感を得られるのだと、知った。
息をつくために一度顔を離し、ハルトリードは上体を起こした。
見上げてくる蕩けたリナリを直視できず、茹で上がった顔のまま、膣内から指をゆっくり出した。
「ぁ……」
引き留めるようなか細い声と膣中のうねりがハルトリードを誘うが、慌てて、またもいつの間にか横に放ってあった指の魔性具を取った。
(まずい。流される……このまま、最後までしなくても、口実なんか、ふっとぶ……)
どこまでも、リナリに触れたい。高めたい。蕩けさせたい。
魔性具の試用など、何度も頭から飛んで行ってしまう。
「……じゃあ、これ、試して、みて」
まだ息が整わないハルトリードだが、指を模したそれに何やら粘着質な液体を塗布させた。
専用の潤滑液だ。魔力を通し、体温より少し高い温度にまで調節できる。
作り物の指とはいえ実際の肌に近い質感と硬度調節が可能、そして解して十分潤っている。だが念には念を入れた。リナリを傷付けては目も当てられない。
リナリは、食い入るように見つめている。肌蹴たバスローブの前を縫い合わせるようにして手で胸を押さえて。
明らかに、怖がっている顔ではなかった。
「いれる、から」
「はい……」
とうとう、本題である魔性具の試用の時。先程と同じように、ゆっくりと入っていく。
「違和感は?」
「いえ、あの、ハルト、さま、と同じ、感じです」
(それも……ちょっとモヤっとする)
それでもハルトリードは、ゆっくり、徐々に早く、抽送する。
「これは使用者の魔力で操作できる。魔力を流して、こうしたい、と念を送る、と」
「っ! や、なか、で、ぶるぶるして、ます……!」
リナリの伸ばした手を、今度は指と指を絡ませて繋いだ。ハルトリードの指の付け根に爪が立った。
その鋭い一瞬の痛みさえ、快感として手から腕を伝い、背に、腰に走る。
「最っ、初に見せたあれと同じ、振動つき。後は」
ハルトリードは、むっつりと興奮しながら、小さな制御板に魔力を流す。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる